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#蒼依サイド #二歩目

 部屋に戻り、軽くため息をつきながら、私は制服の上着を脱いで、ハンガーにかける。

 クローゼットをぱたんと閉じたとき、学校で過ごした時間が、静かに消えていくような気がした。


「……あいつ、なんであんなこと覚えてるのよ」

 小さな声でつぶやき、ベッドに倒れこむ。

 やさしく頬に触れたのは、ふわふわしたクマのぬいぐるみ。無意識に抱き寄せたそのぬいぐるみは、小さい頃からずっとある。


「秘密だって言ったのに、なんであんな簡単に話しちゃったんだろ……」

 鼓動の速さを感じる。ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、目を閉じると、今日の春樹の表情が浮かんできた。

「ふふっ、私との写真を待ち受けにしてたんだって……そんなこと、普通、簡単に言える?」

 机の上に置いてあったスマホを手に取って、さっと画面を開く。今日の試練で増えた恋ごころの通知がまだ表示されていた。


「恋ごころなんて、ゲームのポイントにすぎないじゃない……」

 そう自分に言い聞かせるように画面を閉じても、何だか落ち着かない。目を伏せるように、そっとぬいぐるみに顔を埋める。

「でも……なんでこんなに落ち着かないんだろ」

 気づかないふりをしても、確かにそこに存在する感情。その小さな芽がすこしずつ成長し始めているのを、私はまだ自覚していなかった。

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