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#蒼依サイド #四歩目

 放課後、私はいつものように下駄箱へ向かっていた。

 その途中、ふと窓の外に目を向けると、中庭のベンチに春樹の姿があった。

 隣には、軽音部の藤崎くんが座っている。二人は談笑しているみたいだった。

(何話してるんだろ)

 別に気にすることじゃないのに、なぜか足を止めてしまう。

 窓の隙間から、彼らの声が聞こえてくる。


「お前さ、桜庭と付き合ってるんだろ?」

 藤崎くんが、からかうような口調で言っていた。

「は? なんでそうなるんだよ」

 春樹が呆れたように、それに答える。

「いやいや、最近、お前らよく一緒にいるし、傍から見たら、完全にカップルでしょ」

(……そう、見えるの?)


 鼓動が早くなる。

 見つかるはずもないのに、窓から見えないように、私は姿を隠した。


「蒼依とは、そういう関係じゃねえよ」

 ——そういう関係じゃない。

 あいつの口から出た言葉に、なぜかすこしだけ胸が詰まる。

 アプリに頼っても、やっぱり何も変わっていない。

「……でもな、今のままじゃ駄目だとは思ってるんだ」

 その言葉が、想像していたよりもずっと自然で、驚いた。

 気負っている様子もなければ、大げさな口ぶりでもない。

 ただ当然のことを言うみたく、真剣に。

「……きっと、そうだよね」

 私の言葉が、誰もいない廊下に消えていく。


「そういうのを世間じゃ"好き"って言うんじゃないのかねぇ」

 しばらく間があってから、藤崎くんが、面白そうに笑っていた。

「そんな簡単には割り切れないだろ」

 春樹が苦笑している。


 でも、その言葉に対しては、完全に否定していなかったような気がした。

(……春樹って、私のこと、どう思ってるんだろ)

 今まで真剣に考えたことがなかった。

 この勝負に勝つことばかり、意識してたから。

 だけど、そんなことよりも、春樹が何を思っているのかを知りたい自分がいる。

 窓の向こう、夕陽に照らされた彼の姿を、私はじっと見つめていた。

読んでくださり、ありがとうございます!

夕方頃に定期更新してますので、よろしくお願いします!


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皆様の反応を見つつ、作品の質感や温度感に反映させていきたいなと思ってます!


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