あさぎ2788TOS
<あさぎ2788TOS>は、ひめと同じように、惑星調査用亜光速ロケット<あさがお三型>にオペレーターとして搭載され、亜光速ロケットの有人運用に向けての検証と、移住可能という点において有望な惑星を探す為に送り出されたメイトギアである。
しかし、後発であった分、ひめよりもさらに遠くを目指して探索を続け、その間に恒星間航行用技術が実用化され、亜光速ロケットはたちまち存在意義を失った。
これ自体は<技術>というものが持つ宿命だろう。避けようのない道理だ。恒星間航行用技術でさえ改良が進み、惑星ハイシャインに災禍をもたらすきっかけとなった主機関である縮退炉ですら、事故を起こした型については、事故が明るみに出る以前に既に<どうしようもない欠陥品>という評価が下されすぐさま更新が行われたくらいである。事故が起こる前にそれが判明していればあの悲劇は避けられたのかもしれない。
過ぎたことを悔やんでも詮無い為それについては置くとして、とにかく不要となった亜光速ロケットの多くは収集したデータのみが回収され、機体は搭載されたオペレーターのメイトギアごとそのまま宇宙を漂い、観測を続けることとなったのだった。
<あさぎ2788TOS>もそうしたメイトギアの一体だったが、惑星ハイシャインの災禍を知った惑星セルベリスの行政府が、ちょうどハイシャインとの中間地点辺りで観測を続けていた<あさぎ2788TOS>と<あさがお三型三六六番機>を、捜索に向かう途中で回収。捜索船内で恒星間航行用技術の技術を応用した超空間通信機を搭載し、電源としての放射線発電パネルを更に高効率なものに交換する改修を加え、メンテナンスを行い、<あさぎ2788TOS>用の消耗品(劣化した人工表皮の補修材やメンテンナンス用ナノマシン)等も補充してハイシャインの衛星軌道上に配したという訳である。
しかも、ハイシャインの異変を観測し、その情報を伝えたのが、放棄され宇宙を漂っていた時の<あさぎ2788TOS>であった。
ただし、その時点では<あさがお三型>に搭載されていた通信機は従来のものであったため情報が惑星セルベリスに届いたのは災禍から二百年後であり、もたらされたそれから、ハイシャインの住人達の生存はほぼ絶望視されていたのだが。
第一次捜索隊は結局、生存者を見付けることができずに帰還。一縷の望みを託しハイシャインの衛星軌道上に配した<あさがお三型三六六号機・改>と<あさぎ2788TOS>からの連絡を待つこととなった。
それから三千年近くの年月が流れ、しかしついに、生存者がいるという情報が惑星セルベリスに届き、人間達はそのようなことがあったことも忘れかけていても、人間社会をサポートするAIはそれを覚えており、かつ、宇宙のスケールから思えば何世代も後に続報が届くことは有り得ると情報を引き継いでいた行政府と各関係機関はこの事実に沸き立ち、第二次捜索隊を編成、救助に向かうことになったのであった。




