Quest11:薬草を採取せよ【前編】
※
フェーネは軽やかな足取りで川沿いを進んでいく。
そのたびにカラン、カランという音が森に響き渡る。
その音はフェーネの首から提げられた鈴から発せられている。
モンスター避けの鈴だ。
と言ってもマジックアイテムの類ではない。
熊避けの鈴と同じように人がここにいると知らせるための物だ。
頼りなく感じるが、フェーネに言わせるとこれで十分らしい。
と言うのもアンデッド以外のモンスターは人間を恐れているからだ。
本能的に恐れているのではなく、人間が恐ろしいと学習した結果だ。
逆に人間を楽に狩れる獲物と学習すれば襲い掛かってくるという意味でもある。
「何と言うか、のどかよねぇ」
「一応、警戒だけはしておけよ」
「分かってるわよ」
ユウカは拗ねたように唇を尖らせ、ぎゅっと杖を握り締めた。
彼女が身に着けているのは買ったばかりの装備だ。
白いセーラー服の上にコルセットを連想させる革鎧を身に着け、さらにその上に黒いケープを羽織っている。
足下を守るのは真新しいブーツだ。
「そう言えば魔道書も買ってたな。新しい魔法は覚えられたか?」
「そんな簡単に覚えられる訳ないじゃない」
「そうなのか?」
「そうなの!」
マコトが問い掛けると、ユウカは少しだけ声を荒らげた。そこまで言われたらそういうものだと納得するしかない。
「アンタはどうなのよ?」
「新しい魔法は覚えてねーな。声を聞く能力もイマイチ安定してねーし」
何か条件があるのかも知れないが、検証できずにいる。
「物質化は?」
「あれ以来、試してねぇ」
激痛に苛まれるのが怖くて試せずにいるが、正直に打ち明ける必要はないだろう。
告白すれば根性なしと言われるのが目に見えている。
「使えなくなってるなんてことはないわよね? いざって言う時に使えなくて全滅しましたなんて洒落にならないわよ」
「それはない」
「なんで、試してないのに分かるのよ?」
「何となく分かるんだよ」
マコトはうんざりした気分で答えた。
根拠はないのだが、炎を物質化できるという確信がある。
ついでに言えばさらにその先に行ける確信も。
「……信じてるわよ」
「これっぽっちも信用されてる感じがしないんだが?」
「気のせいよ」
ユウカは即答した。
問い質しても逆ギレされて終わりだな、とマコトは前を進むフェーネを見つめた。
距離は大分離れている。
見失うほどではないが、いざと言う時に対応できない可能性はある。
「あんまり一人で先に進むんじゃねーぞ!」
「分かってるッス!」
フェーネは立ち止まって答えたが、一人でさっさと進んでしまう。
まるではしゃいでいる子どもだ。
「本当に分かってるのかね」
「アンタにいい所を見せたいんでしょ」
「なんで?」
「そりゃ、あんたに惚れてるからよ」
「また、それかよ」
マコトは呻いた。
是が非でも恋愛に結びつけたいと見える。
「聞いたわよ。殴られている所を助けた上、借金を立て替えてやったんですって?」
「誰にだよ」
「本人に決まってるでしょ」
ユウカはニヤニヤと人の悪そうな笑みを浮かべている。
コイツは何が楽しいのだろうと思わなくもない。
「ピンチの時に手を差し伸べられたら惚れるわよ。所謂、吊り橋効果ってヤツね」
「吊り橋効果は違うんじゃねーか?」
あれは危険に対する反応を恋だと勘違いすることだったはずだ。
「恩義に思ってるだけじゃねーかな」
「これだから独身のアラフォーは」
「どっちも関係ねーよ」
マコトは深々と溜息を吐いた。
「その理屈で言ったらお前も俺に惚れるんじゃねーの?」
「………………はっ、冗談」
ユウカは無言でマコトを見つめ、次に空を見上げ、視線を戻した後、鼻で笑った。
「お前、最低な」
「アンタがつまらない冗談を言うからでしょ」
