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77話・用意、ドン!

弟 ボッシュ視点です


姉が小さくなった原因と思われる、ミントの様な色の固形物。


僕達には飴に見えるんですが、どうやら違っていたようです。白い紙で包んで二ヶ所ひねってあるのに。

食べたら甘かったらしいのに。



ここの砂糖にあたるものは根菜みたいな野菜からできていて、出来上がりは三温糖のように茶色です。

それから作るから、飴は全て茶色だそうです。


人工着色料に毒された僕達には、この透き通った緑がむしろ自然ぽく見えていました。思い込みって怖いです。



しかし、それなら何だって姉にそんな物を渡したんでしょうか?

人を小さくする薬が簡単に作れるとは思えません。



まさかロリ……?

命の危険はないけど貞操が危ないとかそういう事でしょうか?



「多分、面白がってるか何も考えてなかったかのどちらかだと思う」



嫌な想像をしてしまった僕に、苦虫を噛み潰した様な表情で言うボッシュさん。


本人が地味な性格の割りに周りにはっちゃけてる人が多いのは、気のせいでしょうか?

振り回されてため息をつきながら付き合う姿が簡単に思い浮かびます。


「ねぇねぇ、あの子はトモちゃんなの?お姉ちゃんなの?いつもよりすっごく短いよ!」



騒ぎに加わることなく、僕の隣でのんびりしていたアーニャちゃんが、やっと気付いたように言いました。



「短い、じゃなくて小さいって言うんだよ、こういう時はね」



不思議な言語センスを持つアーニャちゃんは、年上の人をひっくるめて大きいと表現するので、紛らわしいことこの上ないです。

先日の犯人を目撃していたけれど、『でっかいおじさん』と言っていたために騎士の皆さんは惑わされてしまったし。


性格的にはとてもしっかりしているし、お母さんは丁寧な話し方をするので、猟師をしているお父さんの影響でしょうか?

気付いたら直してるんですけどね。


「まだ砦に居る筈だから、探してくる。――手伝ってくれ」



ボッシュさんは抱き上げた姉の耳元へ優しく言って、後半は暇そうな見物人達への依頼に見せかけた命令です。別人です。



姉は肩口に伏せていた顔を渋々あげましたが、何かを訴えかけるようにボッシュさんを見詰めています。


多分、もっとくっついていたいとか一緒に行きたいとか言いたいんだろうけど、素直に言えないんでしょうね。我が姉ながら可愛いですね!


そんな姉を見てボッシュさんはまた固まりましたが、吹っ切るように咳払いしてから、姉を持ち直します。


多分誰かに渡そうとして、期待に満ちた目で見ていたジルさんをはじめとする女性達のグループに行きかけてぐるりと方向転換して僕とアーニャちゃんの隣へ座らせました。



合格です。



小さくなった姉から見るとジルさんや騎士でない女性も大きく見えて、それはきっと姉にとっては嫌な記憶を思い起こさせることになるでしょう。


無愛想だけど、こうして繊細な心遣いをしてくれるから、姉を任せても大丈夫と思えるんですよね。


本人にはぜっったい、言いませんけど。



「あの人見つけたら、元に戻れるのかな」


「みじ……小さい方が可愛いから大丈夫よ~」


「あんた……」



隣から冷気が漂ってくるのは、多分僕の気のせいでしょう。

姉も、サイズが同じとは言え子供と同レベルで喧嘩はしない、筈です。





○ ○ ○ ○





機嫌が最悪のトモを置いて行くのは心苦しいが、あの馬鹿を知っているのは俺だけだ。


マイヤーくらいならアレを探し出すのは問題ないだろうが、何故か嫌な予感がする。どこか似たような部分のある二人があったら、共感するか反発するかの二択だろう。

これ以上騒ぎを大きくしたくはない。




「どこから探しますか」



連れて来たのは七人。

代表して、クルトが口を開いた。



「対象は男、長髪で色は黒く、大抵後ろでまとめてある。目は青で左目を負傷しており布で隠している。肌はかなり白く、女みたいな面だ。身長は、俺の、眉辺りだったかそのくらいだ」



「かなり特徴的な奴?すぐに見つかるんちゃう」



伸びをしながらマイヤーが言うと、他のも頷いた。



「まぁ、本人に隠れる気がなければな。人当たりはいいが気紛れで、手が早い。全く勝てる気がせんな、あれは。仕事で来ているから剣は抜かないだろう」



そこまで言うと、そばかすだらけの顔を青ざめさせた若い奴が挙手をした。



「あの、その人って、先輩と一緒に貴族の姫君を助けたって噂の魔導士ですか」



恐る恐る、という風情での発言に眉間に力が入るのを感じた。


なんだ、噂って。

そういえば、こいつの父親は宰相の部下だったか。




「貴族じゃない、豪商だ。商いの手を広げすぎて恨みを買った父親のとばっちりで誘拐された娘を偶然助けた。まぁ、魔導士というのはよく解らんが、普通じゃないのは確かだな。剣の腕も立つ」


「何でそんな奴がここにおんの」


「功績をあげて薬師の店を開く許可をとった、都で。届けに来たんだろ」



普段は鳥に運ばせるくせに態々雪の中こんな所まで来たのは、トモ達を見るためだろう。

どこかで、十中八九うちのじじぃだろうが、話を聞き付けたに違いない。



「何て言う人ですか?」



何故か先程からやる気が溢れ出した女性騎士が、目を輝かせている。

よくわからん奴。



「名は、レイジーだ」






あれ、まだ会えませんでした。


リョータ視点で書いてて思ったんですが、こいつ生意気ですね。




ボッシュさんの語る過去話は番外編で入れるか、独立させるか未定です。




では、次の更新は出来るだけお待たせしないように頑張ります。

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