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聞き込み捜査、故郷へ

「時効不成立」 4


第3章 聞き込み捜査、故郷へ


米盛勇夫警部補と前田伸雅刑事は、ふぐ毒殺人の被害者、唐等未美枝子の身辺調査の為、上野駅から東北新幹線新に乗り、午前十時四十五分、新古川駅に着いた。

一九六四年の東京オリンピック以来、日本の鉄道は飛躍的に進歩発展していた。

東海道新幹線に続いて、七十年代に入ってから、国有鉄道だったものが、民間経営となって、元首相の田中角栄が、日本列島改造論などという、小気味のいい政策を打ち立て、さらに延ばした。

東北新幹線もその一つだった。

駅の近代化建築にあわせ、その周辺の建物も、近代化が進み、全体が絵本で見る近未来都市という感じになっていた。

新幹線は、乗客に停止感覚も感じさせること無く、羽毛布団に包まれるように、静かに止まった。ホームの、昔は黄色い立ち入り禁止線が、ステンレスパイプの柵になっていた。

二人は、自動ドアが開いた途端、新幹線のエンジンの生暖かい空気を受け、車両のドアの前のステンレスパイプの柵が開いている出口から、ホームに立つと、ひんやりとした空気を感じた。


「主任、さすがにゾクっと来ますね、この空気」と、九州生まれの前田は、自分の故郷の空気の味と、比べたのか、そう言った。

「九州出身には、そうかも知れんが、俺には懐かしさだけが先に来るよ」と言いながら、米盛は両手でコートの襟を立て、改札口に向かった。

駅前に出ると、すぐ目の前には公園があった。

赤レンガの敷き詰められた駅前広場公園とでも言うのか、かなりの面積をとってある。

公園の周りには、低く剪定された常緑樹が、垣根のように植え込まれ、内側にはバラの花が帯のように垣根に沿っていった。季節がら、ややくたびれながらも、バラの花がいくつか咲いていた。

駅から幅の広い路を隔て、公園の入り口があり、そこから、中央の噴水まで、芝居の大道具のような桜並木になっていた。

そして噴水を囲むように、木目を生かしたいくつものベンチが、衛星状に配置され、噴水の周りのベンチの背には、猫柳がひっそりと、噴水とベンチを取り囲むように、いの字に植樹されている。

