番外編・stranger
今日は朝から充実した日やった。
久々に若い奴等と稽古していい手応えを感じた。こないだの事件の後やし、気合いの入り様が違っとった。あれで固さが無くなれば言うことないんやけど。
そいでから、料理人の見習いが血相変えて飛んできてトモちゃんの一大事やって慌てて行けば、何をどうしたんかしらんがちっちゃなっとるし。
あれはかわいかった。
ふにふにの子供やのに、中身はいつものトモちゃんやから目付きがなかなかで、好きにでけんで困るボッシュがいつもながら笑えた。
それにしても。
「空気が冴えて、いい夜だね。男の思い出し笑いは気持ち悪いよ?」
コイツ。
「どっから出て来たん」
綺麗すぎてぞっとするわ、この顔。
「ちょうどあんたの事、考えとった」
「やめろよ気持ち悪い」
変な奴や、背中見せたら殺られそうな気がするのに怒りや殺意って感じがせん。得体が知れんな。
「あんた魔導士なんか?昼間のあれ――はまぁ置いといて、トモちゃんはほんまに大丈夫なんやろな」
「魔導士、が何か知らないんで答えようがないなぁ。自分でも上手く説明できない。それと戻らなくても僕のせいじゃないからね。文句は作った人にお願いします。まぁ、その時はあいつがやるでしょ。他人の嫁なんかほっときなよ」
へらへらして、本心を見せんやっちゃな。
気配も、ゆらゆらしとる。
つぅか、なんかなぁ。
「それより、聞きたい事があるんだよ。昼間もちょっと言いかけたけど、探してるものがあって……」
「フェルゼンフェルト、おはようございます。おや、傷だらけでどうしました?まさか年甲斐もなく喧嘩したなどと言いませんよね。あぁ、動きにくそうなあなたにぴったりの仕事がありましてね。昨夜誰かが窓や柵の一部を壊しまして、修理をしなくてはいけないのですよ。なに、簡単な作業ですよ。居住部ではないのですがこの季節ですから、早急な対応が必要だと思いませんか?」
「喜んでやらせていただきます、副隊長!」
なんでばれたんやろ。
話し合いがこじれて乱闘になったものと思われます。
レイジーは目的(薬の納品とボッシュの嫁を見る事、お宝の情報収集)を果たしたので、さっさと帰りました。




