可哀想な奥さん
男がいた。
この男、どうしようもない男で大の競馬好き。
ロクに働きもせずに、奥さんがパートで稼いだ金も馬券に費やすような男だった。
そんな男にも優しさはあった。
ある日、大万馬券を穫ったとハシャいで奥さんにネックレスを買ってきた。
奥さんは哀しかったけど、少し嬉しかった。
ネックレスは奥さんによく似合っていた。
それでもある日、苦しい生活が続く中、奥さんは後ろ髪を引かれる思いでそれを買取りショップへ持っていった。
ショップの店員
「申し訳ありません。これは買取りできかねます。イミテーションですから。。。」
奥さんは恥ずかしくて店を飛び出た。
買い物帰りに公園のベンチに腰掛けながら、改めてそのネックレスを着けてみる。
奥さんは哀しかったけど、少し・・・嬉しかった。