いの字の手前が進入路になり、向こうには藤棚があった。

公園内のあちこちに、いくつかの築山ならぬ築森とでも言うのか、槿の森、金木犀の森、萩の森、百日紅の森などが、こんもりと点在している。

短い丸太を埋め込んで囲んだ花壇も豊富だった。

四季を通し様々な花を楽しめる工夫が見える。

九月中旬の今は、淡いピンクのコスモス、溜息のような霞草、上を見ることの無い鷹の孤高を感じさせる赤い鶏頭は、秋空の下で、夏の名残りを語っているように見えた。

そこに母子連れやアベックの数組が座っていた。

米盛と前田も座ったが、周りの建物がさほど高くないせいか、睥睨されるような威圧感は無かった。

米盛が腕時計を見ると、まだ約束の時間までには早いから、少し腹ごしらえをしようか、という事で二人は、公園の中を歩きながら、目に付いたファミリーレストランに入った。

前田はハンバーグステーキを頼み、米盛はカレーライスを頼んだ。

「見事な公園ですね。春先から秋にかけ、楽しみでしょうね」

「自然が失われつつある中で、必死に自然を取り入れようという心意気が感じる。時の流れかもしれんな」

「それに、ここの店だって、田舎と言う感じがしませんね」

「店員の言葉さえ気にしなければな」

「そうですね、でも、そのほうが地方へ来たと言う感じがします」

「なるほどね、今はそんな暢気な事を言ってるが、年配の方の話は、解読に苦労するぞ、間もなく」

「唐等未のご主人も、そうでしょうか?」

「そりゃ、分からんが」

「星のめぼしが付くといいですね」

「そうだな」と米盛は、浮かない返事をした。

「どうしたんですか、主任」

「ん、どうも、すっきりしないんだ、何がと聞かれても、説明のしようが無いが、向こうの霧が濃すぎる感じだ」

この時の米盛勇夫の直感が、大当たりになってしまうのである。


古川市の宮袋にある唐等未の家に着いたのは、約束の二時丁度だった。

木造モルタルの二階家は、ブロック塀で囲まれていた。

門柱の呼び鈴を押すとすぐ、綺麗に櫛の入った頭髪で、唐等未美枝子の夫らしい男が、三つ揃いの上着の代わり、綿入れと呼ばれる綿の入った半纏を引っ掛け、サンダルを履いて出てくると、鉄製の門の内側に立った。

「あの・・・」と唐等未武雄が言いかけた。

「唐等未さんのお宅はこちらで、唐等未武雄さん、ですね?」と米盛が聞いた。

「はい」

「東京から電話をしました私、米盛勇夫と前田伸雅です。このたびは、ご愁傷様でございました」

「はい、どうも、御足労をおかけいたしました。どうぞ」と武雄は門を開け、先にたって二人を誘導するように玄関に向った。

玄関のドアを開けたとたん、かすかな線香の香が漂っていた。

武雄が、どうぞと言うと、二人はコートを脱ぎ、玄関に入り、靴を脱ぎ、掃除の行き届いている白木の床に上がると、応接間に通された。

「あの、ご焼香は・・・」と米盛は武雄の背に言った。

「どうぞ」と武雄は隣の仏間に二人を案内した。

生前に勤めていた会社の同僚や親族からの花束、果物籠などに囲まれ、真新しい祭壇の中央に、唐等未美枝子の遺影が掛かっていた。

米盛が仏壇の前に正座すると、その後ろに前田も座った。

背広の内ポケットから、黒縁の封筒の香典を出し、経机の左に置いた。

緑色の線香を一本持つと、それを蝋燭の火にかざし、線香に燃え移ると、二・三回振って、その炎を消した。

先に赤い火の付いた線香から、細く青白い煙が一直線に立った。

それを、短くなってまだ燃えている、数本の線香の間に立てた。

米盛は、遺影を見つめ、ゆっくりと二回、鈴を打ち、手を合わせ、瞑目した。

二人が焼香を終わるまで、武雄は斜め後ろに控え、首をうなだれていた。

その彼に、二人が向き直り、頭を下げた。

「ご丁寧に、どうも」と武雄も礼に応じた。

彼は、ありがとうを省いて挨拶を返した。

応接間に戻ると、米盛は生前の唐等未美枝子の事を聞いた。


唐等未武雄が、ゆっくりと話し出した。

「私達が知り合ったのは、同じ会社ででした。はい、アジア食堂と言う会社です。確か、二十歳を過ぎて間もなくの頃だったと思います。

彼女は、板前さんと文通をしていたようでしたが、それもいつか無くなり、え、相手の名前ですか、さあ、何しろ二十年も前の事ですから。 

二十五の時に結婚しました。妊娠を機会に彼女は会社を辞め、子育てに専念し、二人の娘に恵まれました。彼女の退職金と、私のボーナスを頭金に、この家をローンで買いましたが、三年前、庭仕事をしている最中に、私が腰を痛めてしまい、仕事が出来なくなりました。

