表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/163

シンデレラはハダカデバネズミ


午前中は保健室で寝ていた。正直、体がだるくて辛い。


私は午後になってやっと、教室に戻った。昨日は緊張と熱のせいでよく眠れなかった。今は深く深く、反省してる。というより後悔してる。電車で寝た事も、傘を忘れた事も、舞台に立つ人間として意識が足りなかった……。今日から、新入生歓迎公演なのに……。


私がロッカーの前でうなだれていると、クラスの女子が話かけてきた。

「相田さん、昨日は教科書ありがとう!」

まさか、同じクラスで教科書を貸すことになるとは思わなかった。お人好しって訳じゃない。休みの日にたまたまロッカーに置いてあったから、使ってもらった。


「あ、そうだ!ごめん!資料集だけ須藤君に貸しちゃった。須藤君から返してもらえる?」

え…………又貸し?それはどうかと思うんだけど……。

「…………うん。わかった。」

そんな事強く言える体力も気力もない。まぁ、あっても言わないけど……。


「須藤君!資料集、相田さんにちゃんと返してね!」

「相田ってどれ?」

女子が男子を呼んで来た。クラスの男子なんかと話したことない。今は喋りたくない。髪はボサボサだし、マスクに眼鏡…体調も最悪だし…………今は止めて!そう……思っていても、その時は今すぐ来る。


「相田さーん。これ。これが相田さん。」

女子が私を呼ぶ。後ろを振り向くと、そこには見知らぬ男子が立っていた。凄い見られてる…………いや、見すぎでしょ!何?一体私、何に見えるの?妖怪?幽霊?そんな、ハダカデバネズミを見るような目でこっちを見ないでよ…………怖い……。


私はロッカーの前でしゃがみながら、その刺すような視線に動けずにいた。

「これ、借りた。ありがとう。」

意外だった。普通に、ただ普通にありがとうって言われた。私は何も言えずに、資料集を受け取った。のに…何で離さないの?

「バニラ……。」

え…………!?私が驚くと、男子は資料集から手を離す。

「……中の紙、見た?」

「見た。」

やっちゃった……。こんな物見せたら絶対バカにされる!!からかわれる!私はこれ以上話かけられないように、すぐに資料集をロッカーにしまって、教室へ逃げ込んだ。席につくと、すぐにホームルームが始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