表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/129

AIの思考

「お前達は、宇宙人なのか…?」


ひめが、フィーナQ3-Ver.2002らと合流して街に帰る途中の店舗に寄って電話を借りて市長に状況を報告している間、子供達のリーダー格だった少女が、トラックの荷台に座っていたフィーナQ3-Ver.2002に問い掛けた。


その少女に対し、フィーナQ3-Ver.2002はひめと同じ穏やかな笑みを浮かべつつ、応える。


「そうですね、『宇宙から来た』という意味では確かに宇宙人と言えるでしょう」


彼女は、少女の言葉を頭ごなしに否定したりせず、なるべくその趣旨に沿うような形で説明した。


「おお……!」


と、溜息のような歓声を漏らす子供達の様子に、フィーナQ3-Ver.2002をはじめとしたメイトギア達は、


『非常に特殊な形で育まれた感性ですね』


などと冷静な分析を行う。これは時間を掛けて折衝を行わなければ無用な混乱を招くと改めて理解した。


彼女らロボットに搭載されるAIは、『決して人間を傷付けてはいけない』という大原則に従って思考を行う。よって、複数の利害が対立する人間同士の折衝においてはその間に入り、互いに衝動を高め実力行使に至らないようにする為に最大限努力する。


双方の主張を分析し、整理し、その中で、感情的になった人間では見落としてしまいがちな妥協点を探りだし、それぞれに提示するということも行い、そして万が一、実力行使に至るような事態になれば、身をもって人間を庇い、負傷するようなことがないように動くのだ。


『決して人間を傷付けてはいけない』という原則は、『人間同士で傷付け合おうとする場に遭遇した場合にはそれを極力阻止する』という形でも発揮される。


この条件付けを基に、AIは、


『自身を悪用して他者を傷付けようとする人間の命令には従わなくていい』


という判断を行う根拠を得た。これにより人間は、『他者を攻撃する』という行為に非常に高いハードルを設置することに成功したとも言える。私用のロボットであってもその原則に従い、攻撃しようとする者の前に立ちはだかり『相手を傷付けさせない』ということを行うのだから。たとえその<攻撃者>が自身の主人であってもである。人間と違い『死ぬ』ことがないロボットならではの抑止力であろう。


なお、双方が同時に攻撃を行おうとしている場合に即時対応できるロボットが一体しかいない場合は、瞬間的に、より危険かつ切迫した攻撃を防止するという選択が行われる。初撃を封じれば、事態を察知した周囲のロボットがすぐさま応援に駆けつけてくれるからだ。これにより自らが破壊されようとも、『主人が犯罪者になることを未然に防いだ』なら、ロボットはそれで良しと考えるのだ。


だからフィーナQ3-Ver.2002達も、万が一の不測の事態を防ぐことを第一として行動することになる。その為ならば、自らを投げ出すことすら彼女達は厭わない。


文明についてあまりに開きがある惑星セルベリスと惑星ハイシャインとで万が一衝突が起これば、セルベリス側があっという間に武力制圧できてしまうだろう。極寒の環境も、宇宙での空間戦闘も想定しているセルベリス側の装備があれば何の障害にもならない。その気になれば、地殻にまで到達する<反応弾頭付き質量弾>をハイシャインに投下し、ほんの数分で大陸すら壊滅させることができる。


しかし、ロボットはセルベリス側にそれを行わせないように努力する。


なぜならその戦いにおいてはセルベリス側に実質的な被害が生じる可能性すらほぼないからだ。


既にAIは、ある意味では人間にとって非常に重要な<中立的な立場の存在>になっているとも言えるだろう。




と、いろいろ回りくどい言い方をしたが、要するに、フィーナQ3-Ver.2002には子供達を傷付けるような意図も折守市住人を傷付けるような意図もまるでなく、ただ彼らを救いたいと思っているというだけの話である。


なので今後は、惑星ハイシャインの折守市住人達がいかに、自分達の前に現れた状況に冷静に対処するかが、混乱を生じさせないかどうかの鍵となるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