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アラフォーおっさんはスローライフの夢を見るか?  作者: サイトウアユム


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Quest22:シェリーを攻略せよ その3



 南城門近くの空き地――マコト達はユウカを中心に円陣を組む。

 武装を整え、準備万端だ。


「皆、忘れ物はないわね?」

「ねーよ」

「ないッス」

「ない」

「ありません」


 この遣り取りは必要なのだろうかと思わなくもない。


「……気を楽にして」

「分かりました」


 ローラは神妙な面持ちで頷き、スー、ハー、スー、ハーと深呼吸を繰り返した。

 スー、ハー、スー、ハーと深呼吸する音が響く。


「緊張しすぎでしょ」

「……初めての経験ですから」


 ユウカが突っ込むと、恥ずかしいのか、ローラは頬を朱に染めた。


「騎士様でも転移の経験はないんだな」

「転移魔法を使える魔法使いは滅多にいません」

「リブもそんなことを言っていたな」

「おう、滅多に見ないぞ」


 独り言のつもりだったのだが、リブは律儀に応じた。


「そう言えば……挟撃や奇襲は最悪って言ってたな。転移魔法でそういうことをされた経験があるのか?」

「ないって言うか、敵はそんなことを教えてくれねーだろ」


 まあ、そうだろう。


「転移魔法を奇襲に使うのは難しいと思います」

「なんで?」

「転移魔法は消耗が激しいんです。奇襲を成功させられるだけの人数を転移させるのにどれだけ負担が掛かることか」

「そんなに消耗してるってイメージはないんだが?」

「戦えなくなるくらい消耗するような魔法を使う訳ないじゃない」


 マコトが視線を向けると、ユウカは当然のように言い放った。

 RPGのようなシステムならば一度でMPが0になるようなことはないだろう。


「スキルか何かで無理に転移を使っているのかも知れねーな。どう思う?」

「あたしに聞かないでよ」

「個人の力量では扱えない魔法を使えるようにする儀式があると聞いたことがありますが……」

「博識なんだな」

「いえ、聞きかじった知識ですから」

「……悪かったわね」


 ローラは恥ずかしそうに頬を朱に染め、ユウカは不愉快そうに顔を顰める。

 ここは騎士と促成魔法使いの埋めがたい差だ。

 それはマコト達とこの世界の人間の差でもある。

 その差を放置したら確実に足下を掬われる。

 ジャイアント・スケルトンやキングの轍を踏む訳にはいかない。


「そういうスキルもありそうなもんだけどな」

「すみません。スキルまでは……」

「いや、気にしないでくれ」

「よろしければ調べておきますが?」

「頼めるか?」

「もちろんです」


 ローラは嬉しそうに微笑んだ。


「もう呪文を唱えるわよ」

「そんなにむくれるなよ」

「むくれてないわよ」

「で、でも、その歳で転移魔法を使えるだなんてユウカ様は凄い才能の持ち主なんですね!」


 ユウカがムッとしたような口調で言うと、ローラが慌てて割って入った。

 多分、自分のせいだと思ったのだろう。

 あるいは盾役としての使命感か。

 残念ながら、これがいつものユウカだ。

 慣れてきたのか、フェーネとリブは平然としている。


「そ、それほどでもないわよ」

「いえ、素晴らしい才能です」

「私なんてまだまだよ」


 ユウカは髪を掻き上げた。

 得意げに小鼻をひくつかせている。

 目に見えて機嫌が良くなったので、ローラはホッと息を吐いた。


「ところで、ユウカ様は結婚をされないのですか?」

「結婚?」


 ユウカは訝しげに眉根を寄せた。


「た、たとえばマコト様と……」

「こいつとだけは死んでもないわ」

「酷ぇ」


 マコトは思わず呟いた。

 片思いの女の子にこんな口の利き方をされたら女性不信になるだろう。


「は? アンタ、アラフォーのくせにあたしと付き合いたいとか思ってる訳?」

「欠片も考えてねーよ」


 それと、アラフォーは余計だ。


「では、マコト様は誰とも付き合っていらっしゃらないんですね?」

「いないわよ。こいつはフラグを回収しないヘタレだから」

「おま、そんな目で見てたのかよ!」


 骸王のダンジョンで盾になってやったのは誰だと思っているのか。

 切り刻まれて、どれだけ痛い目にあったと――。


