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きっとそばにいるから 未来へ 

《現世 実家》


目を開けると、仙堂は実家にいた。

そこには仙堂の写真が飾られている仏壇の前に一日中座っていた母親の姿はなく、昔と変わらず、働き者の母親の姿があった。

もちろん欠かさず朝晩に、仙堂の仏壇に手を合わしてくれているようだ。


仙堂は嬉しかった。

昔、小さい頃自分が見ていた変わらない働き者の母の姿をまた見ることができて。

いくら仕事で疲れて帰って来ても、いつもおいしいご飯を作ってくれた母の姿。

七年ぶりに見る昔と変わらない母の姿に、仙堂は涙した。

夢とはいえ母親に再会し、母親に謝ってみたが、やはり生きているときに謝りたかった。

親孝行も恩返しもしないダメ息子であったことを生きている内に謝っておけばよかった。

感謝の気持ちだってそうだ。

照れずにいくらでも「ありがとう」と言えばよかった。

今、守護霊となって仙堂がいくら大きな声で「ありがとう」と言っても、母親の耳届くことはない・・・・・。

けれど、仙堂はわかっていた。

いくら大きな声で「ありがとう」と言っても母の耳には届かないけれど、「ありがとう」という気持ちは母に伝わっているということを。


仙堂は母親の守護霊となった。

もう言葉は伝わらなくても、親子なのだから思いはいつどこにいても伝わる。

母親も仙堂の姿はもう見ることはできないが、きっと息子は守ってくれていると信じていた。

夢の中で守ってくれると言った息子を信じて。

きっとそばで息子が見守ってくれると思うだけで、悲しみは徐々に薄れ、元気の源になっていた。

本当にそばで見守ってくれているのかを確認するすべはない。

けれど母親は本当に息子が見守ってくれている気がした。

現に仙堂は母親の守護霊となった。

母を守るため、母の力にため、母に恩返するために守護霊になった。


守護霊は目に見えなくとも、そばにいてくれると信じて目を閉じると、自然と心が温かくなる。

それは守護霊の力の一つであった。

もし心が温かくならないのなら、きっとあなたが思い浮かべた人は新たに生まれ変わりを申請し、きっとあなたの近くで、目に見える距離にいるのだろう。

生まれ変わり、あなたをそばで見守ってくれているだろう。

人は余程の悪事をしなければ、人にまた生まれ変わることができる。

輪廻転生を繰り返す。

そして守護霊となって、あなたのそばで見守ってくれる人もいる。

目には見えないけど、きっとあなたのそばにいる。

そばで見守ってくれている。

人は人生をかけて、目的を果たす旅に出る。

しかし人生では目的を果たすことができない人もいる。


生の世界とは、そんな人のための世界なのだ。

自分の人生を振り返り、自分の人生に向き合い、新たなスタートをどうするのかを考える世界。

仙堂もその一人だった。

仙堂は母親への恩返しをしたいという目的があった。

けれど仙堂は母親に恩返しできないまま亡くなってしまった。

目的を見失っていた仙堂は、生の世界で目的を思い出すことができた。

だから仙堂は新たなスタートとして守護霊を選んだ。

仙堂一としてスタートをきり、男の子を助けて人生の道をゴールし、守護霊として新たなスタートをした。

仙堂はきっと素敵な守護霊になるだろう。

どんなことをすれば素敵なのかは、守護霊になってみないとわからないことだが。

仙堂はきっと、母親が困っているときにはそっと力を貸してくれるだろう。

母親が悲しんでいるときには、そばに寄り添ってくれるだろう。

母親が怒っているときには、変な顔をしてもっと怒らせようとすることもあるだろう。

母親が笑顔のときには、いつも一緒に微笑んでくれるだろう。

守護霊になったのだから、これをしなければいけないとか、そんな決まりごとはない。

守護霊として、守護する人物のためになることなのなら、それが正しいことのなのだ。

仙堂は守護霊としての一歩を踏み出した。

まだまだ未熟な守護霊の仙堂。

一歩、一歩、素敵な守護霊になってゆくのだろう。

仙堂一が人生から学んだこと、亡くなってから気付いたこと。

それが、守護霊となった仙堂の糧となり、母を守る力になる。


人は人生の道をスタートしてゴールし、そしてまた新たなスタートする。

仙堂は守護霊という新たなスタートを選んだが、あなたはどんな選択をするのでしょう。


あなたはどんなスタートをきり、あなたはどんなゴールを迎えるのだろう。

それは生の世界に行ってみないとわからないことだ。

けれど、今のあなたにもわかるかも知れないことがあります。

あなたはどうして生まれて来たのですか?

どうして、あなたはあなたの両親を選んだのですか?

あなたはどんな誓いを立てて、生まれてきたのですか?


どうですか?

答えは見つかりましたか?

