【不服ながら待機班】
番場最人は大欠伸をした。最近満足に寝ていないからだ。
小さい駅とは言え、駅前でいわゆるヤンキー座りをする高校教師など今日日いないだろう。
「飽きた」と呟くと、通信札をポケットから出した。
通信相手は涼風和奏だった。
「涼風。どうだい、状況は」
『うわ! び、びっくりしました……不知火先輩からかと思いましたよ』
と番場の方がビックリしそうな大声が涼風から返って来た。
「急にデカイ声出すんじゃねえよ! 通信札を見れば俺の名前が出てくんだろ!? ってかな
んでお前が不知火にビビる必要があんだっての」
『道に迷うと先輩たまに怒るんです。怖いんですよ本当に。いや、尊敬はしてますけど』
「ほーん。つまり今また迷子ってことね」
『はい……。出海さんともはぐれてしまい……』
涼風にも聞こえるくらいわざとらしく、番場はため息を吐いた。
「お前さあ、それもう方向音痴とかいうレベルじゃねえぞ。なんで二人で行動しててはぐれるんだよおかしいだろ。後ろにくっついて行けばいいだけなのによ。いい加減病院行け。方向音痴治してくださいって頼んで来い。ったく。……で、そっちは手掛かりの一つでも見つかったのか」
『いえ。残念ながら、商店街の辺りには何もないですね。一人魔術師と思われる男性とすれ違いましたが、年配の方だったので盗人さんとは無関係だと思いますし、工房のような所も見当は付いていません……です』
「おいおい、待て涼風、もしかしてそのすれ違った人ってのが鉄堂光泉なんじゃないか!?」
『いやぁ、それはないですかねえ。和装ではありましたが凄く穏やかな雰囲気と言うか、職人! って感じではありませんでした』
「一応その人捜せ。もし鉄堂じゃなくても、地元の魔術師なら鉄堂について何か知ってるかも知れん。何かしらは得られるだろ」
『なるほど。賢いですね番場先生。でも無理です』
「なんでだよ?」
『それで追い付けるならそもそも迷いませんから。あと、顔覚えてません』
「んんんこぉーんの役立たずがぁぁっ!」
通信を切った。それはもう黒電話の受話器を叩きつけるような勢いで切った。
退屈な時間程長く感じる。これが相対性理論ってやつなのかな、と教師らしからぬ疑問を覚え、そして、本心は、
「ってか、俺がここにいる意味なくない? だって来ないんでしょ? 駅」
次回は彼らが再び!次回もよろしくお願いします。