「本当のことでしょ?」

「歯に衣を着せろよ」

「……草」


 ユウカは口元に手を当て、ポツリと呟いた。

 草――ネットスラングだろうか。


「……死体?」

「死体って何だよ!」

「歯に衣を着せようと頑張ってたのよ!」

「もっと頑張れよ! つか、死体ってなんだ!」

「気力が尽きてて、死体みたいになってるって言いたかったのよ!」

「下手に捻らずに草を使えよ! 草食系通り越して草みたいになってるでいいだろ!」

「は? はぁ? アンタに比べたらそこら辺に生えてる雑草だって壮絶な一生を送ってるわよ!」

「送ってねーよ! 雑草がどれだけ壮絶な一生を送ってんだよ! 精々、光合成してるだけだろーが!」


 はぁ? がやたらと気に障る。


「遺伝子を残そうと頑張ってるでしょ? それだけでもアンタよりマシよ!」

「独身者全否定かよ!」

「アンタを否定してるのよ!」

「じゃあ、そう言え!」

「面倒臭がって遺伝子を残そうとしないアンタは生物失格よッ!」

「本当に言うな!」

「じゃあ、どうしろってのよ!」

「黙ってればいいじゃねーか!」

「ふ、二人とも落ち着いて下さい」


 どうどう、とローラは両手を上げながら言う。


「マコト様が面倒臭がりなことは分かりました」

「きっと、こいつの精霊は怠惰よ、怠惰」

「決めつけるなよ」

「ハッ」


 ユウカは鼻で嗤った。

 どうして、この女が七悪の精霊術士でないのか理解できない。

 多分、こいつなら最低でも強欲、嫉妬の二冠を達成できるだろう。


「マコト様のことは分かりました。ユウカ様はご結婚の予定は?」

「あたしは関係ないじゃない」

「いえ、それだけの才能を引き継がせないのはもったいないです」

「あたしはサラブレットか」

「時々、お前って凄いよな」


 言うに事欠いてサラブレット。

 どれだけ自意識過剰なのか。


「差し詰め、アンタは種馬ね」

「短期間で大出世だな」


 何しろ、さっきまで死体だったのだ。


「でも、納得したわ。そういうことか」

「一人で納得するなよ。説明しろ、説明」

「クラスの連中がやたらとモテてたのよ」

「お前はモテなかったんだな」

「そこに食い付くの?」

「食い付くだろ」


 マコトはレベル100、ユウカはレベル73だ。

 フェーネのレベル上限が20だったことを踏まえれば自分達――客人には高レベルに到達できる遺伝的要素があると想像できる。


「お前はモテなかったんだな」

「そ、そんな訳ないでしょ。も、モテモテだったわよ」

「見栄を張るなよ」

「見栄じゃないから! 引く手数多で断るのが大変だったんだから!」

「そうか」


 面倒臭い台詞を吐かれてドン引きする男衆の姿が目に浮かぶようだ。

 だが、黙っておくのが優しさだろう。

 誰にだって見栄を張りたい時はあるのだ。


「本当にモテモテだったんだから」

「分かった分かった」

「何よ、その嘘を吐いてるのは分かるけど、黙っててやるかみたいな物言いは」

「そこまで分かってるならスルーしろよ! 面倒臭い女だな!」

「アンタ程じゃないわよ!」

「二人とも落ち着いて下さい」


 どうどう、とローラが再び割って入る。


「ユウカ様は結婚の予定がなさそうですね」

「こいつもないわよ。こいつが欲しいのはセフ――」

「欲しくないって言っただろ! 単に面倒臭いんだって! 好きになった後のことを考えると面倒臭さが先に立つんだよ!」

「……死体」

「もういいよ、死体で」


 マコトはうんざりした気分で呟いた。

 この世界の死体は仲間を増やすために動き出すので、ユウカ基準で言えば頑張っていることになる。


「マコト様にやる気がないのは分かりました。まあ、そこはパートナーになる女性が補えばいいのです、パートナーになる女性が」


 まるで自分に言い聞かせているような口調だ。


「ロックオンされたわよ」

「言われなくても分かってるよ」

「ああ、見えるわ。ATMにされてるアンタの未来が」

「お前はそんなに俺を不幸にしたいのか?」

「忠告してやってるんでしょ」


 チッ、とユウカは舌打ちした。


「姐さん、そろそろ転移をお願いするッス」

「そうだな。これじゃ日が暮れちまう」

「分かったわよ。じゃ、気を楽にして。リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、繋がれ繋がれ回廊の如く、我が歩く道となれ! 顕現せよ! 転移テレポーテーション!」


