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36・お宅拝見

姉 弟視点です


昼過ぎに、都に到着した。背の高い壁に囲まれた、広大な都市。全体が丘の上にあるようで、私達が入った門から見ると、段々畑?みたいだった。

一際高いところに、王様のすんでいるお城があった。旅行会社のチラシで見た、モン・サン・ミッシェル?に似た形。ちょっと怖そうな雰囲気。夢の国にあるシンデレラのお城みたいのを想像してたよ。


街の中は道も広くて、大抵のとこで馬車が余裕ですれ違える。しかも石畳はきれいに平ら。


街行く人は、色んな格好で見てるだけで楽しい。


ドレス姿でお供のイケメンに荷物を持たせる女性、刺繍たっぷりの豪華な衣裳で馬に乗ったおじさん、服は粗末だけど立派な剣を背負った冒険者風の若い人、寒さで真っ赤なほっぺをして走り回るちっちゃい子供達などなど・・・。


にぎやかで、生きてるって感じがいっぱいする。


うっとりしていると、段々静かな区画に入って来たらしくて、道を歩いている人は格段に減った。

馬に乗っているボッシュさんが近付いて来て、窓から顔を出している私に向かってちょっと屈んだ。



「あそこだ。もう着いたから」



高い木が植えられて建っているそれは、かなり立派なお屋敷だった。門から玄関が見えないくらいの。



「ボッシュさんも、お坊っちゃんだったんだね」



弟が自分に頷きながら言った。

広くて静かで、でも派手じゃない。ボッシュさんがここで育ったのはすごく納得できる。冬じゃなきゃ、庭でお昼寝したいな。

初めて来た他人の家なのにすごく落ち着けそうな気がした。



「と〜うちゃく〜」 



マイヤーさんの声がして、馬車はゆっくり止まった。

ああぁボッシュさんの実家だ!ドキドキするっ。

私達が馬車から降りて家を眺めてると、扉がガゴッ、と開いて、久しぶりのお爺ちゃん――マルキンさんが出てきた。その後ろからはオレンジ色の髪をアップにして花柄のドレスを着た美人さんと、金髪くるくるの天使みたいなちっちゃい子が現われた。



「お久しぶりです」



アガサさんとマイヤーさんが、握った右手を左胸にあてて挨拶をする。騎士の礼らしい。背筋をすっと伸ばして、格好良い。



「遠いところをよく来た、疲れたろう」



そう言って、私と弟の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。後ろでボッシュさんの唸り声が聞こえた気がした。



「初めまして。私はルシンダです。この子はマーシャルですわ」



口元に笑いジワができる優しい笑顔だ。まだ若い、30前に見えるから、マルキンさんの奥さん、なわけないよね。



「長兄の、ロデリックの奥方だ」



ボッシュさんが、マーシャル君を撫でながら言う。

兄嫁と甥なのね。奥さんすげー若い!お兄さんやるなあ。



「立ち話してたら凍ってしまうぞ、皆。入りなさい」



マルキンさんに促されて家に入った。


中は広いエントランスで、正面に階段があった。

人の歩くところは厚い絨毯が敷いてあって、カーテン類も暖色系で統一されていた。でも絵とか壺とかの飾りは一切無くって、すごく『らしい』家だ。



「こっちこっち!僕の部屋案内します」



私と弟の手を片方ずつ引っ張って、マーシャル君が興奮したように跳ねた。かわいいな、4、5歳くらい?皆の方を見ると、微笑ましい、という目でこっちを見ていた。なんだか照れる。



「ご案内が終わったら、戻ってきてね。お茶にしますから。お母様が焼いたお菓子を食べていただくのよ」



まったりと、声をかけられた。くすぐったくて、弟と顔を見合わせて、笑った。



○ ○ ○ ○




ボッシュさんの実家は中々の豪邸でした。お城からは遠いのですが、門から玄関まで馬車で行くほどの庭。落ち着いた佇まいで、庭の木々もきちんと手入れがされています。



着いたらすぐに家族の皆さんが迎えに来てくれて、マルキンさんにはとても歓迎されました。頭を撫でてくれたんですが、皆の前では恥ずかしかったです。

ボッシュさんの上のお兄さんの奥さんルシンダさんと甥のマーシャル君も、優しく迎えてくれました。



家に入ると、マーシャル君が僕達を案内してくれると言って、腕を引っ張られて新鮮でした。

このくらいの年の子とは接触したことがありません。ルシンダさんに優しく促されて、姉を見ると、なんだか照れたような顔になっていました。



「ここは父様の部屋、入っちゃいけません」


「ここはお爺さまの部屋、いろんなものがあります」


「ここは母様の部屋、いい匂いがします」


「ここ、僕の部屋!どうぞ入って!」



マーシャル君は丁寧に案内してくれて、最後に小さな部屋に入れてくれました。とは言っても10畳はありそうです。

緑色系でコーディネイトされた部屋で、ベッドと机とソファーが置かれて、絨毯の上にはおもちゃやお絵描きセットらしきものが転がっていました。

なぜか木刀のようなものもありましたが。



「一緒に遊びましょう、ええと…」



あ、名乗ってなかった。



「お姉さんはトモだよ」



「僕はリョータ。よろしくね、マーシャル君」


貴重な年下の友達GET!

いくらでも遊んであげますとも!


それから質問攻めで、ロボ達の絵を描いて説明していると、ボッシュさんが呼びに来ました。

戻るのをすっかり忘れていました。

マーシャル君はボッシュさんに抱えられてじたばたして、まだ途中だったと文句を言っています。



「お前が独り占めするのはずるいぞ。義姉上も待っている」



「あ、そうか、ごめんなさい。夢中になってた」



姉が謝ると、ふわりと撫でて優しく微笑みました。姉にはベタ甘ですね。



「…じゃあ、夜遊ぼうね?リョータもトモも一緒に寝よう」



にっこりと言う天使のようなマーシャル君をボッシュさんは睨みました。

幼児に嫉妬してどうするんですか。



もうそろそろ人物紹介第二段をだしますね

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