1・初迷子
弟視点
皆さん、こんにちは。
僕はリョウタ・アーロン14歳です。
姉のトモ・アーロン17歳と一緒に夏休みに祖父の家(アメリカの北部の田舎)に遊びに来ています。
今日は近所の森で、
「これ一杯にベリーを摘んでこい」
と父にバスケットを渡されてせっせと採取していました。
が?
「リョータ、なんか寒くない?」
初のベリー狩り〜と機嫌よく作業していた姉が僕のシャツをひっぱります。
「急に暗くなったし、奥に来ちゃったかな」
言われてみれば、霧が出て冷気が漂っていて、風邪を引きそうな気温になっています。このままでは姉からの八つ当り確定です!
「沢山とれたし、もう帰ろうか、トモ」
もちろん結構な重さのバスケットは僕が持っていますから、姉はサクサク進んで行ってしまいます。年長者として心配とか保護欲とかそういうのはないんですかね?
「なにこれーっ!!」
僕が心の中だけで愚痴をこぼしていると、普段はテンションが低くて冷静なはずの、姉の絶叫がきこえました。
バスケットを抱えなおして姉のそばまで行くと、僕もさすがに驚きました。
「どこ、ここは」
森を抜けると、なんということでしょう、そこには石造りのお城のような、砦のような、どでかい建築物がそびえていたのです!
・・・道を間違えたんだ、きっと。そうに違いない。