 呪文が完成し、魔法陣が展開する。

 浮遊感に包まれて目を閉じる。

 目を開けると、そこはかつて不帰ダンジョンあった場所だ。


「ここからはおいらの出番ッスね」

 フェーネは動き出した。



 マコト達はダンジョンの通路を進む。

 一列目にリブとローラ、二列目にフェーネ、三列目にユウカ、最後尾がマコトという順番だ。


「ダンジョンは何処も変わらないんだな」

「まだ三つ目じゃない」


 マコトが周囲を見回しながら感想を漏らすと、ユウカは呆れたような口調で言った。


「フェーネ、どうなの?」

「ダンジョンは何処も似たような構造ッスよ。通路が空間を繋いで、縦穴が階層を繋いでるッス」

「川も流れてる、と」

「そういうこともあるッス」


 う~ん、とフェーネはダンジョンと地図を見比べながら唸る。

 しばらく進むと、道が二手に分かれていた。


「どっちに進むんだ?」


 リブは足を止め、油断なく周囲を見回す。

 不帰ダンジョンの時、フェーネは先んじて行き先を指示していた。

 今回はそれがない。

 予想外のことが起きていると考えたのだろう。


「どうしたのよ?」

「地図と構造が変わってるんス」

「またかよ」


 マコトは顔を覆った。

 依頼と言い、ダンジョンの探索と言い、思い通りにならないものだ。


「二つもダンジョンを攻略したせいかしら?」

「その可能性はあるッスね」

「まあ、構造が変わったものは仕方がない。ダンジョンの地図を作成しつつ、ローラのレベルを上げよう。異議があったら言ってくれ」


 四人は答えない。

 それが答えだ。

 首筋がチクリと痛む。


「む!」

「おいでなすったな」


 フェーネがピクピクと耳を動かし、リブがポールハンマーを構える。


「おー、おー」

「あー、あー」


 横道から現れたのは二体のゾンビである。

 懐かしささえ感じるが、鮮度が落ちているのか動きは鈍い。


「オラァァァァッ!」

「待――」


 マコトが言い切る前にリブはポールハンマーを振り下ろしていた。

 一撃でゾンビが縦に潰れた。

 リブは跳び退り、残るゾンビと距離を取る。


「何だよ?」

「ローラのレベル上げ」

「……そうだったそうだった。忘れてたぜ」


 リブはバツが悪そうに頭を掻いた。


「けど、サシで戦えるようにしてやった方がいいんじゃねーか?」

「足止めで十分だろ?」

「手加減って苦手なんだよな」

「……確かに」


 リブの膂力で足止め――たとえば足払いを仕掛けようものなら敵は頭から地面に叩き付けられて死ぬだろう。

 まあ、アンデッドが死ぬというのも変な話だが。


「おー、おー」

「はッ!」


 ローラは裂帛の気合と共にゾンビに剣を振り下ろした。


「おー、おーッ!」


 ゾンビは上半身を半ば両断されながら距離を詰めようとする。

 ローラは体を入れ替え、盾を突き出しながら剣を引き抜く。

 ゾンビはよろめき、尻餅をついた。


「ふッ!」


 まるで草を刈るようにゾンビの首を刎ねる。

 ゾンビの頭が落ち、その衝撃が皮一枚で繋がっていた体を倒した。

 力押しでも勝てるだろうに丁寧な戦い方をする。

 今も油断なく、剣と盾を構えている。

 反撃はないと判断したのか、ローラは息を吐き、剣を鞘に収めた。


「ペリオリスよ、不死王の呪縛から解き放たれた彼の者を御許にお迎え下さい」


