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「何月何日、五体髪膚、拝借仕り候。何月何日、お返し申し候」わが人生瞑想ノートより

作者: 舜風人


すべては借り物です。


私の本来所有物なんて何にもありません。


誰だって生まれたときは裸一貫です。


それから、、、


生まれ貧しくも、


その才覚で、


奮励努力


あるいは運も味方して


今の財産や


家・不動産・家財・宝石・車などなど


を手にいれたんでしょう?


要するにすべては後付けなんですよ。


借り物なんですよ。


あなた本来に備わったものでなんかないんですよ。


この家だって


借り物です。


いつか出ていかなくっちゃならないんですよ。


「いや。この家はおれのものだ、絶対手放さない」と


いくら頑張ってみても、


あなたがいつか死ねばその時は出ていくんですよ。


出ていくしかないんですよ。


愛着する物(車。ダイヤの指輪。伊万里の壷、シャネルのコート。泰西名画。)


だってあなたのものとあなたは思っているかもしれませんが


実はあなたはただの「一時保管者」でしかないのです。



いずれそれらはあなたのもとを去っていくんです。


永久にあなたのものではないんです。


「絶対手放さないぞ」と、あなたがいくら頑張っても、


あなたがやがて死ねばそれらはどっかに行ってしまうんですよ。



物だけではありません。


あなたの愛する人々も


やがてあなたのもとを去っていきます。


それは必然です。


愛する妻、、あるいは夫に早世された人がこの世にはごまんといますよね。


中には結婚して数年で夫に病死された妻だっていますよ。



愛する人々もやがて遅かれ早かれあなたのもとを去っていくのです。


この世に何一つあなたのものなんてありえません。


すべては借り物であり、


あなたはただの「一時保管者」であるにすぎません。


あなたが


30年ローンで


やっと立てた



念願のマイホーム。



でもそれもまさに借り物です。


30年ローンを払い終わらない限り


実はあなたのマイホームは銀行の所有物なんですね。


あなたはローンを払える範囲においてだけ



「居住権」をかろうじて有しているにすぎませんよ。


ローンが払えなくなったらただちに追い出されるんですよ。



それが憧れのマイホームの実態なんです。




ですが突き詰めて考えたら



家だけではないのです。




あなたの体だって


実は借り物です。


やがてその体はおかえししなければならないときが来るんですよ。


そうです、


死ぬときにはその体はお返ししなければならないのです。


昔有名な禅僧は


こう喝破しました。


「何月何日、五体髪膚、拝借仕り候。何月何日、お返し申し候」




何月何日というのは生まれた日と、死んだ日ですよ。


結局こういうことなんですね。


体すら借り物です。


ましてそれ以外の、家だの、宝物など、、、


ヤドカリの貝殻のようなものなんです。



一時しのぎの借り物でしかありません。



そして



物ではありませんが



名声とか


人気とか



地位とか


そんなものも


実にむなしい借り物です。


それらもまた一時的なものでしかなく


やがて去っていくものなんです。


何一つ私自身のものなんてこの世にはないんです。



すべてが借り物なんです。



生まれてきたときあなたは何も持っていなかったように、


やがてそれらはすべてお返しして


あなたは生まれ来た原初に帰っていくのです。


それが人生の


この世の


真実なのです。


考えてみてください。


あなたがいくら大金持ちか知りませんが


あなたが死ぬとき


その大財産のその中の、


小さな金の指輪ひとつすらあの世には持っていけないんですよ。


あなたが死ねば棺に納められて火葬場で焼かれて


残るの一壷の白い焼骨だけです。


それだけです。


生前あなたは


大金持だったか、


大政治家だったか


文豪だったか知りませんが


死ねばこうなるだけです。



生は夢であり



死もまた別の夢でしょうか?


夢の生でお借りしたものはすべてお返しして



素の自分になってあの世とやらへ帰っていく、




また楽しからずや?






「ちちははに、呼ばれて、仮に、客に来て、心残さず、帰る、ふるさと」  道歌




、、、




、、、


、、、

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