「話の流れで言っただけだろ」
「確かにあたし達はいくつもピンチを乗り越えてきたわ。でも、あれは純粋に命の危機だったじゃない。勘違いする余地はないわ」
「まあ、そうだけどよ」
マコトが言うと、ユウカは口元に手を当て、意地の悪い笑みを浮かべた。
「もしかして、あたしに惚れてるとか?」
「それだけはねーな」
「アンタ、最低ね!」
ユウカは声を荒らげた。
「あたしの何処が不満なのよ!?」
「お前の自己評価の高さは何処からきてるんだよ」
「あたしは美人だし、頭もいいわ」
「……自分で言うなよ」
マコトは小さく呟いた。
頭がいいかは分からないが、確かに美人と評してもいい顔立ちをしている。
しかし、それを自分で口にしてどうするのか。
「お前、その調子で学校生活を送ってたのか?」
「そんな訳ないでしょ。猫を被ってたに決まってるじゃない」
当然じゃないと言わんばかりの口調だ。
「猫が足りなかったんじゃねーの?」
「どういうことよ?」
ユウカは眉根を寄せて問い返してきた。
「あの三人に好かれてなかったみたいだしよ。演技を徹底すべきだったんじゃね?」
「ぐっ、うっさいわね」
痛い所を突かれたとばかりに呻く。
「で、何処が不満なの?」
「これまでの会話で予想できるだろ」
「何処?」
「性格」
「アンタ、マジで最低ね!」
ユウカは再び声を荒らげた。
「お前も大概だと思うぞ」
「あたしはいいのよ」
自分勝手にもほどがある。
「せめて、デレてくれりゃな~」
「ツンデレが好きとかアラフォーのくせに気持ち悪いわね」
「そんなこと言ってねーよ」
即座に突っ込みを入れる。
「まあ、ベッドでめそめそ泣いていると思えば可愛げがあるか」
「……聞いてたの?」
「泣いてたのかよ」
「な、泣いてないわよ!」
「そうか、泣いてたのか」
「泣いてない! 泣いてないから!」
マコトがニヤリと笑うと、恥ずかしいのか、ユウカは顔を真っ赤にして否定した。
「いや、いいんだぜ。女子高生なんだから我慢しなくても」
「だから、泣いてないから!」
「暴言を吐いた後に自己嫌悪に陥ったりしてるんだろ」
「してない! してないから!」
「……待て」
「あたしは犬かっての!」
声の調子からフェーネを優先すべきと考えたのだが、思いは伝わらなかったようだ。
マコトはユウカを無視してフェーネの下に向かった。
フェーネは川縁にしゃがんでいた。
視線の先には脇腹が大きく抉れた鹿の死体が転がっている。
モンスターの一種らしく、角が刃物のようになっている。
死んでから時間が経っているのか傷口に蛆が湧いていた。
「どうかしたのか?」
「死体ッス」
「それは見れば分かるって」
「モンスターの死体ッス」
「それは……もういいや」
今度は『脇腹の大きく抉れたモンスターの死体ッス』と言うのがオチだろう。
だったら、話を進めた方がいい。
「死体がどうかしたのか?」
「この辺りに……」
「ったく、何があったのよ。げっ、死体じゃない」
ユウカがフェーネの言葉を遮る。
「全然、話が進まねーな」
「あたしのせいじゃないわよ」
ユウカはふて腐れたように唇を尖らせた。
「続きを頼む」
「剣角鹿は割と強いモンスターなんスよ」
「つまり、そいつを倒せるくらい強いモンスターがいるってこと?」
「そういうことッス。この傷口から察するに魔羆ッスね」
「聞くからに不吉そうな名前だな」
「近隣最強のモンスターッス」
フェーネは押し殺したような声で言った。
「どんなモンスターなんだ?」
「簡単に言うと、魔法を使う羆ッス」
「熊が魔法を使うのか?」
「魔法を使うモンスターは多いッスよ?」
フェーネはキョトンとした顔をしている。
「兄貴達の世界ではモンスターが魔法を使わないんスか?」
