表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スタートライン~はじまりはこれから~  作者: 葵
死の越えた後の出会い
24/44

記念写真

笑顔で撮った記念写真 幸せな写真を撮った頃に戻りたくなるほどの亀裂。

このまま時が進めば両親は離婚する。

仙堂がつけている腕時計に受信された情報。

腕時計に受信された家庭内の事情は変わることがごく稀にある。

それは人生という道の選択肢を変えたときにだけ変更される。

しかし人生を変えることは簡単そうで難しい。

人生は計画道理にはいかない。


それが人生。


自分では人生という道をまっすぐ進んでいるつもり。

気付かない間に道を曲がっていたり、気付いていてもあえて遠回りしたりすることがある人生の道。

もちろん計画道理に人生の道をまっすぐ進んでいる者もいるだろう。

計画道理の者は、運や勘が優れているからまっっすぐ進めていると誤解されるが、運や勘だけでは人生の道はまっすぐ進めない。

人生の道を一本道にするには、相当の努力が必要だ。

努力したからといって必ず一本道とは限らない。

けれど努力しなければなにも始まらない。

努力し続ければ気付かない間に道を曲がっていても、気付いていてあえて遠回りしたって きっと目的地は変わらずに待っていてくれるだろう。

しかし このままでは両親の離婚という悲しい未来が待っている。

努力すれば変えることのできる未来。

離婚とは子供にとって大きな心の傷を与えてしまう。

この家族には翔太がいる。

まだ幼い翔太がいる。

いきなり両親が離れ離れになる。

翔太にはまだ理解できないことである。


幼いから理解でないのではない。

きっと学生でも、大人であっても、親の離婚は理解できないだろう。

離婚の意味が理解できない訳ではない。

心が理解できないのだ。

もちろん親の離婚に賛成できる子供もいるだろう。

DV、借金、浮気などの離婚をせざるおえない状況の場合は。

しかし昨日まで仲の良かったと認識していた両親が離婚。

本当は仲などとうの昔から悪く、子供の前だけは仲良く見せていただけかもしれない。

こうなると子供は理解できない。


【私はどうしたらいいの?】

【私はどっちについて行けばいいの?】

【どうして・・・・・・もう一緒に暮らせないの?】 

【離婚したからって 相手の悪口言わないで・・・・・・】

【私はお母さんの味方だよ】

【私にとってはずっと私の親なんだよ・・・・・・】


両親は離婚届を市役所に提出したら、赤の他人かも知れない。

でも子供は赤の他人にはなれない。

なぜなら二人の血が流れているから・・・・・・

二人がいたから産まれて来れた命なのだから・・・・・・

二人の悪い所、良い所、全部が子供にはあって。

すべての言動が似てしまう・・・・・・




仙堂も母子家庭だった。

だから悲しい未来にはなって欲しくなかった。

それに離婚をしてしまったら。 

この家族には、もっと悲しい未来が待っているからである。

なぜなら、母親のお腹には小さな命が宿っているのだから。

仙堂との病院での再会は、翔太の通院ではなく、母親の定期検診だった。

もちろん父親も小さな命が誕生することを知っている。

だから今は幸せな家族。 

産まれて来る小さな命の誕生を待ち望んでいる。


パシャリ!

シャッターが切られた。


仙堂が見ていることなどわからない家族は笑顔で記念写真を撮った。

家族みんなが笑顔の写真。


悲しい未来が待っていることなどまだ知らない。

『よし 撮れたかな?』

翔太の父親はタイマーで撮影したカメラに近付き、撮影した写真を確認した。

『ん? あれ・・・』

父親は撮影した写真を見て、少し眉間にしわを寄せた。

[どうしたの?]

夫の異変に気付いた母親は夫に駆け寄った。

父親は写真に集中していたようで、妻が近付いて来たことに気付かず、ふと我にかえり。妻に自分が感じた違和感を伝えた。 

『え?』

『あ なんかさ』

『これちょっとそう見えるよね?』

父親は撮影した写真に写っている家族の背景にある。

我が家の二階 左の部屋の窓を指差した。

[ん? どれ]

母親は夫が指差した箇所を覗き込んだ。

[・・・・・]

母親も沈黙した。

そこには男の影のようなものが見えた。



そう仙堂の幽霊が写り込んでしまった。

幽霊がよく写真に写るのは、強い意志や強い念によって写真に写りやすくなる。

仙堂の家族を思う念が、仙堂の影を写りが写り込んだ。

[・・・・]

『・・・・・』

『気のせいだよね?』

[う うん・・・]

影は仙堂だが、くっきり写り込んではいなく、母親には仙堂とは認識できなかった。

『もう一回撮り直そうか?』

[そ そうね・・・]

『翔太 一度撮るぞ~』

二人は気分を変えて撮り直すことにした。

誰もが心霊写真を見て恐怖や不安を感じてしまう。

しかしこれは、仙堂がこの家族を思っての

現象。 

これをきっかけに、なにかを感じとってくれればいいんだが。


心霊とは幽霊の心。

幽霊の思いや気持ち写りだされるもの。

幽霊が写りだされた写真を見て感じてしまう第一印象は恐怖や不安。

実際に見える人と見えない人に分かれてしまう。

見えないはずの自分が写真を通すことで見てしまうと、脳が勝手に否定に変えてしまう。

本当に幽霊を見ることができる人なら、そうは驚かないだろう。


例えば縁側に座っているおばあちゃんがいたとする。

縁側にちょこんと座っているおばあちゃん。

そんなのどかなおばあちゃんを写真に撮ると、おばあちゃんが座っている足の上に猫がちょこんと写り込んで座っていた。

長年可愛がっていた猫。 

いつもようにおばあちゃんの足の上に座っている猫。

けれど昨年亡くなってしまった。

おばあちゃんは一人になってしまったが、写真に写り込んだ猫は変わらずおばあちゃんのそばにいた。

おばあちゃんには見えないが、ずっとそばでおばあちゃんを守っていてくれていた猫。

このようなエピソードが付くと なんだか幽霊も怖くないように思える。

自分の身内やペット。自分が知っている人が写真に写り込んだのなら、なんだか嬉しいかもしれない。

しかし仙堂は身内ではない。


パシャリ!

シャッターが切られた。

翔太の父親は再度記念写真を撮影し、恐る恐る撮影した写真を確認した。

すると今度は影のようなものは写ってなく、安堵した父親。

それもそのはず。

仙堂が写り込んでしまったことに気付き、今度は写り込まないように注意したからだ。

先程説明したが、身内が写真に幽霊として写り込んでいたとしたらそれ程驚かないかもしれないが、父親は仙堂が息子の命の恩人とは知らなかった。

青年が息子を助けてくれた現場には父親はいなかったのだ。

当然赤の他人が家族写真に写り込んでいたら恐怖だろう。

しかし母親は仙堂を知っていた。

母親と翔太が新築に向かっていたときの事故。

写真にはくっきり仙堂は写ってなかったが、なにかを感じとったような母親だった。

母親がなにかを感じとってくれたような雰囲気を感じ、仙堂は少し安心した。

少しでも心霊写真が悲しい未来を避けるきっかけになるのならと願う仙堂。


仙堂も母子家庭。

母子家庭の良い面と悪い面は理解しているつもりだった。

子供がいる家族は、できることなら離婚は避けなければならない・・・子供のためにも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