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#二人の物語 #クリスマス #お出かけ3

 受付でスマートフォンのQRコードを提示すると、スタッフが二人の手首に、何色かあるリストバンドを手際よく巻きつけていく。


 蒼依の腕に巻かれている緑色のリストバンドと、自分の腕に巻かれている赤色のリストバンドを見ながら、クリスマスカラーだなと、春樹は何となく思っていた。


「これが通行証か。なんか、蒼依とパーティを組んだみたいだな」


 春樹が手首のバンドを軽く引っ張って見せると、蒼依も自分の手首を並べるようにしてかざした。


「……こうやって写真撮って、アップしてる人たち沢山いたよ」

「周りにもやってる人いるけど。俺たちはそういう感じじゃないよな」

「あ、当たり前でしょ。別にちょっと写真撮ってみようかなとか思ってなかったし」

 蒼依が腕を引っこめる。


「いいから行くよ、春樹! マグカップがなくなっちゃう!」

 蒼依が身を翻すかのように、春樹の先を歩いていく。


 ゲートの先には、おとぎ話の世界を感じさせるような雰囲気。異国の情緒が建築物やモチーフに現れていて、日本で慣れ親しんでいるクリスマスとは違った、本場の空気が広がっていた。

 会場に足を踏み入れていくと、意外と落ち着いた空間であることに気づく。


 ドイツから運ばれてきたという木造の小屋『ヒュッテ』が立ち並び、屋根の上には可愛らしい顔にも、どこか険しい表情にも見える、木彫りの人形たちが飾られていた。


「もっと派手なイベントだと思ってたけど」

「あっ、春樹! 屋根に雪だるま乗ってる!」

「あっちにはサンタだよ! すごく可愛いんだけど」

 何かを発見するたびに、蒼依が、春樹のダウンジャケットの背中あたりを摘むように引っ張る。


「落ち着け。俺はどこにも行かないから」

「どういうこと?」


 何言ってるのといった様子で、春樹のことを見た後に、蒼依がスマホでイベント案内のページを開いた。


「本場のマーケットを再現してるんだって。何この塔、いっぱい可愛い子がいるんだけど!」

「あれか。そんな風になってるんだな」


 春樹は、会場の中心にある白い塔を見上げた。高さ十四メートルという『クリスマスピラミッド』。何層にもなった木製の塔の中で、光に照らされた人形たちが、ゆっくりと回転しているらしい。


「赤ずきんちゃんと、こっちは不思議の国のアリスだ。めっちゃ可愛いよね」

「なんか魔力がありそうにも見えるんだけど。夜に見たら、勝手に動いてたりして」


 ふざけながら蒼依に言う。

 昔から、暗いところや、お化けなどを苦手としているのを、春樹はよく知っていた。


「や、やめてよね。別に怖くなんてないけど……」

「どうする? 夜、蒼依の命を狙いにきたりしたら」

「く、来るわけないでしょ! 変なこと言わないでよ、もう」

 強がる蒼依の声が、ちょっとだけ震えていた。

"ブクマ"の偉大さを再確認する時、その偉大さは決して与えられたものではないということが判る。"ブクマ"は、決して近道でも安易なものでもなかった。それは、"この作品の作者"―仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びのみを欲するような―のための道ではなかった。むしろ、"人気者"のためのものであった―中には名を成した人々もいたが、多くはどんな仕事をしているのかも知られていない者達であり、彼らが長く険しい道を歩んだ末に、我々を次なる"ブクマ"へと導いてくれたのである。


『Yes, We Bookmark.』


バラク・"ブクマ"(1961-)

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