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アラフォーおっさんはスローライフの夢を見るか?  作者: サイトウアユム


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Quest4:パワーレベリングをせよ



 マコトはスライスしたパンを頬張る。

 ボソボソした食感で味は今一つ。

 口に入れると貪欲に水分を吸収する。

 だからと言って、水を飲み過ぎるのは禁物だ。

 口の中がある程度、乾いてから水を飲む。

 それが賢いやり方だ。


「……気密性の高いリュックで助かったよ」

「どうすんのよ」


 食料を挟んで対面に座っているユウカが囁くような声音で言ったが、マコトは無視して干し肉を口に運んだ。

 マジックアイテムなのか、それとも防水性が優れているのか、リュックは外側こそ濡れていたが、内側は無事だった。

 もし、浸水していたら飢えに苦しむことになっていただろう。


「トムのヤツ、義理堅い性格だったんだな。これでしばらく食料の心配をせずに済むぞ」

「どうするのよ」

「地底湖のお陰で水浴びと洗濯ができるようになったな。水浴びをしてきたらどうだ?」

「どうするのよ!」


 堪えきれなくなったのか、ユウカは吠えた。


「どうするって、戦うしかないだろ」

「だから、どうやって!?」

「一体ずつ倒す」

「だから! その方法を! 聞いてるんじゃないッ!」


 ユウカは顔を真っ赤にして叫んだ。

 食後に説明しようと思っていたのだが、マコトの思いは伝わらなかったようだ。


「まあ、落ち着けよ」

「こんな状況で落ち着ける訳ないじゃない! 上に行く方法は分からないし、強そうなアンデッドがうようよしてるし、食料だって……」


 声は尻すぼみに小さくなっていった。


「……スケルトン・ジェネラルの行動を見ていて気付いたんだが」

「何によ」

「連中は同じ所を行ったり来たりしている」

「は?」


 ユウカは斜面を駆け上がり、発見されないようにか、地面に伏せた。

 汚パンツには興味がないので、干し肉を囓る。

 しばらくしてユウカが戻ってきた。


「……確かに行ったり来たりしてたわ。でも、どうして?」

「お揃いの装備をしてるし、そういう風に創られたんだろ」

「何でもありって感じね」


 ユウカは元の位置に座り、溜息を吐くように言った。


「でも、どうやって一体ずつ倒すのよ? 一体でも死にそうな目に遭ってたのに二体なんて勝てる訳ないじゃない」

「多分、連携はねーよ」

「根拠は?」

「最初のスケルトン・ジェネラルが戦った時に増援が来なかっただろ? きっと、あいつらは自分の領域を守れって命令しか与えられてねーんだよ」

「随分、適当ね」

「それで十分だと思ったんだろ」


 創られたモンスターが創った本人より強いとは思えない。

 自分の所に来るまでに少しでも戦力を減らせれば儲けもの程度に考えていても不思議ではない。


「戦っている最中に二体目に襲われたくねーから誘導はするけどな」

「どうやって?」

「質問ばっかりだな。少しはお前も考えろよ」

「あたしは高校生なんだから、アンタみたいにアイディアを出せないわよ」

「高校生は関け……ん~、でも、そんなもんか」

「馬鹿にしてるの?」


 ユウカは拗ねたように唇を尖らせた。


「いや、馬鹿にしてる訳じゃねーよ。実際、俺も高校生の時は根回しだの、段取りだの深く考えたことなかったしな」

「馬鹿にされてる気がするんだけど?」

「だから、してねーよ」

「そうかしら?」


 ユウカは今一つ納得していないようだ。


「少しずつ近づいて、追い掛けてきたらここまで誘導。ユウカの魔法で動きを封じて俺の炎弾で装備を破壊する」

「そんな簡単にいくかしら?」

「そりゃ、口で言うほど簡単じゃねーよ。俺の炎弾が効くかも分からないんだから。少しでもダメージを与えられりゃ儲けもんくらいに考えようぜ」

「出たとこ勝負もいい所ね」

「試してみる価値はあると思うぜ。とにかく、誘導して、足止めして、遠距離攻撃で敵のHP……そんなものがあるか分からねーけど、HPを削れるだけ削って弱点の球体を破壊するってのを基本戦術にしたいと思う」