娘達も手が掛からなくなり、今度は、私が家の中の事をやり、彼女が外で働く様になりました。

それがA2Z保険会社です。え、はい、彼女は、涌谷の出身です。

ええ、東北本線を挟んで、向こうにある町です。ああ、ご存知でしたか。

え、旧姓ですか、遊茶と書いて、ユウサと読みます。

彼女のお父さんはトラックの運転手をしていましたが、下の娘が幼稚園に上がる年に事故に遭い、亡くなりました。さあ・・・五十五・六だったと思います。

はい、お母さんは少し弱ってはいますが、近くに住んでいます。

名前は、とし子。平仮名で、とし、漢字で、子です。

とし子さんには、今度の事が有って、又戻って来て頂こうかと、考えているところです。

ええ、会社の同僚なんかをよく連れてきていました。そうですね、私の記憶にはないですね。

いたって真面目と言うか、夕方五時前後には、必ず帰ってきていました。

それは最後まで守られていました。

外泊なんて、今回が初めてです。

昨年から指導員と言う肩書きが付いても、帰宅時間は守っていましたし、今回の出張も、日帰りの予定だったんです。それが・・・」


米盛勇夫と前田伸雅が外に出ると、既にうす暗く、そよ吹く風が冷えを加えていた。

減反政策と住宅の進出で、かなり田園は埋め立てられた様子だが、季節の虫がまばらに鳴いていた。

「古川署まで、歩いていこう・・・ちょっと挨拶しておかないとな、それで、今日は石巻へ行こう」と米盛が前田に言った。

「え、石巻、ですか、涌谷じゃなく?」

「ああ」と米盛は言って、何かを探すように、夕空を見上げた。

「客商売をしていただけあって、意外と標準語でしたね。どうして、母親の名前だけ聞いて、父親の名前を聞かなかったんですか?」

「気が付いたか、ユウサという苗字は結構あるんだが、遊茶と書くとめったに無い、それで聞かなくとも分かったからさ」

「何を分かったんですか?」

「二十年も昔になるかな、母親は万引きで挙げられた事があった。当時巡査をしていて、本人に会った事はないが、そのやり口が印象的だったよ」

「どんな」

「遊茶とし子には、亡くなった美枝子を頭に四人の娘が居たんだ。貧乏だったが、せめて一番下の娘にだけでも、晴れ着を揃えてやりたくて、ローンを組んだ。その店からの帰りがけ、ひょいと店の簪を盗ったというんだよ。ここまでなら単純な万引きだったが、署で指紋を取り、念の為に、ローンの書類を調べると、印鑑の代わりに拇印がしてあったんだ。ところが各当する指紋が、本人の指にはなかったんだ。どうしたと思う?」

