第一章 始まりの時(5)
危ない、危うく忘れるところだった
あらすじ
理恵は恭二と別れて家に帰宅した。同居している理滝が夕飯の支度をしていた。
2人で麻婆豆腐を食べた……
午後6時過ぎ…… 残り 30分
――紅く染まった数字が点滅している。まるで……闇夜に輝くブレーキランプのように……
食事後私は風呂へ向かった。たっぷりと暖まった後、私は寝室に行った。階段を上る音が妙に静けさを増していた。
カツン、カツン、カツン
甲高いスリッパの音が廊下を反響して、私の耳に木霊する。まるでこれからなにかが起こるような、胸騒ぎがしてくるような音だった。私はその珍妙な空気の中を漂いながら暗闇の階段を登った。2階に着くと、チルチルの部屋の明かりが着いていた。なぜ分かったかと言うと、チルチルの部屋のドアが少しだけ開いていたからだ。
暗闇に指す一筋の光。
これも何か胸騒ぎの一部分――かとも思ったが、これが意味することはよく分からなかった。
私はチルチルの部屋を覗こうかと考えたが辞め、そのまま前を通過して私の部屋へ向かった。その時、妙な『音』がしたのを私は聞き逃さなかった。私は部屋へ向かう足を止め、立ち止まった。そしてゆっくりと後ろを振り返り、ドアの隙間から部屋の中を覗いた。するとどうだろう、今までの胸騒ぎが嘘だったかのようにチルチルは普通にしていた――この場合の普通はスマホをいじったり着替えたりといったところだ。
「ふんふふ~ん」
その上チルチルは鼻歌を歌いながら楽しそうにしていた。私は安堵からか胸をなで下ろし、ドアをゆっくりと閉めた。
◆ ◆ ◆
危ないよね~ほんっと、あと一歩早かったらこれが見られてたのに……うふふ
そう言いながら(考えながら)一枚の写真を手にする。そこにはリーリィの弟、恭二が地面に倒れその横に私が立っている様子が映っていた。恭二は……
あ~あ、昔はほんっと楽しかったのにな~、あの頃の私を知ってる人なんかまだ居るのかね~?
合間にため息を挟みつつ昔のことを懐かしく思う。
……もう10、いや20年くらい前ね……さて、そんな思い出に耽ってる場合じゃないね。“あいつ”からの頼みだもんね~、断れないしさっさと終わろそーっと。て、あれ? 確か時間指定あった気がするけど……いつだっけ? まあ、後で確認しとかないとね。
私は着替えから終わり立ち上がると早速準備を始めた。
◆ ◆ ◆
理恵は理滝の部屋を後にして自分の部屋へ行った。電気を点けて、風呂に行く支度をした。
再び電気を消して廊下に出る。風呂があるのは1階なので風呂の道具を持って1階に降りる。その途中理滝の部屋をまた覗こうかとも考えたが、あまり他人の部屋を覗くのはセクハラにあたるので辞めた。理恵は理滝に気付かれないように――足音が鳴らないように慎重に歩いた。薄暗い廊下はとてつもなく静かだった。なぜ廊下の電気を点けなかったのか、1番不思議だ。だがそんなことはどうでも良い。この後の展開を知ればな
誰が予想できたか、いや予想や理由の範疇の問題ではない。
その事態が起こることが『確定』されているのだから。
未来永劫この事実が変わることは無い、過去が定めた宿命なのだから。
そして、彼ら彼女らは知ることになるだろう。彼女が20年前、この世界では無い世界で起こした罪を。またこの世界、即ち地球でも繰り返すのだから……――
無事にねマライの分も書けたので3つ投稿出来ると思います!
それで、なんですが大晦日(元旦)の投稿した後の次の投稿日、2日(土曜)は多分無理だと思うので、次週の9日(土曜)に投稿したいと思います。
※ここからが本題なのですが、『マライ』『死英』『残された』のどれを最初に読みたいですか?
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