 う~ん、とユウカは難しい顔をしている。


「気になることや改善点があったら言ってくれよ。対案があったらもっといい」

「……特にないわ」

「そうか。まあ、言いたいことがあったらいつでも言ってくれ」


 自分だけではなく、ユウカだって死ぬかも知れないリスクを背負っているのだ。

 発言権的にはできるだけ対等でありたい。


「一体ずつ倒して、最後は神殿に攻め込む感じだな」

「逃げる訳にはいかないの?」

「上に続いてる縦穴がありゃ考慮するけどな。ま、仮に縦穴があっても、食料が先に尽きると思うぜ」

「滝を遡れないかしら?」


 マコトはユウカに釣られて滝を見た。

 登山家やロッククライマーならともかく、素人が身一つで登るには荷が勝ちすぎる。


「空飛ぶ魔法が使えりゃ遡れるだろうけどな」

「使えないわよ、そんな魔法」

「じゃあ、無理だな。そう言えば魔法ってどうやって覚えるんだ? レベルが上がると自動的に身に付くのか?」

「そんな訳ないでしょ。ちゃんと勉強して覚えるのよ」

「ってことは新しい魔法は覚えられねーのか?」

「……レベルが足りなくて使えなかった魔法はいくつかあるわ」


 警戒しているのか、ユウカは少し間を置いて答えた。


「有利に戦えるようになる魔法はあるか?」

「レベルが上がれば今使える魔法でも通じるようになると思うけど」

「そんなに都合のいい魔法はねーか」

「つか、アンタが異常なのよ」


 マコトが溜息を吐くと、ユウカは面白くなさそうに言った。


「やっぱ、そうだよな」

「レベルの差を無視するなんてチートもいいところよ」

「お前らみたいにチュートリアルがなかったんだから、これくらいのチートがないと死んじまうよ」


 着の身着のままでダンジョンに放り出された上、意識不明の重体だったのだ。

 ゲームならクソゲー決定だ。


「取り敢えず、俺が一人でスケルトン・ジェネラルと戦えるようになるまでレベルを上げて、それからユウカのレベル上げでいいか?」

「……」


 ユウカは無言だ。


「レベルが上がっても襲ったりしねーから安心しろ」

「信じていいの?」


 ああ、とマコトは頷いた。


「本当に?」

「しつけーぞ」


 ユウカはまだ疑っているようだ。


「あたしのレベルを上げるメリットって何?」

「手数を増やしたいんだよ。そりゃ、一人で戦えるならそれに越したことはねーけど、援護があれば安全に戦えるだろ?」

「……分かったわ。一応、信じる。けど、襲い掛かってきたら舌を噛んで死ぬからね」

「死んだ後は化けて出る訳か」

「そうよ!」


 ユウカは声を荒らげた。



 マコトは斜面に伏せ、スケルトン・ジェネラルを観察する。

 スケルトン・ジェネラルは同じ所を言ったり来たりを繰り返している。

 しかし、よく観察していると動きが連動しているに気付く。

 あるスケルトン・ジェネラルが前を向いている時、隣の個体は後ろを向いている。

 さらにその隣の個体は前を向いている。

 上手く誘導すれば鱗を一枚一枚剥がすように敵を排除できるはずだ。

 ただし、これはマコトの推測に過ぎない。

 もし、敵が一斉に襲い掛かってきたらそこで命運は尽きる。

 賭けなければいけないと分かっているが、恐怖は拭いがたい。


「ちょっと大丈夫なの?」

「タイミングを見極めてるんだよ」


 マコトは斜面を下りた所で待機しているユウカを盗み見る。

 大きく息を吐いて立ち上がるが、スケルトン・ジェネラル達は同じ行動を繰り返している。


「……点火イグニッション炎弾ファイア・ブリット


 漆黒の炎が右腕から噴き出し、手の平で炎の塊を形成する。

 袖で額を拭うと、ぐっしょりと濡れていた。

