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第四章 過去を操りし者 (6)

予告してないですが投稿します

 男は手元が狂い思いっきり指を差してしまった。


「ぐっ……くそ、こっちは後回しだ」


 男は先程までこの部屋に入ってきた扉とは反対方向に駆け出した――壁だ。何かを確信しているのかそのまま()()()()()。壁はいつの間にかなくなっており扉のない通路に変わっていた。

 『索敵』『身体能力強化』『魔力探知』を並列詠唱し感覚を研ぎ澄ました。


「…………ここか!」


 あまりの勢いに靴を滑らせて停止した。目の前は――安定の壁だ。


不可視の破壊(キャストインビジブル)


 指を鳴らし不可視の壁を()()()視認可能にした。

 一度瞬きをすると先程までの壁だらけの光景から一瞬にして広い空間が出来上がった。まるで瞬きをした間に瞬間移動したかのように。そこは闘技場の真ん中にいるような広さだった。

 周囲を見渡し目的の人物を探した。右、左、上。今男がいる場所が闘技をする場ならば、二階もとい観客席に十字架のようなものに手足を楔で拘束されている少女を発見した。一応周囲の警戒をしつつ少女に駆け寄った。一階から二階へ軽くジャンプし飛び移ると手枷を見た。


「これは……」


 遠くからでよく見えなかったが明らかに高度な魔術で楔が繋がれていた。

 ──ふと、少女を見た。


「なっ……?! ちょ、え?」


 男は先程までのクールはいずこにと言わんばかりに取り乱した。それもそのはず、いや、この状況で冷静を保っていられる人など存在しないだろう。

 ここまで近づくまで全く気付かなかったが、なんと少女は裸だった。それも全身。幸いにも髪がふくらはぎ辺りまで伸びているため、目のヤリどころにはこまらなかった。

 男は呼吸を整えると魔術の解析を始めた。手枷に触れ魔術の彫られた凹凸を撫でるように読み解いていく。

 高位の魔術になると対象物に直接彫り、付与されていることが多いため凹凸の感触だけでも読み解くことが出来るのだ。


(封絶結界に魔力遮断、それに退化の呪いか……片腕の手枷だけでも充分すぎるだろ……)


 左腕の手枷は終わった。手枷は恐らく両方とも同じ魔術が付与されていることだろう。となれば次は足枷だ。視線を少女の足下に持って行き足枷に触れようとした。

 ──と、その時だ。男の後ろでズシンと何か巨大なモノが落ちたような爆音が響いた。咄嗟に後ろを振り返るとどでかい岩の塊がそこにはあった。


「な、なんであれがここに居やがるんだ?!」


 男は叫びながら驚いた。


明後日土曜はマライを更新します。

ちょくちょく死英も更新していくつもりなので楽しみにしていてくださいね。

ではまた明後日──

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