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転生「精霊の歌」

アースガルドはかつて神々によって創造された大地である。 そのままでは星として機能しない為、巨大な魔力発生装置の宝珠を核にして重力を発生させている、そのために魔力の逃げ道として各地表にはダンジョンが形成され其処から発生した魔物によって人間は度々脅かされている。

創造神は転生を繰り返し人間を守り導いたという。

2000年前の魔人の乱を平定した英雄神アルマ以降神はその姿を隠し眷属である神々と聖霊がこの地を見守っている

第1章 精霊の歌

1節「暗殺」

 どうなるの私・・・・伯爵家に軟禁されていたのが今朝になって急に修道院に護送する事になり馬車に乗せられた、自分は何もしてない誰も信じてはくれなかった。

 ケンタルゴ第三帝国の帝都シュルツバークを南西に下ると広大な迷いの森と呼ばれる大森林が広がっている。

大聖霊ニケの神殿跡の遺跡に向かうさびれた道を三台の馬車と馬に乗った6人の騎士が護衛しながら遺跡へと向かっていた。

そう遺跡に向かっている・・・真ん中の馬車に一人で乗せられて帝立魔法学校で断罪と称して婚約者から濡れ衣を着せられた伯爵令嬢の三女であるクローディア・ルインバーグは気付いてしまった。

北に在る城塞遺跡の施設に送られると聞かされていた、しかしここは迷いの森だった、自分を連行する人達も身分を隠している、クローディアはユニークスキルの最上位鑑定「ドラゴンの瞳」を持っている、その瞳で看破した正体は皇太子の近衛騎士、しかも暗殺部隊である・・・5歳の時に死んだ実の母親が現皇帝の妾だったことも自分が隠された第六皇女エメラルダスだという事もその鑑定能力で既に知っていた。

(自分ははめられて殺されるのだ)10歳になったばかりの少女はその事実に絶望して馬車に揺られるしかなかった。

(怖い・・・・誰か助けてほしい)前伯爵の妾腹として育てられた自分にとって見方は誰もいなかった、だから声に出せない言葉を飲み込むしかなかった。

 やがて遺跡前の広場に馬車が止まる、少女はこわばった顔で両手で自分の体を抱きしめて震えた(ああ・・・)

遺跡の祭壇前で降ろされニケの像の抱える大きな聖杯の上に乗せられた「早くしろ」、「お前たちは周りを警戒しろ」、フードとマフラーで顔を隠した騎士はおもむろに剣を抜いた、少女は無常に暗殺者の剣で心臓を一刺し・・・・薄れゆく意識の中で絶望の中聖杯に沈んでゆくのだった。

暗殺者は少女が死んだことを確認し立ち去ろうとしていた、少女からとめどなく流れる真っ赤な血が聖杯の周りに施されたルーン文字に少女の血がいきわたるとその文字が赤く浮かび上がるその瞬間、聖杯がまばゆい光を発し聖杯を中心に辺りが闇に包まれていく、月が赤くなり耳鳴りが騎士たちを襲いその場で立ち尽くし動けなくなる、そして静かに「精霊の歌」が始まった。

2節「転生」

 実家を追い出された・・・・親父が死んだとき私は派遣の仕事で工場勤務から帰宅する送迎バスの中だった・・・・・。

其の頃はもう漫画家などという夢すらかすれるくらい生活で精一杯になり就職先も首になったり、工場自体が閉鎖されて放り出されたり、結局実家に戻り派遣で食いつなぐ日々だった。

兄貴の言い分は「好き勝手生きてきたお前に渡す遺産は無い」というもので「裁判しても勝つ自信がる」とか豪語していただけあって親戚への根回しは完ぺきだった。

親父は私が実家に戻ってから家に入れていた光熱費3万を医療保険として私の名前で積み立ててたようだがそれも親父の金だと言って取り上げられてしまった。

結局、ネトゲのキャラデータや見られてまずい画像データなんかがが入ってるゲーミングノートパソコンとスマホに身の回りの物をリュックに詰めるだけ詰めて着の身着のまま家を出たのだ。