「魔法自体が存在しねーよ」
「は~、凄い世界ッスね」
「それは文化の違いってヤツだな」
魔法のある世界の住人には科学の発達した世界が凄く見えるし、科学の発達した世界の住人には魔法のある世界が凄く見える。
「それで、どんな魔法を使うんだ?」
「魔羆は個体によって属性が異なるんス」
「つまり、分からないってこと?」
「火、水、土、風のどれかッス」
「厄介そうな相手だな」
マコトは腕を組んだ。
羆というだけで厄介なのに魔法まで使うのだ。
流石にスケルトン・ロードより強いということはないと思うが――。
「近隣最強って言ったが、どれくらい強いんだ? スケルトン・ジェネラルくらいか?」
「スケルトン・ジェネラル?」
フェーネは不思議そうに首を傾げた。
そう言えばスケルトン・ジェネラルはマコトが勝手に付けた名前だった。
「白銀の鎧を身に着けたスケルトンだ」
「そんな伝説級のモンスターと比べちゃ駄目ッスよ」
フェーネは笑いながら言った。
「伝説級?」
「兄貴達と会った迷宮にいると言われてるモンスターッスよ。何でも大昔にダンジョンを探索していた騎士団が壊滅寸前まで追い込まれたって話ッス。まあ、その伝説のモンスターがいるダンジョンも攻略されちゃったんスけどね」
フェーネはがっくりと肩を落とした。
「ダンジョンが攻略されてなければ借金取りに殴られずに済んだのに」
「ちょ、ちょっと」
「……黙ってろ」
幸いと言うべきか、フェーネは気付いていないようだ。
「一旦、退くッスか?」
「いや、薬草の採取を優先する」
「くぅぅぅ、依頼を優先するって訳ッスね! 流石は兄貴ッス!」
フェーネは拳を握り締めた。
スケルトン・ジェネラルより弱ければ楽勝だと考えただけなのだが、勇気ある決断と取ったようだ。
罪悪感が刺激されるな~、とマコトは頭を掻いた。
※
数時間後――。
「何だか、鮭になった気分だわ」
「まだ昼前だぞ」
マコトは隣を歩くユウカに突っ込みを入れた。
鮭の遡上期間は分からないが、少なくとも自分達よりは長く泳いでいるに違いない。
これで気持ちが分かると言ったら魚類でも怒るだろう。
「ねぇ、まだなの?」
「もう少しッスよ」
ユウカが問い掛けると、フェーネは小さな声で答えた。
何度目かの質問だが、うんざりしている訳ではない。
単に疲れているのだ。
はしゃいだせいで無駄に体力を消費したせいでもあるが、主な原因はレベル差だ。
フェーネの体力値はマコトはもちろん、魔法使いであるユウカにさえ及ばないのだ。
「少し休むか?」
「あったッス!」
フェーネは叫び、猛然と走り出した。
向かった先には小さな滝があった。
黒っぽい岩が突き出し、滝壺はちょっとした池くらいの広さがある。
マコト達が追いつくと、フェーネは岩に生えた苔を毟っていた。
「それが薬草なのか?」
「そうッス!」
フェーネは苔をマコトに差し出す。
ツンとした匂いが鼻腔を刺激した。
何処か爽やかさを感じさせる匂いだ。
「何処かで嗅いだような匂いだな?」
苔に鼻を近づけた次の瞬間、ウィンドウが表示された。
そこには『ホースラディッシュモドキ』とある。
「名前は?」
「ホースラディッシュモドキって言うッス」
どうやら、ウィンドウに表示された名前は間違っていないようだ。
「どうして、そんなことを聞くんスか?」
「苔に鼻を近づけたら名前が表示されたんだよ」
「兄貴は鑑定を持ってるんスね」
「まあ、な。装備を買いに行った時は表示されなかったんだが……」
「兄貴、鑑定できるのは加工前の物だけッスよ」
「マジかよ」
マコトは小さく呻いた。
「ペリオリス様は万能じゃないから仕方がないッス」
「ペリオリス?」
「呪文の中にあったでしょ」
マコトが鸚鵡返しに呟くと、ユウカが呆れたような口調で補足した。
