Ⅴ. 裁縫道具の剣と装飾品の盾
私はチャリオットの銃剣を取り上げようと再び奮闘する。
剣で払い、盾で受ける。
攻撃の手は全く緩まない。
一方、ディアンの方を見てみれば、
いつの間にやら馬は2匹まとめて縛られている。
リボンで。
「お嬢さーん、まーだ終わってないんですカ~?
こっちはもう終わりましたヨ~?」
ディアンが遠くから大声で馬鹿にしてくる。
・・・やっぱり、こっち任せればよかった。
「じゃ、ワタシの仕事は終わりましたカラ!」
そう言ってガラクタ川の方に駆けていく。
「・・・」
逃げた。
・・・いや、あれでいい。
私が自分でこっちの相手するって言ったんだから・・・。
走り去るディアンにちょっと溜息。
でもすぐにチャリオットに向き直って、
私は左手の盾を・・・投げた。
盾はチャリオットの右肩の方、そしてその後ろへと飛ぶ。
「ちょっ・・・何してるんですカ!
馬鹿なんですカ!!?」
ガラクタ川から声がする。
「馬鹿」の言葉に腹が立つが答えない。
すぐに身を屈め、チャリオットの視線が盾の方へそれた隙に、
相手の片足を蹴り、足元を崩す。
次いで私は倒れたチャリオットから銃剣を取り上げ、
チャリオットの服を針で上から突いて、床に縫いとめた。
動きを封じたと思ったのもつかの間、
チャリオットは針の刺さっている服を破いて起き上がり、
なおこちらへ向かってくる。
ただ向かってくるのではない。
何か新しい武器を持っている。
私はいつの間にか両手で握られている武器に驚いた。
銃剣よりもはるかに危険な。
機関銃だ。
(何で、そんなものを・・・!?それも、いつの間に)
発砲される前に、床に刺さっていた剣を取り、
近くのガラクタ川へ取り上げた銃剣を放り投げ、声を上げる。
「ディアン!」
「何ですカー?」
「盾になる物、こっちに寄こして頂戴!」
「だから馬鹿ですカって言ったんですヨ!」
「今はそんなことどうでも良いから、早く!」
「んもー全く人使い荒いんですカラ・・・ホラ!」
ディアンは近くに埋まっていたブローチを引き抜き、私へ寄こす。
大きな宝石の埋め込まれたものだ。
受け取ったブローチの裏側に私は隠れた。
最初に持ってた盾よりずっと良かった。
ダダダダと連続の発砲音。
カンカン、と発砲の度に、ブローチが跳ね返す音も聞こえる。
私は身を小さくして、弾丸の勢いが止まるまでブローチの影にいた。
ブローチの装飾が所々取れている部分から相手の様子を窺いながら、
じっと待って、しばらくすると音が止んだ。
私はチャリオットがその場にいるのを確認する。
留め具の部分を持ち、相手の方へ走っていき、
ブローチを相手に向かって思いっきり倒した。
私と同じくらいの体躯のチャリオットはブローチの下敷きとなった。
あまり重い物でもなかったが、人形は無事だろうかと、
ブローチを上げると、もう、チャリオットは動いてはいなかった。
両の眼も閉じており、剣を突きたてた部分の服以外は、
ほとんど傷がなかった。
「機能、停止ってトコですネ」
ディアン、そしてミルティが私の隣に来ていた。




