閑話:王様視点
_もう、終わりなんじゃろうか?自分一人が没落して行くだけならまだ良い。いや良くはないがまだ孫の顔も拝んどらんし。
_街の周囲の水源は減り、田畑は枯れ、魔物が多い。まぁ魔物の方はなんとか妻と対処してるんじゃが
あ~、まぁそうとう心配はかけとったようじゃが
そして、最後の手段「異世界召喚」を使わざるをえない。文献では、送還の話が無かったのがタチが悪く、助けにも厄災にもなりえるそうだ。自分のスキルじゃ、なんとしても送還の方法を探ろう。
「我は求める、異世界の者を。我は求める、朋友たらん者を。我が魔力を捧げ道を開かん!!」
_大きな音と光が発生して、4人の若者が見慣れない服装で来た。
「名も知らぬ異世界の方々よ、力を貸しては貰えないだろうか?」そして手を差しのべた
_それからが、大変だったとも充実していたとも言える。
_最低限の身の回りの物を買うお金と護身用の安い武器しか渡せなかったものだから、相当混乱していた。始めこそ怒鳴り散らすかの雰囲気を纏っていた四人じゃったが話は確り聞いてくれたようで
「「「「テンプレキタコレ」」」」などと騒いだかと思うと急に真剣な顔で我が国の情報を聞いてきた。
すると「オタク舐めんなよ~!」と言うと資料を読もうとするも読めないのか項垂れていた。その様子を見て文官を一人に一人ずつサポートに着けた、まぁその時点で街に出ようとしている者もおったが、何とか間に合うた。
_それから、一週間も経つとまるで別ものじゃった。城に限らず周囲の村々に至るまで少なくとも庶民が買える値段で作物は回るようになった。何をしたのか、我が城の官僚の不正行為を証拠付きで裁判にかけてもいた。
_同時に何処で見つけたのか、お付きの文官に学習のついでに7、8歳子供に勉強を教えさせてもいた
_人材の確保が急務とはいえ、相当な無理を強いているのが申し訳ない。予算に余裕ができしだい先ほどの行為を公営で行えるようにしよう。 そう思ったんじゃ
_それからも似たようなことは数多く起こった。皆一様に「内政チート万歳」等と言っておったが字と言う観点ではあまり誉められたものではないかもしれんのう。
_そして何より驚かされたのが、朝起き城の周囲を見ると森が広がって居るのじゃ
_なんぞ隣に寝ている妻が珍しく笑みを浮かべておる。話を聞くと協力をしてこの光景を作ったそうじゃ。しかも、果実や売りものになるものだけでなく、野生動物が住めるように工夫もされているとか
_ふむ、精霊の宿る地とまではいかないものの時間のあるうちに領内の緑化を進めるのも必要かもしれんのう。資材としての需要を老木で補えるようになれば理想的なのじゃが
_そして、どれほど経ったかのう。まだ一年も過ぎていないというのは自身の無能を恥じ入る思いじゃが。
無事国内も落ち着き彼らのうち三人は旅に出て魔物と戦いたいといっておった。恩返しというには少なすぎるが身分証と諸外国への通行証を発行しておこう。そして残る一人は器用な指先のスキルを持っておったのう本人が希望するなら国職人に紹介をしようかの
_なお、彼らはこの国に平和と緑をもたらした救世主としてこの王の書記に書かれている。ただ、その後の世で異世界召喚のスキルを持ったものは、楽観的に考え少なくない失敗をしたことも書き加えておく