「ええ、どうしたんですか?」

「それがな、足の指で押してあったんだ」

「あ、足の指で、ですか。どうして、そんなことを・・・」

「支払不能になった時、トボケられると思ったらしいんだ」

「随分と人を食ったような話ですね」

「素人の詐欺まがいなんて、そんなものさ」

二人はやがて、国道を横切り、繁華街に出ると、古川署に着いた。

署長から、挨拶の付き合いに誘われたが、次にと言って断り、陸羽東線古川駅から石巻に向った。

途中、東北本線の小牛田駅で、石巻線に乗り換えた。

終点の石巻に着いた時は、潮の香に混じって、港町特有のネオンが、ケバケバと光っていた。

「ちょっと電話してみる」と言って米盛が公衆電話に入った。

間もなく出てくると、迎えに来てくれるというから、ここで待っていよう。となった。


鈴城広州は、トレーナー姿という軽装で、車を米盛勇夫と前田伸雅の立っている公衆電話の前に停めた。

二人が乗り込むと、日和山公園の近くの自宅に戻った。

庭から道一本向こうが崖になっていて、その先が石巻港になっていた。

足元の港から、汽笛が聞こえた。

日本に来るロシアの船が、碇を降ろせる港だった。

世界的には、何かと五月蝿い鯨の港でもあった。

家の後ろは、公園になっていて、春にはかなりの桜が咲き乱れるだろうと思った。

鈴城と米盛は、小学中学高校と文字通りの竹馬の友だった。

鈴城は小牛田農林高校を卒業まで野球を通したが、米盛は、高校から柔道を始めていた。

「何時、石巻に」と米盛は居間に落ち着くと聞いた。

「親父が死んで、すぐだった。でもまだ半年だよ。東京から大貫、そして石巻、やっと落ち着いたところさ」

「親父って、あの、神主の?」

「ああ」

「そうか、神主、死んだのか、いい人だったな。村の祭りの時は、水色の袴に烏帽子姿でさ、馬に乗って、跡、継がなかったのかい?」

「ん、宗教だとか、信仰心といったことは分かるが、やってる事を見ているだけに、言ってる事が嘘臭くて、嫌だったからな、俺」

「そんなもんかな、最も言われて見ると、警察庁だの警視庁が科学捜査を看板にしている割には、神棚があるのも、なんか変といえば変だな」

「お、来た来た。鯨の尾のみだ。酒は宮城の一の蔵、東京じゃ、仲間が集まる事はあるのかい」

傍に来た鈴城の妻、幸子が、手際よく歓待した。

「ないな、県人会なんていうのがたまに出てくるが、選挙の時だけで、後はどうなってんだろなあれ、ところでさ山ノ神、今何処に居る?」

「なんだい、いきなり。山ノ神か、どうしてるかな」

「ン、こっちへ来る時、ふと浮かんだもんだからさ」

「俺にもよく分からない、もう随分となるよ、あれがどっかへ行ってから」

「そうなんだ」と米盛は、話の先を失いかけた。

「今度は又、どんな事で来たんだい?」と鈴城が言って、米盛と前田の二人に冷酒を酌した。

「お、ありがとう。ん、自殺なのか、他殺なのか、よく解らない事が起きたんだよ」

「忙しいな、相変わらず」

「今日、被害者のご主人に会ったんだが、驚いたよ、被害者を知ってるんだよ、俺」

「どういう事だ、それ」

「昔聞いた、万引きの娘だったんだ」

「万引き?」

「ああ、ドジな話さ。もう二十年になる」

「二十年前か、俺達は大貫にいたなその頃、そうだ、山の神の兄貴ってのが居て、こいつがワルだった。親父も手を焼いていたよ」と鈴城が呟いた。

「そうか、神主、保護観察やっていたからな。狭間良一って言うチンピラだろ。あれ、狭間って、狭間良蔵の息子だな。じゃ、なにか、山ノ神って、狭間の事なのかい?」と米盛は今更のように驚いた。