「レベルが上がった時に声がするッスよね? あれがペリオリス様ッス」
「つまり、ペリオリスが御使いってことか」
「そうッス。ペリオリス様を使わしたのがアペイロン様ッス」
「また、別の名前が出てきた」
「まだ二つ目ッスよ」
「端的に言ってくれると、助かるんだが?」
「…………大昔にこの世界に降臨されたのがアペイロン様で、管理を任されたのがペリオリス様、実際に働いてるのが火、水、土、風の精霊ッス」
フェーネはしばらく沈黙した後で答えた。
「ユウカは魔法使いだろ? それなのに、どうしてペリオリスの名前を唱えるんだ?」
「だって、そういうものだし」
これだから即席魔法使いは、と心の中で吐き捨てる。
「『リュノ・ケスタ・アガタ』は?」
「魔法を使う時のパスワードみたいなもんよ」
「ってことはペリオリスってのはシステムみたいなものか?」
「だから、知らないっての」
「これだから即席魔法使いはよ」
「即席魔法使いで悪かったわね! 大体、アンタだってどういう理屈で魔法を使ってるか理解してないでしょ!」
悪態を吐くと、ユウカは凄い剣幕で言い返してきた。
「まあ、そうだな」
「詳しい構造を把握してなくても車は運転できるのよ」
ふふん、とユウカは鼻を鳴らした。
「…………理屈はともかく信仰心は大事だと思うッスよ」
フェーネはボソリと呟き、ポーチから取り出した小瓶に苔を入れた。
「まだ沢山あるけど、取らなくてもいいのか?」
「薬草採取にはルールがあるんス」
「山菜は採り尽くしちゃ駄目的なアレか?」
「そういうことッス。それに、薬草を採り尽くすなんて噂が立ったら村八分にされちゃうッスよ」
フェーネは小瓶をポーチにしまった。
「あとは教会に瓶を渡して依頼終了ッス」
「そうか」
マコトは頷き、天を仰いだ。
太陽は中天に差し掛かっていた。
街に辿り着くのは夕方になるだろう。
疲労感はない。
それはユウカも同じはずだ。
「飯を食ってから戻るぞ」
「飯ッスか?」
「ああ、腹が減ってな」
嘘ではないが、本当の目的はフェーネを休ませることだ。
それに気付いているのか、彼女は不満そうな表情を浮かべている。
マコトは水飛沫の飛んでこない所まで下がって腰を下ろした。
ポーチに手を掛けたその時、視線を感じた。
立ち上がり、視線を巡らせる。
「どうかしたんスか?」
「視線を感じたんだ」
「気のせいじゃない?」
「気のせいじゃないぜ~」
反射的に顔を上げると、滝の上に女が立っていた。
背の高い女だ。
肌は浅黒く、体付きは筋肉質だ。
目付きは鋭く、ワイルドな顔立ちをしている。
右の額から頬にかけて刻まれた古傷と小振りながらも鋭い角がその印象を強めている。
ああいうのもビキニアーマーって言うのかね、とマコトは見上げながらそんな感想を抱いた。
籠手と脚甲を身に着けているが、胴体を守るのはチューブトップのような革製の防具のみである。
下半身は前垂れ付きの褌のみだ。
身の丈ほどあるポールハンマーを持っていることから戦士であると推測できる。
ついでに言うと、かなりの巨乳だ。
「おらよ!」
そう言って、女は滝から飛び降りた。
筋肉質なせいか、着地すると、地面が揺れた。
ダメージはないらしくこちらにゆっくりと近づいてくる。
「ば、バイソンホーン族ッス」
フェーネはマコトの陰に隠れた。
「あたしはバイソンホーン族のリブ、傭兵兼冒険者だ」
「俺はマコト、人間の冒険者だ」
「そうか、マコトか」
女――リブは破顔した。
人懐っこそうな笑みだ。
だが、フェーネに気付いた途端、顔を顰めた。
「ん? フォックステイル族なんかとつるんでるのか?」
「なんスか、文句でもあるんスか!?」
「臆病者のお前らが城壁の外に出るなんて珍しいと思ったんだよ」