所持金は手切れ金として親父が俺の名義で渡していた光熱費の中から積み立てた保険金を崩した100万。

とりあえず今後を考えようと公園に立ち寄りベンチに腰掛けた、辺りはもう夜で閑散としている。

55歳無職、まあ金はまだあるからホームレスは免れるか・・・・・ネットカフェってこの辺にあったかな? などとぼーっとしながら考えていた。

ふと見上げた月がなんだか赤く変化していく、「なんだ?」と気付いた時手を見るとなんか自分も光っている・・・・。

あれ? なんだこれ・・・・見覚えのあるシーン、嘗て若い時に描いた漫画のラストシーンで英雄アルマが神力を使いすぎて光に帰るシーン・・・・・何考えてんだ俺・・・・。

「月が赤いな・・・」そんなことを考えながら月をまた眺めた時其れは起こった・・・・赤い月が右から少しづつ欠けていく・・・月食が始まったのだ。

其れと共に体が震えるのを感じる寒い、体に力が入らなくなった、このまま死ぬのか? そう思いながら欠ける月を眺めていると目の前が歪んでくる・・・・空に浮かぶ感覚と共に目の前が真っ暗になる何かに吸い込まれるように空の月に向かって私の魂が吸い込まれていくのを感じた。

死ぬってこんな感じなのか、と思ったとき「助けて!」という叫び声が頭に響き黒く染まった月に光に包まれた体と荷物もろとも吸い込まれていく、そしてそこから私の意識は暗転する。

3節アバタール

 西に広がる迷いの森、その奥に大聖霊ニケの祭壇と呼ばれる古代遺跡、聖杯に向かって舞い降りる一条の光を遠目に見て冒険者「虹の剣」の4人は固まってしまっていた、やばい感じの奴らが10人もいる・・・・少女を殺したとこまでは静観していた、とてもじゃないが一介の冒険者4人がかなう相手ではない、其処は魔物が出没するため長いこと放棄されていた神殿跡だ、やり過ごすしかないと隠れていたがどうなってんだ之、暗くなったと思ったら光が聖杯に下りてきた・・・・仲間の一人がつぶやく「精霊の歌?」、「なんだそりゃ?」リーダー格の若い男が老齢の魔術師に聞き返す。

「神降ろしの儀式にそういうのが在るんだよ、伝説ではそれで呼ばれたのが英雄神アルマだと言われてる」そう小声でつぶやく・・・・・「神降ろし?」、「英雄神アルマの昔話知らないのか?」、「あいにく俺はそういう教養はないんでな」4人はいぶかしむように聖杯を遠目に再度見つめた・・・。

聖杯の光が弱まると同時に血が逆流して遺体に戻っていく、そして傷が光によってふさがれ少女は息を吹き返した。

ここは何処だ? なんか巨大な優勝カップみたいなものに寝かされている・・・ってなんだこれなんでドレスなんか着てるんだ俺? 55の爺さんに何の冗談だよ・・・・なんか手が小さいな・・・・金の皿にはなんか美少女が映っていた絶望した顔のやつれた少女が俺の動きを真似している・・・・・。

よく見ると剣を持った黒いマント羽織った10人位の集団に囲まれている、殺気だってるのが分かる、体をこわばらせて動けないようだ、なんだこれどういう状況だ? と思った時、頭の中で声が説明してくれた。

(主様は10人の暗殺者に囲まれています、他に4人隠れていますが彼らは敵意がないようです)

「えっ?誰?」

(私は聖霊ニケ神降ろしによって召喚された現人神をお助けする聖霊です)

現人神? それって俺のことだろうか? どうもそれっぽいよな、(主様どうやら緊急事態のようです説明は後程致します、戦闘態勢に移ることを推奨します、聖霊の歌が終わったと同時に周囲の拘束も解けますので)え? 戦闘態勢って今俺ってピンチなのか? もしかして・・・・。

4節インストール

(主様は取り囲んでる男たちに殺害されました、暗殺者と思われます、聖霊の歌終了まであと一分です)ちょっとまって突然そんなこと言われても困るんだけど・・・・戦闘ってどうすりゃいいんだよ! (未使用のステータスデータを見つけました、”創造神”の権能で実体に反映可能です、実行しますか?)・・・「それをすればこの場が切り抜けられます?」(はい)「じゃあ・・・・お願いしていいですか?」(了解です)心臓の部分が虹色に光りだす、(レベルが上がりましたLv986になりました、各ステータスが上昇しました)