 マコトは炎弾を投げた。

 ユウカの魔法と違って完全にマニュアルだが、幸運にも炎弾は一直線に飛んでいく。

 スケルトン・ジェネラルは手で炎弾を払い除けようとした。

 だが、炎弾は手に触れるやいなや形を失い、スケルトン・ジェネラルを呑み込んだ。

 眼窩に灯った赤い光が輝きを増し、スケルトン・ジェネラルの姿が掻き消えた。

 マコトは反射的に後ろに跳ぶ。

 次の瞬間、切っ先が目の前を通り過ぎた。

 その場に踏み止まっていたら両断されていただろう。


「点火、炎弾!」


 着地と同時に炎弾を投げつける。

 銀光が閃き、炎弾が両断される。

 炎弾は形を失い、スケルトン・ジェネラルを包んでいた炎と一体化した。

 漆黒の炎が激しさを増す。


「はは、これは流石にチート過ぎるだろ」


 笑いが込み上げる。

 努力して手に入れた力ではないが、強い人間はこんな感覚を抱いているのかも知れない。

 白銀の鎧が崩壊を始め、スケルトン・ジェネラルはマコトに突っ込んできた。


「……点火、炎弾」


 再び炎弾を投げつける。炎弾が着弾し、炎がさらに勢いを増した。

 にもかかわらず、スピードは衰えない。

 避けるべきだが、背後にはユウカがいる。

 ここで自分の安全を優先すればユウカは疑心を強めるに違いない。

 リスクを高めることになっても受けて立つしかない。


捕縛陣バインド!」


 地面から伸びた光の帯がスケルトン・ジェネラルの腕に絡み付いて動きを封じる。

 マコトはその隙にスケルトン・ジェネラルの懐に飛び込む。

 スケルトン・ジェネラルは光の帯を引き千切り、剣を振り上げた。


「点火、収束コンバージェンス!」


 剣が振り下ろされるより早く拳を叩き込む。

 白銀の鎧が砕け散り、弱点である赤い球体が露わになる。


「オオオオオッ!」


 マコトは雄叫びを上げ、拳を繰り出した。

 だが、砕けたのは赤い球体ではなく、肋骨だった。

 もう一発、と拳を振り上げ、仰け反る。

 自分の意思ではない。

 スケルトン・ジェネラルがマコトの髪を掴んだのだ。


「放しやがれッ!」


 マコトは腕を掴み、渾身の力を込める。

 腕が砕け、地面に落ちる。

 だが、スケルトン・ジェネラルは平然と剣を突き出してきた。


「捕縛陣!」


 ユウカの声が響き、光の帯が剣に絡み付く。

 動きを封じられたのは一瞬だが、赤い球体を掴むにはそれで十分だ。

 マコトが手に力を込めると、赤い球体は澄んだ音と共に砕けた。


【レベルが上がりました。レベル28、体力18、筋力21、敏捷17、魔力30。ボーナスポイントが6付与されました】


 御使いの声が頭の中に響き、マコトはその場に座り込んだ。


「大丈夫?」

「やっぱ、慣れねーわ」

「戦ってる最中に笑ってたわよ」


 溜息交じりに言うと、ユウカは非難がましい口調で言い返してきた。


「うん、まあ、調子に乗った」

「俺TUEEEEEってヤツね。そりゃ、気持ちは分からなくもないけど、作戦は『命大事に』なんだから慎重にやってよね」

「面目ない」


 信用してもらえるようにポイントを稼いだつもりだったが、プラスマイナスゼロ――下手するとマイナスの可能性がある。

 ユウカは目を細め、小さく唸った。


「レベル26ね。やっぱり、格上のモンスター相手だとレベルが上がるのが早いわね」

「敵の強さとレベルの上がり方が見合ってねーような気がするんだが?」

「殺されかけたくせに何を言ってるのよ」

「それはそうだけどよ」


 攻撃は耐えきれないレベルではないし、スピードも追いつけないほどではない。

 こんなに簡単にレベルが上がっていいのかとさえ思う。


