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8話 商業ギルド 初めてのお買い物

 再びディアさんに連れてこられたのは、様々なアイテムが立ち並ぶ商業ギルドだった。


 「ここは商業ギルド第二課。ここは商業ギルドの商品販売所ね。立地が良いせいで性能の割に高い物が多いけど、元々それほど高い物を売ってないから驚くような金額にはならないよ。でも、塵も積もれば山となるから気をつけるべきねぇ。それと、なにより種類と量は凄いから急ぎで何か欲しいなら、ここにくれば一発で見つかるから、時間を節約したいならここが一番かしら」


 なるほど、確かに所狭しと並ぶ商品を見れば、確かにここなら何でも見つけられそうだと思う。だが、効果の高い物や高級品などはプレイヤーメイドの別の店で買うしかないらしい。まあ、今の(初心者の)私にはあまり関係ない話かもしれないが。


 「早速だから、ここでシーラちゃんの武器を買っちゃいましょうか。ほら、こっちにおいで」


 ディアさんに手招きされて、店の端に行く。そこにある品は、こんなことを言ってしまっては失礼かも知れないが、他の場所に置いてある商品に比べ明らかに品質の劣る、チープな物だった。明らかな格差に眉を顰めると、視界の隅に初心者コーナーの文字が入ってきた。なるほど、初心者にはお金も無いし、高級な武器を手に入れても使いこなせないだろう。ならば、このチープな作りにも納得できる。


 「さて、シーラちゃんはどんな武器を使いたい? 参考までに教えておくと、魔法を主体に戦うなら杖や本。近接戦なら剣や槍、槌なんて物もあるわ。距離を取って戦うなら弓も選択肢にはいるかしら? ……まあ、本来はクラスごとに得意な武器があるんだけど、ランナーに関しては()()()()()()()()()()()、ある意味自由に決められていいわよね」


 最後にぼそっと付け足していたが、それは聞かなかったことにして。私はどんな武器が良いか考えた。取り敢えず折角走る事に長けたランナーを選んだんだから、足を止めて戦う魔法や弓は即除外。他の武器となると、剣やら槍やらになるのだがはっきり言って使いこなせる自信が全く無い。とはいえ、何も無しにこのままフィールドに向うのも、無謀と言える。こんな考えをディアさんに伝えると、


 「まあ、確かに剣とかは現実では触れた事も無い物だものね。まあ、それなら『棒』なんてどう?」

 「……棒?」

 「そう。『棒』」


 そう言って、ディアさんが手にしたのは本当にただの棒だった。木でできた、何の変哲も無い棒。持ち手も何も無いただの棒。


 「おーい。シーラちゃん、戻ってきなさい」

 「……………………はっ!?」


 あまりの衝撃に遠くに行っていた意識が、ディアさんの声で引き戻される。流石にこんなファンタジーな世界であんな木の棒を武器にと言われるとは思ってなかった。いくら私がゲーム初心者でも()()()()()ってことが分かる。剣や魔法がある中でただの棒。これはいくら何でも…………。そんな私の困惑が分かったのか、というより予想していたのか、ディアさんは苦笑して、


 「まあ、気持ちは分かるけどね。結構利点も大きいのよ、これ。使い方はただぶん殴るだけだし、使うのに必要な技術もパワーも必要なし。剣とか他のスキルに比べて、スキルレベルも上がりやすい。欠点は見た目と攻撃力の低さね。それでも素手よりは100倍良いわよ? 距離も威力も、流石に段違いだし、使いやすさでは群を抜いているしね」


 うーーん。確かに、ただの棒なら私でも使えるし、単純な作りの分、値段も安い。それにこの位の棒だったら、腰に差しておけば走る邪魔にもならなさそうだし……うん、決めた! これを買おう。


 「ディアさん。私この棒の武器を買おうと思います」

 「おっ、本当かい? 私に気を使って選ばなくてもいいんだよ? 結局自分の選んだのが一番なんだから」

 

 自分に気を使ってこれにしたんじゃないかと不安がるディアさんに、それは違うときっぱり否定する。


 「いえ、私はこの棒がいいです。基本的にはやっぱり戦いは避けるつもりだし、それだったら使い易くて安い武器が合ってると思うから」

 「そうかい? それならいいんだが……」


 自信満々に言い切ってもなお、不安そうにこちらを見ていたが、いづれにせよ私が考えを変えないことに気付いたのか、それ以上は特に何も言わなかった。……まあ、確かにただの棒を紹介するとなると、ちょっと心配になるよね。それも何の加工の跡も見えない、本当のただの棒だもの…………。


 それから私は所持金1000円の中から200円を取り出し、『ただの木の棒』を手に入れ『リンク』した(この世界の通貨は何故か円)。さらに、商業ギルド内の道具屋にも行き、HPポーションとMPポーションを購入して店を出た。ちなみに所持金は50円までに減った。……ポーションとほぼ同額の『ただの木の棒』がやばいのか、一応武器の『ただ木の棒』とほぼ同額なポーションが高すぎるのか…………少しばかり私は自身の選択を後悔し始めていた。





現在のステータス

シーラ LV1 獣人族 

クラス ランナー  サブクラス 無し

リンクアイテム 風の羽飾り

        ただの木の棒

ステータス

 HP 13/13 MP 7/8 ST 5/10

 アタック6    インテリジャンス2   テクニック3

 ディフェンス6  レジスト4       スピード75

スキル

 クラススキル

  加速2

 サブクラス

  無し

 パーソナルスキル

  気配察知1 隠密1 逃げ足1 鷹の目1 跳躍1

習得可能スキル -残りSP(スキルポイント)0-

  無し

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