1話 いざ転生
初投稿ですよろしくお願いします
俺の名前は雷門龍弥、しがない高校二年先だ。
少しVRゲームが好きで《リアル・ジェネシス・オンライン》通称RJOで頂点に位置する男でもある。そんな俺は今日も家に帰ってVRの続きをしようとしていた時だった。
俺は目の前から迫ってくるトラックに気がつかなかったのである。いや、気付くには気づいていた。ただ間に合う時間がなかっただけの事だ。鈍重なトラックに当てられた俺の骨はバキバキと折れ、空を舞った。
痛かった。めちゃくちゃ痛かったんですけど。マジで死ぬかと思った俺は目を覚ますと雨一つない空が広がっていた。あれ?病院じゃないの?違和感を感じた俺はすぐに真下を見る。
そこには海老反りになって鼻と口から血を流す俺の体が置いてあった。そして瞬時に理解した。俺は、死んだのだと。なぜ幽体離脱したのかなんてわからない。とりあえず俺を撥ねてオロオロしているおじさんに近づく。
大丈夫、俺は気にしてないよ。向こうは気づかないだろうが一応言っておく。その瞬間だった。晴天の空にブラックホールのようなものが開き、俺は成すすべなく吸い込まれていった。
再び目を覚ますとそこは真っ白な部屋だった。あ、VRのキャラクリの場面じゃねーか。
「違うわッ!!アンタの頭はVRしかないのかッ!!」
そんな女の声と同時にハリセンが頭に飛んできた。俺はそれを難なく掴み取り逆に後ろにいるであろう女に向けて顔面に叩きいれた。
「ブゴォォォッッ!!」
おおよそ女が出していい声じゃなかったがやはり後ろにいたか、痴れ者が。
「ちょ、ちょっとまってよ!なんでアンタそんなに頭が高いのよ!私は神よ!アンタは人間!跪きなさいッ!!」
VR空間なら俺のスキルは使えるのだろう。こんな神を名乗るなどという馬鹿な真似をする小娘を倒してしまおう。
「無限収納起動、召喚:武甕雷セット、完了。スパークスラッシュ」
RJOにある俺の最強武器こと武甕雷を取り出し瞬時に装備し、雷を纏う一閃を煩い女の首筋に当てる。女は恐怖に染まりきった顔で涙目になるが一切気にしない。
「な、な、な、なんで人間が神域で魔法を使えるのよッ!!おかしいじゃないっ!!ひぃぃ!!」
俺はそいつに剣を突きつけながら英雄王の真似をする。
「痴れ者が、天に仰ぎ見るべきこの我を、同じ大地に立たせるかッ!
その不敬は万死に値する!
そこの雑種よ、もはや肉片一つも残さぬぞッ!」
「ヒィィィィィ!た、たすけてぇぇぇ!!」
泣き叫びながら助けを請う自称神。やっべ、面白すぎる!俺Sかもしんねぇ。
そこで轟音とともに壁が破壊され1人の女が出てきた。
その女は俺をチラ見し神剣を見ると顔を青ざめ
「うちの部下が、すみませんでしたぁぁぁぁ!」
とジャンピング土下座をかました。
これにはびっくり。行動力ありすぎだろ。
「とりあえず事情を説明してくれないか?こっちはそこの女がいきなり襲いかかってきてね?全く事情がわからないんだよ。」
上司らしき人?は泣き叫ぶ女を見て溜息をつくと説明を始めた。
「私はあらゆる世界を創った創世神ナトゥーラと言います。この子は部下の上級神ネメシスです。実は私たちは貴方に頼みたい事があるのです。」
モノホンの神だったか。こんな平凡な俺に何をさせたいっていうんだ、まったく。
「ぜんっぜん平凡じゃないですから!本来魔法というものは自身の意思で世界の理を捻じ曲げる力の事を指すんです。
この神域の理はネメシスが作り上げたものでして、今まで現実で魔法を使った事の無いゼノ様が神の領域で神を追い詰める事ができる時点で規格外なのです。」
ふむふむ、なるほど。俺はVR大好きすぎて意思の強さが神様超えちゃったわけね?
「そして私達がお願いしたいのが、ゼノ様に異世界で龍神となっていただいて一つの世界の守護をしていただきたいのです。」
龍神ね?RJOで龍神ってラスボスだったよね?かなり強かったけど。
「あんなのと比較になりませんよ!龍神になる前から始めるなら成長すれば本来の龍神を超えられますし。
龍神から1万のステータスで始めるより蛇から1万のステータスで始めた方が強くなりますから!」
VR世界のようなところならいってみる価値はあるかな?楽しくなりそうだ。
「じゃあ種族を決めていただけますか?スキル等はRJOと同じです。違うのは超越能力という固有能力の一段階上があるというところですかね?これは所謂神の魔法というべきものです。」
俺はそれを手に入れられるのか?ちなみに種族はAランクの雷大蛇だ。
「分かりました、雷大蛇ですね。超越能力は多分手に入れられると思います。それとこれから送る生物にとっては現実ですが、貴方は死んでも死なずに蘇るようになっていますので、御了承ください。」
わかった。その方が面白いというものだ。一応サポート役のようなものが欲しいのだが?
「スキルとして渡しておきますよ。」
ナトゥーラは手に持つタブレットを弄ると俺の頭の中にメッセージが流れ出した。
《個体名:ゼノ・シュガールは一般能力:【鋭牙Lv1】【雷牙Lv1】【尾撃Lv1】【砕顎Lv1】【蛇鱗Lv1】【麻痺眼Lv1】固有能力:【人化Lv10】【龍化Lv10】超越能力:【不滅生命体Lv1】【情報次元体管理Lv1】を獲得しました。
一般能力:【隠密Lv10】【隠蔽Lv10】を統合し固有能力:【虚偽者Lv1】を獲得しました。
一般能力:【鑑定Lv10】【看破Lv10】を統合し固有能力:【真理眼Lv1】を獲得しました。
一般能力:【調薬Lv10】【大工Lv10】【錬金術Lv10】【魔法付与Lv10】を統合し固有能力:【創造者Lv1】を獲得しました。
一般能力:【空歩Lv10】【立体機動Lv10】を統合し固有能力:【空間操作Lv1】を獲得しました。
固有能力:【雷鳴魔法Lv10】【暴風魔法Lv10】を統合し超越能力:【天帝魔法Lv1】を獲得しました。
超越能力:創世記録書を獲得しました。以後よろしくお願いします、我が主。》
………あ〜あ、こーゆうことかぁ。サポートってこれねぇ?どう考えてもやりすぎじゃないかな?それにゼノまではわかるけどシュガールって何さ?
《創世神ナトゥーラによって送られた名前です。魔力のある世界において名付けとは親と子の魂の繋がりを強化する儀式の一種です。成長速度に補正が付きます。》
なるほどね、シュガールってどっかの神話の雷神だった気が?まぁいいか。んじゃあ早速送ってくれ。
「あぁ、まだ説明してない部分もあるの。これから送るのは貴方が龍神になるまで自身を鍛える場所だから思いっきり強くなってね。一応裏迷宮もあるけどそこら辺の判断はアカシックレコードに聞いて?じゃあ龍神になるまでいくらかかってもいいから、送るよ!」
こい!目の前に強烈な光が差した後意識はだんだんと消えていった。
あの子神に勝てるほどの力を持ってるわね。私もいつかは負けるかも。でもちゃんと悪戯を仕掛けておいたから反応してくれるといいな。