表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マキナの落とし子  作者: Doya tsuchi
第1章 目覚め
2/20

Ⅰ. 「私」

黒塗りの空、ガラクタの山。

山の頂上で「私」は目を覚ました。


(ここは?)

両目を動かし、仰向けのまま辺りを見回す。

やっぱりあるのはガラクタの山。

背にもガラクタの刺さる痛みを感じる。



(私は、何)

意志はあるのだけれど、自分が何かは分からない。

結局何もしないでそこに転がっていると。


「オヤオヤ、お目覚めですかァ?」

顔を覗き込んで来たのは黒衣の男。

(・・・誰)

「あれェ~?ちゃんと起きてるハズなのになァ・・・。

ねェ、キミキミ。喋れマス?てかホントに起きてマス?・・・おーい?」

そう言って男は私の顔の前で手を振ってみたり、

ぺちぺちと頬を(気やすく)叩いたりしてきた。

あまりにもしつこいので身体をおこし、

じぃっと男を見やって私も口を開いた。

「・・・うるさいんだけど」


ほんの少し間が開いて、男はすぐにまた口を開く。

「こりゃ失礼を。『マキナのお嬢さん』」

「・・・?」

「え?何で無反応?・・・あぁ、キオク、無いんデシタっけ?」

じゃあ、コレを」

そう言って彼はガラクタの山から何かを引き抜いた。


現れたのは黒い木枠の鏡だった。

私は鏡を見、そこで初めて自分がどんな姿をしているのかを知った。

銀の髪。青紫の眼。

身に纏っているのは黒と紫のドレス。

足には黒いトゥシューズ。


「・・・これが、私」

全ての衣装や装飾が乗せられているのは、冷たい白磁の肌。

「人形、なのね」

「そうデスとも。キミは人形。マキナ博士に作られたからくり人形」

「そう。・・・マキナ博士、か」

『マキナ』という名前に、何故か様々な感情が押し寄せた。


懐かしさ、愛おしさ。それから・・・「怒り」。

何故、そう思うのだろう?


「さてさて、お嬢さん。ご紹介が遅れマシタ。

ワタシはオブシディアン。長いんで、ディアンとでもお呼びクダサイ。

一応、ここの案内人的な、あなたと同じ人形デス」

「・・・ディアン。ここは、どこ」

「ここ?ここは、『がらくた置き場』。まあ、廃棄場デス。

 壊れたり、古びたりしたものを置く部屋ですヨ」

「私、何でここに?古いわけでも、壊れたわけでもないのに・・・」

「さぁ?ワタシもそれは知りませんヨ。何にせよ、捨てられてるんデスから」


彼の話は続く。

彼はもうずっと昔(どれくらいかは分からないが、とにかく長い時)からここにいるらしい。

また、彼や私のように、捨てられた「モノ」がこうして動いたり話したりするのは、

この空間では何故かよくあることなのだそうだ。


「そうそう、お嬢さん。

こんな話、知ってマス?」

黒衣の男は私にとある物語を聞かせてくれた。


―そしてそれは、私の「これから」を作っていくことになる・・・。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