じゃんけん
「じゃんけんってさ、ぐーが1番強いよね」
「は? 1番とかあるわけないじゃん」
僕は、急に拳を突き出しながらそう言ったてっちゃんに対し、呆れた表情を浮かべた。
誰だってじゃんけんのルールはわかると思うが、じゃんけんではぐー、ちょき、ぱーの三つが三角関係となることで成り立っている。
物に例えると、ぐーは石、ぱーは紙、ちょきはハサミらしい。
石は紙で覆うことができるため、紙の方が強く、紙はハサミで切られるため、ハサミの方が強い。しかし、ハサミは石を切ることができないため、ハサミより石の方が強いということになる。
どれが1番強いかなんて決めれるはずがないのである。
「いや、だってさ、ぐーってぱーより強いじゃん」
「いやいや、弱いだろ」
てっちゃんは、拳で手のひらをパン!と叩くと、手のひらの方を木の葉が落ちるようにヒラヒラと動かす。
なんて暴論だ……と、僕がヤレヤレと首を傾げていると、てっちゃんは真面目な表情で口を開いた。
「だって、ぱーって紙だろ? どう考えても石の方が強いだろ。固いし」
そう言うと、近くにあった小石を拾い「ほらな」とドヤ顔で僕にそれを見せつけてきた。
まあ、たしかに石の方が固いが、それが勝敗にどう関係するのだろうか……。
未だに納得できていない僕にため息を吐きながら、てっちゃんは石ころをそっと手放す。
「石ころをさ、紙に向かってぶん投げる。そしたら紙は破れる。石の勝ち」
「極論だなぁ……」
「まあ、ぐーは最強、ぱーは最弱ってことだな」
てっちゃんのやつ、小学生の頃は某じゃんけんゲーム、甲虫◯者ムシ◯ングでぱーのヘラクレスオオカブトしか使ってなかったくせに、よく言うよな……。
自信満々に高笑いしているてっちゃんに苦笑しながら、僕は拳を手のひらに叩きつけた。
「うん、たしかに手のひらの方が痛い」
パー推しの皆様すんませんでしたぁぁ!