番外編・ボッシュの日記
ずっとボッシュ
巡回警備の時に子供を2人拾った。
ひどく痩せているが着ているものはいい生地を使っている。捨て子や放浪者ではないようだった。
森から迷い出た初めての人間かもしれない。
正体が何にせよ、悪いものではないだろう。
哀れな子供達だ。
拾ってきた子供はトモとリョータという姉弟だった。トモは少し発音しにくい。
リョータは隊長の前では固まっていた。まぁ大抵初対面の子供は泣くので仕方がない。隊長は実は子供好きなのに。
トモは反対に目が輝いていた。よくわからん。
賢しい弟が姉を守っているようだが、本質的な部分は逆なのかもしれない。
窓を開けて寝たら朝寒かった。
訓練でパイクが失神した。レオがやりすぎた気もするが、それにしても腑甲斐ない。
レオがいい気になるのも癪なので強めにやっといた。最後は外騎士と内騎士で乱闘になった。
いつのまにかトモは食堂で働くようになっていた。無愛想なあの子でやっていけるのか?
リョータはパイクのアレ達の世話らしい。パイクと2人気が合う様で、よく一緒に獣をいじっている。
これでパイクは訓練に時間がとれる。リョータはやたらジルに懐くのでよしとしよう。
トモは若い騎士に人気らしい。
普段無愛想なのに仕事中は頑張って笑うとか
リョータがいると本当の笑顔が見られるとか
華奢なところがいいとか
ジルにちょっかいだすのが減ったのはいいが、アレはまだ子供だぞ?
食堂でジルとリョータと女騎士達で固まって何か騒いでいた。料理を待っている間に眺めていたら、珍しくトモが話し掛けてきた。
リョータは昔から年上女性にもてると。
ただジルに関しては母親のように感じているのかもしれないと。確かに、ジル本人も2人に対して過保護とも言える接し方だ。
年齢的にジルのためには姉にしてやってほしいと思っていると、
実の母がらしくなかったからですかね
といつものように表情も変えずに呟くので、思わず頭を撫でてやった。
くすぐったそうな顔で笑う顔は猫のようだった。
後で他の奴らにずるいなどと文句を言われた。なんでだ?
今日は囚人が2人脱走して肝が冷えた。
地方から都へ護送中の罪人で、役人が警備をこっちに任せずに意地を張るからあんな事になった。
愚かな罪人は、あろうことかジル達を襲って人質にとろうとしたらしい。そこでリョータに手を出したところで、トモに逆襲された。
ジルの悲鳴が聞こえて俺達が駆け付けた時、ちょうどトモが男を投げ飛ばすところだった。手首を掴んだだけでなぜああなるのか?
そしてトモは更に男の股間を踏み躙っていた。あれはもう使い物にならないかもしれない。
リョータは首もとにアザとこめかみ辺りを地面で打って擦り切れていたが、たいしたことはなかった。
会った時に一緒に行ってやればよかった。
ジルによると女に間違えられたらしい。リョータの憮然とした顔を初めて見た。
トモはいたって普段通りだったので、なんとも心配になった。自分も危なかったとわかっているのか?
もう1人のやつは反対方向に逃げていたらしいが、すぐ隊長に捕まったらしい。どちらが不運だったのか?
フラグがたったのか
まだ本人も自覚無し…
気になるのは女性としてか父性のようなものか