「おいら達が臆病者なら、バイソンホーン族は死に急ぎの脳筋じゃないッスか!」
「何だって!」
リブが歯を剥き出して威嚇すると、フェーネはマコトの陰に身を隠した。
フォックステイル族が臆病というのは間違っていないような気がした。
「なんで、初対面のくせに喧嘩してんだよ」
「ああ、ちょっと種族的に反りが合わなくてよ」
リブは気まずそうに頬を掻き、手を差し出してきた。
「ボーッとするなよ。握手だよ、握手」
「何でだよ?」
「種族的な習慣だよ、習慣」
そう言って、歯を剥き出して笑う。
先程の人懐っこい笑みと違って、獰猛さを感じさせる笑みだ。
「まあ、いいけどよ」
「ありがとよ」
マコトが手を握り返すと、リブは力を込めてきた。
レベル差があるからか、痛みは全く感じない。
ただ、筋肉が隆起している点から察するに相当な力を込めているようだ。
「初対面で力比べするのが種族的な習慣なのか?」
「いや、これはあたいの流儀さ」
「そうかよ」
「ぐッ!」
マコトが軽く力を込めると、リブは膝を屈した。
だが、まだ諦めていないらしく筋肉は隆起したままだ。
「ハハッ、強いねぇ! けど、勝負はここからだ!」
筋肉がさらに隆起し、体が一回り大きくなる。
心なしか、手に込められた力も増しているようだ。
「スキルか?」
「ああ、あたいらバイソンホーン族は筋力を上げる種族固有のスキルを持ってるのさ。その代わり魔法の才能には恵まれてないけどね」
「そりゃ、羨ましい限りだ」
多分、人間は弱点がない代わりに突出した部分もないのだろう。
「行くよ」
「……ああ」
リブは立ち上がろうとしたが、すぐに動きを止めた。
「そんな、こんなはずじゃ」
「両手を使ってもいいぞ」
「そんな恥知らずな真似ができるかよ!」
「握手するフリをして力比べをするのはいいのかよ」
マコトは小さく溜息を吐き、手に力を込める。
それほど力を入れたつもりはないのだが、リブの顔が苦痛に歪んだ。
「何と言うか、力自慢のヤツが苦痛に顔を歪めてるのを見ると、ゾクゾクするよな」
「変態かよ!」
リブが押し返してくるが、マコトがほんの少し力を込めただけで動きが止まる。
「やれやれッス! そのまま腕をへし折っちまえッス!」
「怖いことを言うなよ」
マコトは再び溜息を吐き、手を振り解いた。
振り解かれると思っていなかったのか、リブはポカンとしている。
「ああ、畜生! あたいの負けか!」
リブが乱暴に頭を掻きながら立ち上がった。
マコトは軽く目を見開く。
負けを認めないとばかり思っていたのだ。
「意外に潔い性格なんだな」
「あれだけ見事にやられたんだ。あたいじゃなくったって負けを認めるぜ。それにしてもマコトは強ーな」
「それほどでもねーよ。リブがその気になればすぐに追いつけるんじゃねーか」
「へへ、マコトみたいに強いヤツに言われるとその気になっちまうぜ」
リブは照れ臭そうに鼻の下を擦った。
「ところで、マコトはこんな所で何をしてるんだ?」
「薬草採取の依頼だよ」
「ふ~ん、マコトならそんな仕事を受けなくても金を稼げるんじゃねーの? 何なら働き口を紹介してやってもいいぜ」
「ありがたい申し出なんだが、自分の力を試してみたくてな」
紹介された先がまともである保証はない。
それにフェーネというブレーンを手に入れたとは言え、まだまだこの世界の常識に疎い状態だ。
「そうか、マコトと一緒に戦いたかったんだけどな」
「悪ぃな。また今度誘ってくれよ。で、そっちは森の中で何をしてたんだ?」
「レベル上げに決まってるだろ」
「ソロは危ないんじゃねーの?」
「自分を追い込んでるんだよ」
リブは獰猛な笑みを浮かべた。
「じゃ、あたいは行くぜ」
「ああ、またな」
リブはヒラヒラと手を振りながら森に向かった。





