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奴隷勇者  作者: 雨風炉
始まりは優しさと温もりに
1/12

平穏な日常

 高校生になって3年、長かった受験シーズンも終わり明日には卒業式だ。

 高校に入って三年、少し前まで先輩を見送っていたのがもう俺達の番みたいだ……。

 気がつけばもう卒業か……長かったようで短かった……。正直実感はわかない。


 俺は小学校の頃からずっと一緒にいる友達と同じ高校に入った。友達とは親の趣味でしてるバスケのクラブチームの子たちでみんな近所の幼なじみってやつだ。


 もちろんその子供の俺達もバスケバスケと言われて育ってきてみんなバスケするバスケ小僧。

 大学はみんな県代表に選ばれるくらいバスケが上手かったんでそのままスポーツ推薦もらって同じ大学に入ることになっていた。

 スポーツ推薦はもらうほどバスケはしていたが、テストとかはバスケ仲間の中でも頭のいい奴らに教えてもらっていたからクラスの高得点組に入っていた!


 よく考えると、高校を卒業してもこの幼馴染達とは離れるわけではないからあんまり寂しくない。

 後悔といえば彼女が出来なかった事ぐらいだろう。


「ひろやす~」


 もう数えるほどしか残っていない放課後を終えて学校を出ると、幼馴染の四人がやってきた。


「お前学校出るの早すぎ」

「どうせみんなバス停に集まると思ってさ」

「まぁここでバス待たないといけないからな俺ら」

「そうですね、でも弘泰はバスが先に来たら僕達をおいて先に帰るでしょう。悲しいほどに冷たい人です」

「ひどい直敬!バスが先に来てもちゃんと待つよ!そこのバカ亮太と一緒にしないでくれ!」

「俺が馬鹿でアホで雑魚だとぉ?てめぇ!ケンカ売ってんのか アァン?」

「そこじゃねぇよ!てかそこまで言ってねぇよ!」


 いつものくだらない掛け合いにみんな笑ってしまう


「ハハハ、ホント亮太は怒りっぽいね」

「それが亮太のおもろいとこじゃろ」

「潤!健吾!テメーらまで馬鹿にするのか!!」

「こら亮太!君は声が大きいのでは少し静かにしてください。またあの人たちに怒られますよこのバス停の向かいの家なんですから」

「アァン!ヤクザがなんぼのモガモガ……」

「バッカ!やめろバカ亮太!俺達も怒られるんだぞ!!健吾もコイツの口塞ぐの手伝え!」


 などとじゃれ合っているとバスが来たので足早に乗りこむ。


  またいつぞやのように怒られるところだった、高校卒業間近でまたあの人たちに怒られるのは本当にゴメンだ。


「ふぅ……助かった-」

「亮太の反骨精神は試合の時だけにして欲しいもんじゃの」

「まったくです」

「ハハハ、さすがに僕もちょっぴり怖かったよ」


 それぞれ顔を青ざめつつ短気な性格の亮太を嘆いた


 まぁそれが亮太の短所であり長所でもあるんだけどどな。


「ムガームガー」

「ほらコレで喋れるだろ」


 そう言って口に詰めてたハンカチをとった、もちろんコレは亮太の親から渡されたものだ。

 昔からこういった事があるときがいつもこうやって口に詰めていたので何も問題はなかった。


「それで皆さん、今日の夜練はどうしますか?僕は行きますが」

「僕も行くよ!バスケするの楽しいからね!」

「お!おっしゃ!じゃあ俺も行くぜ」

「そんなら俺もいこうかの」


 いつも通りみんなは夜やるクラブチームの方の練習に出席するようだ。


「しかたないなぁ、俺も行ってあげようかぁ。やれやれ、本当に俺がいないとダメなんだから」


「「「別に来なくてもいいぞ(よ)」」」


「アハハハ」


 潤以外声を綺麗に揃えて言う、息のあった素晴らしいツッコミだ。

  

  だけどこうも皆が否定するとさすがに俺でも傷つくぜ。我らの良心代表の潤も笑っているだけで特に否定もしないとこが余計に辛い。


 きれいなボケとツッコミを終わらすと同時にバスが停まった。

 窓の外を見るといつものバス停についていたので、いつも道理に運転手に定期券を見せてバスを降りた。


 バスを降りると俺達の家がある団地についた

 バス停のすぐそばに潤の家 その裏手に健吾の家、その向かい側に直敬の家、バス停に戻って道路を挟んだ向こうに俺の家と亮太の家がある。

 近すぎて赤ん坊の頃から知り合いなのだ、もはや兄弟と言っても過言じゃない。


「じゃぁ、またあとでな!」


 俺がそう言うとみんなそれぞれの家に帰っていった。


「ただいまー」


 家に帰ると。リビングで母さんがテレビを見ながら洗濯物を畳んでいた


「おかえりー。ひろ~?あとで畳みおわった洗濯物。持って行って頂戴」

「わかったー」


 自分部屋にかばんを置いてからリビングに戻ると洗濯物を収納して自分の部屋に戻った

ベッドに寝転ぶと鞄から今日もらった卒業アルバムを取り出した


  さてさて、あいつらの顔写真がどうなっているか、あとで笑ってやろう!ニシシ

 