まだ答えがわからない、見つからないという方。

明日には答えが見つかるも知れませんし、一年以上掛かってしまうかも知れません。

答えを見つけるのは難しいです。

けれど安心して下さい。

生の世界に行けたのなら、答えは必ず見つかります。

あなたが生まれたのには意味があります。

あなたが生まれてきてくれたことに感謝してくれる人が必ずいます。

あなたを助けてくれる人がいます。 

なにか困ったことがあるなら、勇気を出して相談してみてください。

きっと答えは見つかります。

仙堂のように。


仙堂は生の世界で老人と真人に出会い、成長できた。

自分がどうして生まれたのか。

どうして、自分が両親を選んだのか。

どんな誓いを立てて、生まれてきたのか。

全部生の世界で気付くことができた。

本当は現世で、生きているときに気付けたらもっといいのだが、生きているときに気付ける人の方が少ないだろう。

仙堂が生まれてきたのは、両親の離婚を知り、母親を守るためにこの両親の子供になることを選んでいた。

そして仙堂は、母親を守るという誓いを立てて、生まれたのだ。

老人の誠は、初恋の相手と結婚することできなかったからこそ、生の世界で初恋相手を待ち続けて、新たなスタートを初恋相手と同じ病院で生まれた。

新たなスタートは幼なじみとなったふたり、幼なじみだからといっても、結婚には繋がらないかもしれない。

けれどふたりはふたりでスタートした。

また新たにふたりが人生の道を一緒に歩くチャンスはあるのだ。


真人もそうだ。

新婚生活で幸せいっぱいだったはずの人生に、ガンという病が襲った。

突然現れた壁、しかし真人は一度その壁をのり越えた。

のり越えてまた、幸せが待っていると思っていた。

もちろん壁をのり越えた先には、幸せが待っていた。

真人は父親になることができた。

嬉しい事実を知った日に、また真人は壁にぶつかった。

再発、転移が見つかった・・・・。

苦しいことがあれば、幸せが待っている。

そして苦しいことも待っている。

それが人生なのかもしれない。

真人の体はどんどん病で弱っていった。

けれど、真人の意思は強まった。

結婚して妻になった女性を守ると誓った。

この誓いだけは破ってはいけない誓い。

だから真人は生まれ変わった。

新たなスタートを息子としてスタートした。

息子となって、妻を守ることにした。

妻をそばで守る。

誓いを守るために。

人はいろんなスタートをして、いろんなゴールを迎え、また新たなスタートが待っている。自分で生まれ変わるのか、守護霊になるのかを選択し、新たなスタートを自分で決める。守護霊になった者は、守護する人物のために支えとなり。

生まれ変わった者は、目的と誓いを果たすために人生の道を歩く。

生まれ変わった者の記憶は言葉を話すようになる前までは覚えているが、目的や誓いを忘れてしまう。


そして人生の道で、目的と誓いを思い出すことができれば本当はいいのだが。

それは難しい・・・・・。

だから生の世界があり、また新たなスタートをする。

今、現世で頑張って生きている人は、寿命まで生き続けなければならない。

目的と誓いを思い出し、自分がどうして生まれたのかを知ることで、また幸せになることができるから。

人が生まれ、生きるのには意味がある。

だから一秒でも長く生きていれば、一秒後に待っている幸せに出合うことができるのだ。

一秒でも長く生きていたのなら、夢の中で息子に出会えるだろう。

一秒でも長く生きていたのなら、生まれ変わった愛しい人に出会えるだろう。

現に今を生きているあなたのそばには、生まれ変わった友人や守護霊となった家族が、あなたをそばで見守っているのだから。

目には見えないかもしれないし、生まれ変わってそばにいても、気付かないかもしれない。

けれどきっとそばにいる。

あなたのそばにはたくさんの人が見守ってくれています。

あなたの身近で起きた不思議な出来事はすべて、あなたが守られているからです。

あなたは一人ではない。

あなたが心から頼れる人はもう目には見えなくとも、あなたの心、あなたのそばには、きっといます。

今、目を閉じてみて下さい。

どうですか?

あなたの心の中に、誰が思い出されましたか?

何人の人があなたの心の中に現れましたか?

今現れてくれた人達は、確実にあなたのそばにいます。

「あなたのそばにいます」

生まれ変わってあなたのそばにいてくれる人。

守護霊となって、あなたのそばにいてくれる人。

「あなたのそばで、あなたを見守っているよ」

「だから一緒に頑張ろう」

「少しずつでいいから」

「人生の道を前に進もう」

「一歩、一歩、前に踏み出そう」

「辛い時は立ち止まってもいいから」

「立ち止まっても、僕はそばにいるよ」

「だから安心して」

「一緒に考えよう」

「一緒に悩もう」

「一緒に怒ろう」

「一緒に泣こう」

「一緒に笑おう」


「そして、また一緒に人生の道を歩こうよ」

感想・ご意見お願いします。

初めて書いたので、まだまだ未熟です。


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