力:1786

魔力:2867

素早さ:1578

器用さ:3897

運:6805

HP:298067

MP:866005

(スキルを習得します)

(神剣技・古代魔法・六大魔術・錬金術・創造魔術・神技武術を習得成功しました)

(既存のスキルドラゴンの瞳が女神の瞳に進化しました)

(魔法倉庫を復元します、成功しました倉庫内のアイテムを創造神の権能により再現します、成功しました)

(ドラゴンの血の効果により称号”伝説の勇者”を獲得、続いて魂の権能により称号”創造神のアバタール”を獲得世界の理にアクセス可能になりました)

 なんか体中に痛みが走りながらニケさんが解説してくれてる、だんだん力が湧いてくるような気もしてきた。

5節迎撃

 巨大な聖杯の中で少女が光を帯びて聖杯から降りた、暗闇に包まれた空が青空に変わると同時に10人の暗殺者の金縛りが解ける、「生きてるぞ」一人が叫ぶと一斉に10人が少女に切りかかっていく、スローモーションのような感覚でそれらの動作が見える、そう見えてるのだ、スキル神剣技の効果で両手を交差させて振りかぶると(ミスリルレイピアを魔法倉庫から取り出します)と聞こえて両手にミスリルレイピアが握られた、そして一閃・・・・・10人の暗殺者はマントと鎧を切り裂かれて二メートルほど吹き飛んだ。

 「こっこいつ・・・・」「どこから剣を出した」「ユニークスキル持ちなんて聞いてないぞ」完全に意表を突かれて手傷を負わされた形になる・・・・。

 おもむろに立ち上がる少女はまるで隙が無く老獪な剣豪の雰囲気を醸し出している、と同時に周囲に物凄い覇気を放ち始める、(伝説の勇者の効果で勇者覇気が発動しました)「え?勇者覇気?」俺って勇者なのか? 10人の暗殺者は覇気に充てられて失神寸前となり蹲る、これはあと一押しかな? と勇者覇気を強めてみた、するとバタバタと暗殺者は倒れ堕ちた。

 「ねえ、此のステータスデータと魔法倉庫ってファイナルドラゴンサーガのデータか?」(はい、アルマ様の権能で実体化しました)・・・・「さっき創造神とか言ってなかったか?」(アルマ様は創造神ソフィア様の化身という立場であられます)マジですか? 「アルマ様ってアルマ・ソフィアーニス・ケンタルゴのことか?」(覚えておいででしたか、またアルマ様の補佐をできる事、うれしく思います)「おっおう・・・・」えーっ自作の漫画の話しじゃないのか? 俺の前々世? と言う事は、俺の創作じゃなかった・・・・・魔法倉庫から魔法のロープを10個出して暗殺者をとりあえず拘束した。

 (4人隠れてる人間がいます、敵意はないようですが警戒しています)・・・・ああそうか、「そこの4人いるのは分かってる、でて来い」。

 なんだなんだあれは見たところ子供、しかもドレスの少女が尋常じゃない覇気をまとって10人を一撃で蹴散らし拘束した、4人は顔を合わせて唾をのんだ、「どうするよ」「どうするってお前」と前の男二人が言う「出るしかないでしょ?」後ろの女スカウトが言うと「精霊の歌の被験者は冒険者ギルドが保護する決まりだ」と老齢の魔術師が続けた。

 「待ってくれ」手を挙げて4人の集団がが出てきた、「俺たちは冒険者ギルドの冒険者だ話がしたい」・・・どうやら偶然近くで採集の仕事をしていた冒険者のようだ、俺が聖霊の歌の被験者と言う事で冒険者ギルド迄案内したいという事らしい、馬車に拘束した騎士10人を乗せて4人が拠点にしてるという迷いの森近くに在る冒険者ギルドの本部がある迷宮都市バルマにとりあえず向かう事になったのだった。

 

読んでくださりありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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