俺の日常ー高目 祐樹編ー
社会人生活も慣れたある日平和な日常に風が吹き込んだ。
幼馴染の男女3人の周りで次々と起こる出来事に困惑・驚き・衝撃・胸の高鳴りなど…
ラブコメな展開が繰り広げられるお話です。
スマホのアラームで目が覚める
うるさく鳴るアラームを右の手で押して消しながら枕にうつ伏せの形になる。
「うぅ…」
今日からまた出勤。
世の中のサラリーマンは毎日体験してるであろう
朝の気だるさを。俺がまさに体験してるこの状態を。
「ああーー!!」
まだ寝ていたい自分に勝つために、この日初めての大声を出し起き上がりベッドの横に背伸びをして立ち上がった。目の前の壁にかかっている時計を見つめもうこんな時間か…と思う。
時計の針は6時40分を指している。
まだちゃんと上がりきれていない重い足を引きずるように風呂場に向かった。
男の朝の支度は女の人より楽だとどこかで聞いたことがある。今の自分の状況に置き換えるとそうなのかもしれないなと思う。男は化粧なんてしないもんな。自分で勝手に終わらせるような会話を朝から頭の中で繰り広げている間に身支度を終え時計を見る。7時15分。家を出るのはいつも20分でそこから最寄りの駅まで歩いて40分の電車に乗車後、1度電車を乗り換えてここまで約55分ぐらいだ。始業時間が9時からなので会社の最寄り駅には20,30分以内に着きたい。
◇
「おっはよー!」
朝からテンション高めに挨拶するのは俺の同期で隣の企画部署にいる光村晃司だ。
「朝から高目は辛気臭いなーもっとテンション上げてこうぜ!!」
「うざい。お前知ってる?今日月曜日!!」
「月曜日だからってなんだよ。楽しい1日の始まりだぞ。ほら見てみろ、あそこの隅にいる黄色いスカートの子。俺が最近見つけたカワイ子ちゃん。名前は…」
俺はすかさず遮った。
「うるさいな。朝からお前の恋愛事情は聞いてねーよ」
「頭の固いやつだなー」
光村はつまんねーやつと言わんばかりの顔をしていると思ったが社内の女性が横を通ると笑顔でて振っていた。光村は社会人でデビュー組だ。高校デビュー、大学デビューがあるのは知っていたが社会人デビューというものが存在するとは思わなかった。光村を横目に自分の席に着くなり今日のTO DOリストを書き込んでいく。女子みたいだと周りによく言われるが、1日の中でやらなきゃいけないことはたくさんあって社会人になりたての頃はよく頻繁に忘れてしまうことがあり、いつしかTO DOリストにまとめるようになった。まあ、これは俺の優秀な幼馴染の榊 柊が教えてくれたことだけど。
◇
「高目、今日こないだ伝えた外注さん来るから対応よろしくな」
部長の久本さんが俺の机の横に来て言った。
「あ、今日でしたね。資料は…」
「ほら、これ。」
部長の久本さんは俺の目の前に資料をひらひらさせながら笑顔で言った。
「今日来る奴、お前と同じ年らしいぞ。そのうえ、この業界の賞を総なめにしてるとかでこっちからわざわざ交渉しに行ったらしいぞ。」
「そんな人がなんで…」
ーん?
担当 榊 柊…?
「何でお前の担当かって聞きたいんだろ?こいつ相当の変わり者だぞ。担当者は自分と同じ年齢で同じ出身の人にしてくれって言ったらしいぞ。それでお前が抜擢されたってこと。天狗になってんじゃねーのそいつ。まあ、よろしく。逐一のホウレンソウは忘れずにな。」
手を振るように右手をあげ去っていった。
まじかよ… 柊知らない間に有名人になってるのか?知らなかったし、俺がここにいるって知ってるからそんな条件出してきたんだろうな。てか、一言ぐらい俺に報告なり相談してくれてもいいんじゃねえか?