 胸に手を当て、祈りを捧げる。

 呪文ではない。

 純粋に祈りを捧げているのだ。


「どう思う?」

「こんな出入口に近い所でゾンビが出るのは変スね」

「そうかもな」


 ここは強いアンデッドが出現しないと評判のダンジョンだ。

 今のゾンビはレベルの高い冒険者ではなかったと考えられる。

 とは言え、たった一つの命を懸けているのだ。

 ダンジョンの構造が変化していることを踏まえて行動しているだろうし、死ぬまで戦うなんて無茶もしないはずだ。

 この先に何かあると考えるべきだろう。


「どうするッスか?」

「後ろから襲われるのも嫌だし、確認してみるか」

「地図も作成しなきゃならないッスからね」

「それもあったな」

「隊列はあたいとローラが一列目でいいか?」


 ああ、とマコトは頷いた。


「あと、ローラにサシで戦わせる件なんだけどよ」

「それは臨機応変……いや、リブの判断に任せる」

「あたいが全部倒しても文句を言うなよ?」

「言わねーよ」

「よし、行くぞ」

「分かりました」


 マコト達はリブとローラを先頭に横道を進む。

 しばらくして――。


「何だよ、行き止まりかよ」


 リブは立ち止まり、ぼやくように言った。

 長い通路を抜けた先はかなり広めの空間だ。


「中央に倒れてる人は無視ッスか?」

「見えてるよ。けど、あれは罠だろ」


 リブはフェーネに突っ込まれて顔を顰めた。

 空間の中央には人が俯せに倒れていた。

 ローブを着ているせいでどんな状態なのか分からない。


「取り敢えず、魔法を撃ち込んでみればいいんじゃない?」

「予想通りの発言をするなよ」

「……くっ」


 そんなに行動を予想されるのが嫌だったのか、ユウカは口惜しそうに呻いた。


「じゃあ、他にいいアイディアがあるの?」

「取り敢えずで魔法をぶち込むのはいいアイディアじゃねーよ」


 マコトもチラッと考えたが、生きているか確認するためにゾンビの頭を吹っ飛ばすような魔法を撃ち込んでどうするというのか。

 魔法を撃ち込むにしてもちゃんと話し合ってからだ。


「腐敗臭は?」

「ちょっと分からないッスね」


 スンスン、とフェーネは鼻を鳴らした。


「マコトは分からないの?」

「どうも当てにならないんだよな」


 マコトは首筋を押さえた。

 声の察知は自分でも今一つ性能を把握し切れていないし、気配探知は今一つ当てにならない。

 自分の意思で使えるようになれば訓練のしようもあるのだが。


「フェーネ、そこら辺の石を撃ち込め」

「分かったッス」


 フェーネは地図をポーチにしまい、スリングショットを構えた。

 弾は足下に落ちていた石だ。


「あたしと変わらないじゃない」

「威力が違うだろ、威力が」


 少なくともスリングショットは威力を調整できる。

 フェーネは石を放った。

 石が肩に当たるが、反応を示さない。


「死んでるのか?」

「死んでいるならアンデッドになっていると思いますが……もしかしたら、アンデッド化を防ぐマジックアイテムを持っているのかも知れません」

「罠かどうかは確かめてみないと分から――」

「頑張って」


 ユウカがマコトの言葉を遮る。


「予想通りの発言でしょ?」

「予想外の発言をしろよ」


 たとえば自分が行くとか。


「マコト様、よろしければ私が……」

「いや、俺が行く」


