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スタートライン~はじまりはこれから~  作者: 葵
死の後~はじまりはこれから~
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生まれ変わり

【ポーン】

【入力ありがとうございます】

【申請は終了致しました】

『これで終わりじゃ』

「えっ これで終わり」

『そうじゃ』

「ふ~ん」

思ったほど簡単な作業だったと思った仙堂。しかし 仙堂はまだ、本当の生まれ変わりの大変さに気付いてはなかった。

「で、いつ生まれ変われんの?」

仙堂は老人に問いかけた。


『生まれ変わるには時間が必要なんじゃ』

「時間? なんの時間だよ?」

『生まれ変わりたい者がたくさんおるからのう。そのための締め切りがあるんじゃ』

「じゃあ その締め切りはいつなんだ?」

『その締め切りとは、出産予定日なんじゃ』出産予定日とは現世では生まれる日だが、生の世界では締切日となっている。

『出産予定日まではたくさんの者が申請でき、その中で一番高いポイントを申請した者が生まれ変わることができるんじゃ』

「じゃあ オレの予定日はいつわかんの?」

『それはこれでわかるんじゃ』

老人は大きなモニターの横にあるボタンを押した。



するとモニターがゆっくりとせり上がり、モニターの下からたくさんの腕時計が現れた。仙堂はモニターがせり上がったことにびっくりし、腕時計の存在に疑問を持った。

「・・・・・う・・・・で・・・時計!? この世界でも腕時計があるのか?」

仙堂は腕時計に近づいた。

腕時計の形状は現世にもある腕時計だが、機能は現世とは多少違うようだ。

「あれ? この腕時計、時間が表示されてないぞ」

『その腕時計は特殊でのう。付けたら時間が表れるんじゃ』

『ほれ 付けてみい』

老人は腕時計を一つ取り出して、仙堂に渡した。

「え! お? わかった」

いきなり現世にもある物が存在していたことに戸惑いながらも、仙堂は恐る恐る腕時計を付けた。

腕時計を付けると何も表示されていなかった時間がぼんやりと表示された。

「あ 点いた」

無事に腕時計を付けた仙堂だったが、この腕時計のおかしな箇所を発見した。

「でもこの腕時計おかしくない?」

「これ時間じゃなくて、カウントダウンされてね?」

『カウント・ダウン? 時間じゃろ』

「いや これ数字が少なくなってるしょ?」

『そうじゃよ。時間が進む腕時計なんじゃよ』

「それをカウントダウンって言うんだよ。じいさん」

『じゃから時間じゃろ。なにが違うんじゃ?』

「えっ!」

またも老人に純粋な質問をされた仙堂は腕を組み、アゴを触りながら時間とカウントダウンの違いを考え始めた。

「あ~ ・・・・・そんな違わないかな?」

仙堂は時間とカウントダウンの明確な違いが説明できずにまたあきらめた。


『そうじゃろう』

「う うん」

どうやら老人は横文字が苦手のようだ。

そして仙堂は人に説明をするのが苦手のようだ。

仙堂は腕時計がカウントダウンの機能だとわかり、話を勝手に元に戻した。

「・・・・・・ってことはこの腕時計の時間が、オレが生まれ変わる時間ってわけか?」

『そうじゃな』

『じゃが、今おまえさんが申請したポイントよりも高い申請があったら、おまえさんは生まれ変わることはできんぞ』

「大丈夫だってオレぜってぇ~負けねぇ~から」

『わかった わかった』

仙堂の自信にあきれを通り越して尊敬し始めた老人。




『そうじゃ』

老人はあることをふと思い出した。

『申請も無事終わったことだしのう』

『どうじゃ。おまえさんの母親になるかも知れない者を見てみたくないかのう?』

老人の問いに仙堂は両手を広げて、大きなため息を吐きながら首を左右に振り、老人にあきれているような素振りで仙堂は答えた。

「じいさ~ん」

「母親になるかも知れないじゃなくて、母親になる人だって」

『それはもう良い。話が前に進まん』

話が進まないこと強調して、仙堂に伝えた老人は仙堂のために言葉を変えて、もう一度質問した。

『おまえさんの母親になる者を見たくないかのう?』

「見たよ。だって、申請する時に顔写真見たし」

親の情報として申請する際、顔写真が記載されている。

『じゃが、それは写真じゃろ』

『本物を見たくないかのう?』

「えっ 見れるの!」

母親になるかも知れない親に直接会えると知った仙堂はテンションが上がった。


「なに? なに? アニメみたいに現世が見える湖とか、話ができる鏡とかで見れんの?」

『なんじゃ? そのアニ・メとやらは?』

「なんだよ じいさん。アニメ見たことねぇ~のかよ?」

『そんなもん見たことないのう?』

「マジかよ じいさん!」

「ま~ でもじいさんになったら普通アニメとか見ないのか」

老人はアニメを知らなかった。老人がアニメなど知るはずがないのだから。


「今度生まれ変わったらアニメ見た方がいいぞ じいさん」

「今のアニメすげぇ~面白いのいっぱいあっから」

仙堂は大のアニメ好きだった。アニメが好き過ぎて、声優にも詳しかった。

『そうかのう。アニ・メか』

『今度生まれ変わったら見てみたいのう』

アニメと言うものがいったいなんなのかはまだ全然わかっていない老人だが、楽しそうに話す仙堂を見て、興味が出てきたようだ。

『じゃが残念ながら、そのアニ・メのようにして見るんじゃないのう』

「違うのかぁ~」

アニメ好きの仙堂としては、ちょっと いや かなり残念な気持ちになった。

「じゃあ どうやって見んの?」

『それはじゃな』


『幽霊になって見るんじゃ』

「幽霊?」

「幽霊って現世に未練があってなる。あの幽霊か?」

『それは浮遊霊じゃ』

浮遊霊とは、自分が亡くなったことを理解することをできずにいる幽霊のことである。

『幽霊にもいろんな種類があっての』

『これからわしらがなる幽霊は守護霊じゃ』

「守護霊?」

「守護霊って人を守る幽霊のことか?」

『そうじゃ』

守護霊は仙堂も言っていたが、人に付き、人を守る霊のことである。

「いやいやじいさん。オレは守護霊になりたいんじゃなくて、生まれ変わりたいんだよ」

『わかっておる』

『守護霊とはな、簡単に言えば人を守る霊じゃが、人を守ると言うことは生まれ変わりを諦め、おのれが認めた者が寿命をまっとうするまで守護霊として生きることなんじゃ』

老人が守護霊について説明し始めたが、仙堂はすぐに守護霊に興味がないことを老人に伝えた。

「だからじいさん。オ~レ~は~守護霊になんか興味ないんだよ」

『まあ話は最後まで聞けのう』

そう言って老人はまた、守護霊について話を進めた。

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