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68話・雪のように白い人なんて居ないと思う

姉 弟 視点です



あれ以来、自分に余裕がでてきたと思う。ただ皆のなま暖かい視線が気になると言うか、恥ずかしい。


食堂の勤務の時、ボッシュさんが声をかけてくれたりちょっと撫でてくれたりすると、それはもう顔から火が出そうなんだけど!


若い騎士なんかはあからさまに冷やかしてくるし。


ううぅ。慣れない。



結婚の誓約?をラーソンパパとケラーさんの前でしなきゃならないのに。



「結婚式は、ないんだ。意外に事務的ですね」



ボッシュさんの実家、フォザーギル家から預かっていたという指輪を持ってきた弟が、あんまり残念そうでもなく言う。

何日か前に渡されてたのに忘れていたらしい。


いい度胸だ弟よ。


その間、ボッシュさんとラーソンパパは物凄く心配したらしいのに。二人とも見た目からじゃわからなかったけどね?



「普通は、本人とその家の家長が、役人の立ち会いの元誓約書を交わす。今回はうちのアレは来ないがな。隊長がいるから問題ない」



なぜだかボッシュさんは、してやったり、みたいな顔で言った。

こんなどか雪じゃなきゃ、マルキンさんは絶対来ただろうなぁ。なんか、ボッシュさんが嫌がるのを解ってて色々やってるような、そんな気がする。基本的に仲の良い親子なんだよね。

ボッシュさんのお母さんにも会ってみたかったな。



うぅむ。しかし、結婚。まさか十代で結婚するとは思わなかった。破綻した結婚生活を間近で見てたから、無理かもと思ってたし、こんな世界だし。

父上やジジババには報告できないけど、弟が認めてくれてるのが救いかな?



「じゃあ、また後でな」



任務に復帰したボッシュさんは、夜の巡回に出掛けていく。本人よりもパイクさんの方が喜んでるのが相変わらずで笑えた。


でも、最近の噂で、砦に怪しい人物が出没しているらしくて巡回の人数や回数が少し増えてるみたいだ。



「トモは食堂行くでしょ。ロボと送ってくよ」



せいぜい五分くらいの距離なんだけど。拒否したらお小言をくらいそうだから好きにさせよう。





そうして部屋を出て、ざくざく雪を踏みながら食堂へ向かう途中。

女の人が中間地点で仁王立ちしていた。

暗いから微妙だけど、明るめの巻き毛をバンダナっぽいのでまとめて、この辺りの冬の定番、ワンピースとエプロンドレスの重ね着にショールを羽織っている。

騎士ではないし、文官にもこんな人はいなかった。

割りと美人だから会ったら覚えてると思うんだけど、まぁ私だからな。



「あなたよね、トモって」



『トミョ』って聞こえたんですけど。発音しづらいのは解るけど、険しい顔とのギャップが笑える。横に居る弟はツボに入ったらしくて、吹き出すのを我慢して小刻みに震えてる。



「はぁ、ハジメマシテ?私がトモですけど、何の用ですか」



多分知らない人だから、十分な距離をとった。私だって学習したんだ。



「あなた……あなたみたいな、余所者の小便臭い小娘が!あの人に相応しいとでも思ってるの!?お優しいから同情されているのよ、勘違いしないことね!」



おぉぉぉ。


早口で聞き取りにくかったけど、悪口を言われたのは解った。

これはあれだな、いじめ?ちょっと違うか。でも、よくあるパターンだ。



きっとこの人はボッシュさんが好きなんだ。この流れでそれ以外はないだろう。


オルガは例外だったとしても、パイクさん達若い騎士以外にモテないから安心してたんですけど。


隠れファンがいたんだろうか?



元カノ、とか?






○ ○ ○ ○






ボッシュさんの女性関係、綿密な聞き取り調査の結果障害はないハズだったんですが。


寒い中わざわざ待ち伏せする程気合いの入ったライバルが出現するとは予想外です。



良い家柄の出身にしては婚約者もいなかったし、本気でお付き合いしたような相手はパイクさんやマイヤーさんも知らなかったので、この女の人はまぁ、その他大勢の中の一人、水商売の人、ストーカー……何にせよ失礼な想像しか浮かびませんが。



喧嘩売ってきたのは向こうが先ですからね。


姉はちょっと驚いた顔になって、そのまま悩み始めたようです。



「どこのどなたか存じませんが、うちの姉を侮辱するのはやめてください。それと、ボッシュ・フォザーギルとは正式に、是非にと望まれて結婚するんです。勿論僕達の養父カール・ラーソンとあちらの家長とも合意の上で。異議を唱えるなら、正式に訴え出てはいかがですか?――トモ、仕事に遅れるよ?行こう」



「うぇ?あ、うん。それじゃあ」



姉が呑気にぴょこ、と会釈するのを引っ張って、暖かい食堂へと急ぎます。こんな所で立ち話してたら、軽く凍傷になる気がします。まったく。


女の人は、僕達が通るのを無言で見詰め、何も言い返してはきませんでした。ちょっと情報を集めるべきですかね。ジルさん達なら何か知ってるかなぁ?



せっかく姉の機嫌が上向きになってきてたのに、面倒ですねぇ、あの野郎。

ソープオペラ的展開はごめんですから、早めに潰しておかなきゃですね。



あああ何かすいませんごめんなさい!



更新のない間も見てくれていた皆様ありがとうございます!


少しずつですが進めてまいります。

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