「弱く感じるかも知れないけど、チートがなかったら手も足も出ないわよ?」

「何でだ?」

「物理耐性と魔法耐性のスキルを持ってるからに決まってるじゃない」


 マコトが尋ねると、ユウカはさも当然のように言った。


「お前、敵のスキルも分かるの?」

「一応ね」

「頼むから言ってくれよ」

「言うタイミングがなかったのよ」


 ユウカはしれっと言ったが、秘密主義にも程がある。

 鎧を身に着けている上、耐性を持っている相手に挑むなんて無謀もいい所だ。


「他に何か知ってることはないか?」

「特にないわ」


 本当かどうか疑わしいが、問い詰めても気分を害すだけだろう。

 機会があればステータスを確認できるスキルか、アイテムを手に入れたい。


「ところで、体調は大丈夫なの?」

「ああ、この前に比べりゃ大したことねーよ」

「念のために回復するわね」


 そう言って、ユウカはマコトに手の平を向けた。

 青白い光が放たれ、気分が楽になったような気がする。


「……疲労はステータスに表示されないのか?」

「ええ、表示されてないわ」

「バッドステータス扱いされそうなもんだけどな」

「あたしに言われても分からないわよ。でも、毒や麻痺と違って区分が曖昧だからじゃないかしら?」

「だから、知力を教えてくれないのかもな」

「確かにどうとでも定義できるわね」


 計算が早かったり、記憶力が優れていたりすればが知力が高いことになるかと言えば違うような気がする。


「ってことはHPやMPを教えてくれないのもそれが原因か?」

「多分、そうでしょ。魔法なんてもう無理って状態からでも撃てるし」

「確かめたのか?」

「限界を把握するためにね」


 俺も確かめた方がいいのかな? とマコトは自分の手を見下ろした。


「腕が疼くとか言わないでよ」

「言わねーよ」

「アンタって、そういうことやりそうじゃない」

「いやいや、やらねーし」


 マコトはパタパタと手を左右に振って否定した。

 体は少年でも、心は大人なのだ。

 もう厨二病に罹ることはないだろう。


「点火とかノリノリでやってるくせに?」

「何も言わないより使いやすいんだよ」

「本当に?」

「こんなことで嘘を吐いてどうすんだよ」


 ちょっと格好いいかもと思っているのだが、口にはしない。


「男子って、悪ノリするから今一つ信じられないのよね」

「高校生よりは分別があると思っているんだが?」

「……そう?」


 ユウカは疑いの眼でマコトを見つめ、首を傾げた。


「そうなんだよ」

「まあ、いいけど、前衛のアンタが死ぬと、あたしも死ぬんだから気を付けてよね」

「分かった」


 マコトは頷いた。

 もう少し言い方があるのではないかと思ったが、運命共同体だと思ってくれているようだ。


「……頑張らねーと」


 マコトは天井を見上げて呟いた。



 マコトが領域に踏み込むと、スケルトン・ジェネラルが突進してきた。

 鞘から剣を引き抜き、一閃させる。


「よっと!」


 マコトは間合いを見切り、攻撃を躱した。

 人間ならば警戒したはずだが、スケルトン・ジェネラルは無警戒に突っ込んできた。

 マコトは背を向けて走り出す。

 体が羽のように軽い。

 全盛期を上回るどころか、陸上界のレジェンドになれそうなスピードだ。

 肩越しに背後を見やり、スピードを落とす。

 スケルトン・ジェネラルは敵を見失うと元の場所に帰ってしまうので、全力で走る訳にはいかない。

 地面を蹴り、地底湖の畔に着地する。

 振り返ると、スケルトン・ジェネラルが落ちてくる所だった。

 スケルトン・ジェネラルは着地と同時に剣を水平に振った。

 マコトは踏み込み、上腕で受け止める。