 ジャイアント・スケルトン、キングとの戦いを経て、レベル100なだけでは勝てないと分かっている。

 それでも、ローラに比べれば抵抗できる。

 使いたくないが、変神メタモルフォーゼという切り札もある。


「行ってくる」


 マコトは警戒しながら倒れている人物に近づく。


「おい、大丈夫か?」


 マコトは爪先で肩を突く。

 だが、返事はない。


「……触りたくねーけど」


 ローブを掴んでひっくり返すと、干からびた顔が露わになった。


「リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、穿て穿て礫の如く――」


 ユウカの声が響き、顔を上げる。

 通路に残っていた四人がこちらに駆けてきた。


「我が敵を貫く礫となれ! 顕現せよ、魔弾ブリット!」


 呪文が完成し、杖から魔弾が放たれる。

 魔弾は一体のゴーストを貫く。

 貫かれた箇所が大きく抉れ、ゴーストは空気に溶けるように消えた。

 だが、ゴーストは一体ではない。

 十体以上のゴーストが乱舞している。

 どうやら、先程のゾンビと足下に転がっている死体はこいつらにやられたようだ。


「兄貴! ゴーストッス!」

「見りゃ、分かるよ。点火イグニッション

 必要ないか、と思いながら漆黒の炎で右腕を包む。

「スキル・並列起動マルチタスク×10。リュノ・ケスタ・アガタ! 無窮ならざるペリオリスよ、追え追え猟犬の如く、我が敵を追う猟犬となれ! 顕現せよ、追尾弾ホーミング・ブリット!」


 呪文が完成し、光弾が杖から放たれる。

 光弾は宙を舞うゴーストを猟犬の如く追跡し、次々と貫く。

 ゴーストは次々と消滅する。


「こんにゃろッス!」


 フェーネが残ったゴーストをスリングショットで貫く。

 破邪の力を持つミスリル合金の弾に貫かれたゴーストも消滅する。

 首筋がチクリと痛んだ。

 周囲を見回すと、数え切れないゴーストが天井、壁、床から姿を現した。


「モンスターハウスか!」

「見れば分かるでしょうが!」


 ユウカ達はマコトを中心に円陣を組んだ。

 ゴーストは魚群のように渦を巻く。


「ゴーストは嫌いだ。武器が届かねーし」

「死霊王のダンジョンに行きたがってた女の台詞とは思えないッス」


 リブがポールハンマーを構えながらぼやくと、フェーネが突っ込みを入れた。

 それが切っ掛けになった訳ではないだろうが、ゴースト達が一斉に襲い掛かってきた。

 ふとキングのことを思い出す。

 マコトは足を地面に叩きつけた。

 足を基点に放射状の罅が広がり、漆黒の炎が真上に噴き出した。

 漆黒の炎が檻を形作り、ゴーストが次々と消滅する。

 第一波が消滅し、ゴーストは再び渦を巻く。


「何をしたのよ?」

「キングの真似をしたんだよ」


 ゴーストを消滅させたせいか、炎の檻は不規則に点いたり消えたりを繰り返していたが、しばらくして安定した。


「これからどうするの?」

「戦うしか――」

「兄貴!」


 フェーネが叫び、マコトは視線を巡らせた。

 先程と同じように数え切れないほどのゴーストが姿を現した。


「面倒臭ぇな」

「やっぱり、アンタは怠惰よ」


 マコトが呟くと、ユウカは呆れたように言った。

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