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9話 フィールドへ

 街の南にある城門からその先に広がる草原、そしてその先にある大森林を目指す。その大森林に私の目的である緑草があるらしい。私はディアさんに連れられて、現在は草原エリアまでやってきた。このエリアの敵はこちらから攻撃しない限り、攻撃してこないらしい。お陰で、私はディアさんから落ち着いて話を聞ける。


 「なるほど……これがパーティーの組み方ですか」


 この数時間で、私はディアさんからこの世界の様々な事について教えて貰った。パーティーの組み方や戦い方、お金の儲け方etc……。お陰で何とかこの世界でもやっていけそうだと思う。

 そんな風に話していたら、あっと言う間に大森林エリアまでやってきた。本来であれば、危険すぎて今の私のレベルでは入れないエリア。だが、今回はディアさんが護衛兼アドバイザーとして来てくれるので、安心して入ることが出来る。とはいえ、油断は禁物だ。ディアさんによると、


 「ここの森林は細かく色々なエリアに分かれていてね、安全なエリアの直ぐ隣に危険なエリアがあったり、慣れてないと酷い目に合うのよ。実際、シーラちゃんでも問題ないエリアから、私でも無理なエリアがごろごろあるのよ。油断していると予想外の所で死に戻りすることになるわ。気をつけてね?」


 ……だそうだ。何となく怖くなって、私は大森林エリアに入る前に改めて自身のステータス等を確認した。


 現在のステータス

シーラ LV1 獣人族 

クラス ランナー  サブクラス 無し

リンクアイテム 風の羽飾り

        ただの木の棒

ステータス

 HP 13/13 MP 8/8 ST 6/10

 アタック6    インテリジャンス2   テクニック3

 ディフェンス6  レジスト4       スピード75

 スキル

 クラススキル

  加速2

 サブクラス

  無し

 パーソナルスキル

  気配察知1 隠密1 逃げ足1 鷹の目1 跳躍1

習得可能スキル -残りSP(スキルポイント)スキルポイント0-

  無し


 ……『ただの木の棒』はアタックを1上げる効果しかなかった。大丈夫かと思ったが、今回は採取が目的。戦う必要は無いし、いざとなったらディアさんが前に出てくれる。だから、これは別に問題無いということにしておこう。

 本題はMPとSTだ。MPは魔力。STはスタミナを指していて、どちらもスキルを使う際に消費するものだ。どちらを消費するか、もしくは消費する割合はスキルによって異なる。

 私は始めに街に行く時に『加速』スキルを使った為、MPとSTを消費していた。けれど、今はMPが全回復していて、STも1だけ回復している。これは時間経過による自然回復とディアさんに貰った『風の羽飾り』のMP自然回復の効果によるものだろう。


 「あの、ディアさん。この森林は危険な敵が沢山いるんですよね?」

 「そうだねえ。まあ、なるべく安全なルートを取るし、私がいるから大抵は何とかするけど、滅多に現れないレアエネミーなんかが現れると私でも危ないわけだしね」

 

 私はそれなら、と口を開いた。


 「あの、私のスキルに『隠密』があるんですけど、使ったほうがいいですか? あの、実際の戦いになったら、役に立たないと思うので」

 「役に立たないってことはないだろうけど……まあ、使えるならその方がいいだろうね。確か、『隠密』はMPを消費するスキルだったね。MPの残りは大丈夫?」

 「はい! ディアさんがくれた『風の羽飾り』のおかげで満タンです!」

 「そうかい。それじゃお願いしようか」


 ディアさんに許可を得て、『隠密』スキルを使う。『隠密』スキルは精々見つかりにくくする程度のスキルだが、無いよりあったほうが敵に見つかる可能性も減るだろう。それに、MPのみを消費するスキルだから、6しか残ってないSTを温存できる。MPが切れても『鷹の目』と『跳躍』はSTのみを消費して使うすきるだから、残しておけば何らかの役に立つかもしれない。ちなみに、『気配察知』はパッシブで消費無しで常時発動するスキルで、『加速』はMPとSTを消耗するスキルになる。


 「さて、じゃあ行こうか」


 一通りの確認を終えた後、私達はようやく大森林エリアへと足を踏み入れた。






 森の中は意外に明るく心地よい空間だった。足元は木々の根っこででこぼことしていたし、虫やら何やらもいたが、それも私にとっては目新しい楽しいものだった。とはいえ、やはりファンタジーな世界だけあって、魔物も現れる。


 「あら、ゴブリンじゃない。この辺りで見かけるのは珍しいわね」


 そう言ってディアさんが見つけたのは、緑色の体色をした人間に似た、けれど決して人間ではない子鬼である。ディアさんは気楽な顔をして、肩に掛けた大槌を構えた。

 

 「まあ、いきなり戦うっていうのも怖いだろうし、そこで大人しく見ててね?」


 そう言うが早いか、


 「はぁっ!」


 大槌を振り切り、一瞬にしてゴブリンを吹き飛ばした。骨から完全に砕かれたゴブリンは地面を数回転がり、光となって消えた。あまりに早い決着に何かを考える隙もなかった。すると、『ゴブリンの骨』をドロップしたとシステムアナウンスに出る。合わせてステータス画面を出すと、僅かながら経験値が増えていた。


 「よしよし、気付いたようだね? パーティーを組んでいると、自分は戦わないでも仲間が倒した敵の経験値とドロップが貰えるんだよ」

 「でも、それは……………………」


 やり方を教えて貰うとかならともかく、自分が何もしてないのに、もらうのはずるい気がすると、落ち込んでしまう。だが、ディアさんは笑って首を振った。


 「まあ、経験値に関しては、実際に戦闘をしない限り大した量は手に入らないし、ドロップアイテムだって、普通倒した人を優先するさ。もし、ただ貰うだけの寄生虫になったらそいつとはパーティーを組まなくなるだけだしね」


 なるほど。よく出来ていると思う。実際私が貰った経験値は微々たるものだし、ドロップアイテムに関しては、ディアさんに渡せば、特に問題はないだろう。そう考えた私だったが、


 「ん? ああ。気にしなくていいよ。流石に始めたばっかの子にそんな無茶は言わないよ。これから先、そんなプレイヤーにならないで欲しいってぐらいの話だよ。気にしない気にしない」


 こちらのセリフに先んじて、ディアさんは私の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でて言う。何から何までお世話になりっぱなしで少し落ち込みそうになるが、ディアさんは私に楽しんでもらおうと案内してくれているのだから、素直にご厚意に甘えるべきだろう。

 一通り撫でまくるのに満足したのか、ディアさんはそれから数分後に頭から手を離した。


 「んじゃ、先に進もうか」

 「はい」


 頷き、私達は緑草の群生地へと足を進める。幸いにもその後、『隠密』の効果があったのか、敵と接触することは無かった。私達は、次々に更新されていく自動地図(オートマップ)を確認したり、和やかに談笑したりしながら、森林の奥地へと進んでいった。

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