異世界転生は全力で阻止されました
『ミーム汚染発生から28年。ミーム結晶体二体を使用開始。同時期、ミーム汚染が閾値を突破、身投げによる自殺が流行』
『ミーム汚染発生から31年。ミーム結晶体に接触した中でミーム汚染に気づく人間が増加。しかしミーム結晶体の影響力が増大したことで直接の影響を受けた人物は数日中に身投げし、効果的な対策はとれず』
『ミーム汚染発生から32年。ミーム結晶体による汚染が深刻化。身投げ対象となるトラックの争奪戦が世界各地で勃発』
『ミーム汚染発生から33年。ミームがトラックによる事故死から身投げ自体を優先する方向に変質。トラック不足と運転手の身投げからミームの実行に問題が出たことによる自然変質と推測』
『ミーム汚染発生から34年。ミーム汚染が収束』
犠牲となる人はいませんでした。
『ミーム汚染発生から35年。ミーム汚染は観測されず』
犠牲となる人はいませんでした。
『ミーム汚染発生から40年。ミーム汚染は観測されず』
犠牲となる人はいませんでした。
『ミーム汚染発生から45年。ミーム汚染は観測されず』
犠牲となる人はいませんでした。
『ミーム汚染発生から50年。ミーム汚染は観測されず』
犠牲となれる人はいませんでした。
以上をもちまして第127次実験を終了します。
第127次実験総括
ミーム結晶体の使用によってミーム汚染の進行が迅速化することが確認されました。実験は当初の目標を達成したものと判断します。
一方、ミーム結晶体の使用のデメリットも確認されました。効果の向上と引き換えにミーム汚染に対して自覚する危険性が高くなるものと判断されます。
しかし、今実験がミーム汚染による自発的な終了が可能であると証明したこともまた事実です。ミームの変質はみられたものの終盤にいたっても自発的終了が途切れず、最後までそれが続くことが確認できたのは大きな成果です。
次実験時の目標案としてミーム結晶体を使用せずに、今実験の30%の進行度と50億の自発的終了を実現することを提案します。
今目標案ではミーム汚染の進行関数値を可変させ、ゆっくりとしたミーム汚染の浸透と閾値突破と同時の爆発的ミーム汚染進行による短期間一斉終了というシナリオを目指すものとします。
進行関数値の可変は不完全な技術ですが、今実験のミーム結晶体のデータを解析した結果、実験段階まで持ち込めるものと判断します。
『第128次実験を開始します』