「ああ、良孝って言う名前だよ。知らなかったのか?」

「知らなかったな。確かなら、山の神の親父、一度挙げられてるぞ」

「チンピラの兄貴じゃなく、親父がか、なぜだい?」

「ん、強姦未遂だった。やっぱり二十年前」と米盛は口に運んだ酒を置いて言った。

横に座って、この話を聞いていた前田伸雅刑事が

「今度のヤマと、なんか繋がっていそうですね」と呟いた。

「俺がまだ巡査の頃だったよ。そうか、山ノ神の親父だったのか。因果な事件だったよ。なにしろ狭間良蔵はよほど嬉しかったらしいよ。「上総」って料亭なんだが、月に一度、親方の和夫が運転手付の車で、仙台まで買出しに行っていたそうだ。ある日、親方が仙台から帰ると、良孝を呼んで、これは、ボーナス代わり。と言って、薄く、細長い四角なケースを良孝に渡した。その場であけると、それは刃渡り八寸の薄刃包丁で、山の神の良孝はふと、包丁を収める何か、鞘のようなものが欲しくなり、船の帆と同じズック材で、ランドセルを作る大塩部落のランドセル職人、狩田の掘っ立て小屋のような家を訪ねたそうなんだ。その足で実家に帰り、包丁のケースを頼んで来た事を、親父に話したそうだ。話を聞いた良蔵は、良孝が家に泊まることもなく帰った後、一人で焼酎を飲みながら、嬉しくてしょうがなかったらしい。それは、自分が桶屋の修行をした頃とオーバーラップし、やっと自分を分かる人間が現れ、言い尽くせない何かを共有できる気がした歓喜だったと、ニコニコしていたらしいな。あの構えをした料亭に、自分の息子が居る。そう思うだけで嬉しくなり、刃物を大事にする職人を、息子に見たのかもしれない。子供のようにはしゃぎまわりたいほどの嬉しさを、自分一人の胸には納め切れなかったのだろうな。山の神の親父は、事あるごとに、会う人毎に、息子の自慢をするようになってしまったと、照れていたそうだ。何しろ、あの頃は、木製の桶が、プラスチックの桶に押され、仕事量が下を向いていたが、良蔵の胸の血は上を向いていたんだろう。修理した重い桶を配達する自転車さえ、以前と違う軽さに感じたと、弁護士にも語っていたそうだ。そんな折、桶の配達帰り、大塩の狩田の家の前を通った。物乞うカラスも、巣に帰る時刻だった。と言うから、夕方だな。ゆるい坂道の途中に在る狩田の家の前を通り過ぎたが、息子の庖丁ケースがその後、どうなったか聞いてみようと言う気になって、少し戻って、自転車を路の脇に停め、行って見ると、狩田は居なく、その妻が夕餉の支度をしていたそうだ。一本の庖丁に思い入れた息子が、親父を狂わせたのか、強姦未遂及び暴行傷害罪、二年間の実刑だった。映画で見るような店だった」と米盛が言った。

「ふむ、そんな事が有ったのか」と鈴城は、言って杯を干した。

「万引きの方は直接担当じゃなかったが、こっちは俺が一報を受けた都合、色々聞いたよ」

「いや、待てよ、つまり山ノ神、奴は、一時、松島に居ると言って来た事が有る。その前は、その、「上総」に居たと言う事か。後が仙台、四・五年前が東京だぞ。一度会おうかという事があったが、なんかの都合で会えなかった事があった」

「そうか、たぶんその頃だと思うが、酔っ払いの事故死があって、その身元の確認に行ったところが、やはり料亭「上総」だったよ。

「随分と忙しい因果な店だな」と鈴城が感心して言った。

「どうして、その酔っ払いが、そんな店に居たんですか?」と前田が聞いた。

「そこで、運転手をして居たんだよ」

「なるほどね、お抱えって訳ですか」

「事故死って言うと、車か?」と鈴城が聞いた。

「いや、それが溺死なんだ、血液検査でアルコールを調べたが、飲んでも一・二合だろうと言う程度なんだ」

「溺死か」

「それも、どぶ川に頭から突っ込んでの事だったよ。這い上がろうともがいた形跡はあったが、可愛そうな姿だった。そいつ、噂があまりよくなかったな」

「どんな」と前田が首を伸ばした。

「どうも、若い男に悪戯をする性癖があったらしい。だから見習いも長続きしなく、親方は悩んでいたらしい」

「男が、ですか?」

「ああ、ま、事故と言う事が判ったんで、それっきりだったが、狭間良蔵の息子、狭間良孝がそこに居た事は、俺も知っていたが、あれが山の神だったか、溺死事故のあった頃はいなかったよ、あの店に・・・ま、親父の事で居辛くなったのかも知らんな。

東京か、同じ東京と言っても、中が深いから、すれ違っても分らないな。第一、俺たちだって、同じ東京に居ながら、会った事がなかったじゃないか」と米盛が溜息混じりに言うと、前田も、電話は出来ても、東京で会うとなると、やっぱり忙しい街ですね。と言った。

鈴城はふと、

「あいつ、職場が、と言うより住所が変わると電話をくれたが、さっきも言ったが、ここ四・五年音沙汰がない、東京で落ち着いたんじゃないかな」と鈴城が呟いた。

「もうすぐ、二十一世紀、時間と科学は進んでも、人間のやることって、あまり変わらないですね」と前田が言って鯨の尾のみをつまみ、酒を飲み、美味いですね、と頬を崩した。



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