 みんな同じクラスなので見つけやすい、出席番号は名前順で一番早いのは潤だ


   小湊 潤 出席番号8番

  サラサラの髪にタレ目気味で優しい目元に、チャームポイントの左目の涙黒子。白い歯をキラリとさせたスマイルが合わさって完璧なイケメンとなしている写真だ。


  写真からもわかるように運動神経バツグンで学業成績もほぼ最高なイケメンの潤は学校で一番もてていた。

  悔しい!でも嫉妬するだけ無駄!そんな事をあいつと過ごしてるうちに覚えて俺は、俺達は一歩大人になっていた。

  バスケではボール運びとスリーポイントライン外からシュート決めるシューティングガードをしている。


 次はバカアホ亮太


   嶋 亮太 出席番号14番

  ツンツンにとがった髪にガンつけてくるヤンキーのようなきつい目つきで馬鹿丸出しな写真だ。


  コイツは4人の中でも一番家が近くてよくうちの庭で遊んでいた。うちと言っても俺と亮太の家は隣同士で、その庭にあった塀を壊してつなげてあるので厳密には違うけど、でもいつもそのつなげて広くした庭で1on1をしている。

  特に夜練が終わった後やり足りない時、試合で思うように行かなかった時とかにやっている。

  ポジションはゴールに近い位置でのシュートとリバウンドを主とするパワーフォワード。


 次は僕らのメガネくん直敬


   周防 直敬 出席番号15番

  左右にきっちり分けられた髪は品行方正さを伺わさせる、その下のスポーツタイプのメガネの奥に隠れた鋭い眼光はどんな悪事も見抜き…そう。口元は固いそんな写真だ。


  直敬は潤よりも頭が良くて少し上から目線なとこがあるけど、いうことは正しいしこいつのいう事聞いていればだいたい物事がうまくいく。

  潤よりも頭が良くて実はメガネを外すと鋭い顔つきの野獣系イケメンになる。

  わからないことがあれば直敬に聞くこれが俺たちの共通認識だ。バスケでも皆の司令塔で何でもこなすポイントガードをしている。


 次は広島弁のやさしい巨人健吾


   中野 健吾 出席番号20番

  刈り上げた髪が凛々しく力強さと優しさの入り混じった目が少し古風な感じ醸し出している写真だ。


  健吾はもともと小学校の頃広島から転校してきた子で直敬と潤が夜練に連れてきてからの仲だ。

  小学生の頃の健吾は俺達と身長一緒だったのに高校になるとデカくなりすぎて高校の渾名は巨人になった。

  本人は温和なのでそんな渾名になっても特に気にしたりせずむしろ皆と仲良くできて嬉しいとまで言っている。

  ちなみに影で女の子から「巨人くん真面目で頼りになってカッコイイよね-」とささやかれている。ウラヤマ


  よし!最後は俺か・・・


   真柴 弘泰 出席番号26番

  ツーブロックのスポーティな髪型に奥二重のタレ目(なのだが周りの人が言うには潤のおっとりしたタレ目じゃなくとぼけたタレ目)でとぼけた様な顔をしている写真だ。

 ただし一度スイッチ入るとキリッとしたぱっちり二重になる、あまりにも奥二重の時と雰囲気が違い、よくバスケの試合後に『誰お前?』と言われてしまう。母親曰く『普段は私似で二重になったらパパ似』らしい。


 よし普通だな!まぁ俺は普通だからな!普通!


  ちなみに俺達の身長は上から 健吾192>亮太188>俺185>直敬183>潤180 で、学年の長身トップ5だ。


 時間も忘れてついこの前のように思える出来事を振り返りながらページを捲っていると扉のノック音が響く。


「ひろくん、そろそろ行かないと間に合わないんじゃないの?」

「わかったー」

 

 部屋の入口の横に準備しておいた俺の背中を覆い尽くす程ある巨大な黒いバッグ、どんなとこでもバスケが出来るよう色々詰め込むために買ったお気入りのバッグだ。その大きなバッグを背負ってしっかり背負い玄関を出て自転車に乗る。

 

 夜練は近所の中学校の体育館を借りてやっている、今まさに沈みこもうとしている赤い夕日の中、俺はゆっくりとペダルを漕ぎだした。

12/12 改筆 弘泰の容姿について詳しく書き直しました。

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