 もちろん、受け止めたのは剣ではない。剣を支える腕だ。

 腕を絡め取り、そのまま力を込めてへし折る。

 スケルトン・ジェネラルは残った腕を振り上げる。

 マコトは距離を取り、振り下ろされた拳を難なく躱した。


「点火、収束!」


 漆黒の炎を収束させた手刀を振り下ろす。

 腕に触れた瞬間、微かな抵抗を感じたが、それだけだ。

 音もなくスケルトン・ジェネラルの腕が落ちる。

 これで攻撃手段を失ったと考えるのは早計だ。

 アンデッドに撤退の文字はない。

 スケルトン・ジェネラルは大きく口を開け、飛び掛かってきた。

 マコトは小さく息を吐き、左手でスケルトン・ジェネラルの顎をかち上げ、漆黒の光を宿した右手で脚を払う。

 スケルトン・ジェネラルは片足を失い、仰向けに倒れた。

 すかさず歩み寄り、足を振り下ろす。

 乾いた音を立てて、スケルトン・ジェネラルの脚が砕ける。

 闘志は失われていないようだが、四肢を失った状態では何の意味もない。


「ユウカ、いいぞ」


 マコトが呼ぶと、ユウカが岩陰から出てきた。


「随分、楽に倒せるようになったわね」

「レベルが70にもなればな」


 何十体も倒していれば行動パターンも読めてくる。

 もちろん、ここに至るまでの道のりは平坦なものではなかった。

 過酷という言葉すら生温い。

 腕を斬り落とされたり、内臓がはみ出たり、眼球が飛び出したり――正直、逃げられるものなら逃げ出したかった。

 しかし、ここはダンジョンの最下層だ。

 逃げようにも逃げられない。修羅の如く戦うしかなかった。


「さっさと倒しちまえよ」


 マコトは暴れないようにスケルトン・ジェネラルの首を足で押さえ、右手で白銀の鎧に触れる。

 美しい白銀の鎧はみるみるうちに黒ずみ、ボロボロになっていく。

 程なくして鎧の下に隠されていた赤い球体が露わになる。


「アンタのそれってホントにチートよね」

「まあ、な」


 マコトは炎を消し、右手を見つめた。


「炎みたいに見えるが、実際の力は崩壊とか、分解って感じだな」

「誤射は絶対にしないでよ」

「俺の意思で崩壊させるかどうか決められるっぽいから大丈夫だと思うぜ」


 そうでなければ服の袖がなくなっているはずだ。

 だが、ユウカは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。


「っぽい?」

「確かめたことねーし」

「あとで、ちゃんと、確かめて」


 ユウカは柳眉を逆立て、言い含めるように言った。


「分かった分かった。さっさと魔法をぶち込んでくれ」

「……」


 ユウカは距離を取り、杖を構えた。


「リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、穿て穿て礫の如く、我が敵を貫く礫となれ! 顕現せよ、魔弾!」


 魔法陣が展開され、魔弾が赤い球体に突き刺さる。だが、レベル差からか、赤い球体には傷一つ付かない。


「リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、穿て穿て礫の如く、我が敵を貫く礫となれ! 顕現せよ、魔弾!」


 再び魔弾が赤い球体に突き刺さるが、やはり傷一つ付かない。


「こりゃ、時間が掛かりそうだな」

「リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、穿て穿て礫の如く――」


 マコトがぼやくと、ユウカはムキになったように詠唱を始めた。

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