一品目
午後五時を告げるチャイムが鳴り響く。
田舎の町村ではよく見られる光景だ。腹ペコの子供たちはこのチャイムを境に遊びを切り上げ家路を急ぐ。彼らの頭の中はきっと、今晩のおかずのことで持ち切りだろう。
ここは、そんな田舎町のとある小さな公園の中。
そこには二本の長いラインが伸びていた。一本は長身の男から黒々と伸びる、影。
そしてもう一本は………………。
スポットライト。
その男は、人を殺してしまった。
悪気は無かった。
殺る気も無かった。
しかし男が気付いたとき彼の目の前には、数分前まで人間だった肉塊が真っ赤に転がり、その頭部と思しき突起からとめどなく、それでいて静かに流れ出す鮮血で海が出来上がっていた。
真紅の夕焼けが公園内を染め上げ、一人と一つを覆い隠す。
人っ子一人おらず、静謐とした空気にあたりは包まれていた。
「…………バカ野郎……、お前が悪いんだぜ……。」
ぽつり、と男の口をついて出てきたセリフに動揺はない。
そう、男の動機は簡単。
ついカッとなって殺ってしまった。後悔はしていない。
「さっさと渡しゃあよかったのによ……」
男の右手にはトランプ程度の大きさの、一枚のカードが収められている。
なぜこんな田舎の、しかもただの少年がそれを持っていたのかは分からない。
世界にたった四枚しか存在しないという設定のカード。
けれど実際は世界中で大量生産されているカード。
男が渇望し、追い求めていたカード。
『ブルー・◯イズ・ホワイトドラゴン』
何パック買っても手に入れられなかった伝説的時代遅れなカードを男はついに、遂に手中に収めたのだった。
男の心中に達成感と高揚感が次第に湧き上がってくる。
天を仰ぐと、蓋をぶち抜いたかのような勢いで笑声が飛び出した。
「ふふっ…………ふはは……、ふはーはっはっはっはっはっはっはっは‼‼」
男の野太い声が天を突き破った。
それは、男の盗賊としての才能が確かに目覚めた瞬間だった。
瞬間。
一条の純白の光が空からと降ってきて、男を包み込んだ。
光が消えると、男は跡形もなく消えていた。
おそらく感情移入ができないと思います、設定が設定なので(笑)
それを覚悟でやってみるつもりなので何卒ご容赦を。
一応ギャグ要素を濃くしていきたいのですが、初っ端失敗してますね。
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