第343話「エピローグ」
戦いは終わった。
『守護者』と『狂悪者』は滅び、『森羅狂象』は三千世界の方々へと散らされていった。
俺とワンスは『トリコテセン』と合流し、ダイオークスへと無事に帰還した。
エブリラたちもそれぞれが所属する場所へと帰っていった。
そして、俺たちがダイオークスに帰って来てから数週間が経った。
「やっと落ち着いたねー」
「うん、本当に疲れた」
俺たちは現在ダイオークス26番塔第42層の自宅でゆっくりとしており、数週間ぶりに全身の力を抜けるような状況となっていた。
「この数週間。ずっと式典や報告書で忙しかったですからね」
「本当にお疲れ様です」
さて、『守護者』が倒れた影響だが、やはり大なり小なり影響があった。
「しかし、結局瘴気は消えなかったな」
「まあ、多少の変化が有っただけマシだと思うべきだろう」
影響の一つは瘴気の変化だ。
『守護者』が倒れれば瘴気は残らず消えると思われていたが、今も『クラーレ』の地表は瘴気に覆われている。
これはエブリラ曰く、『守護者』が『クラーレ』の保有している法則に不可逆的な変化を与えてしまった結果だろうとのことであり、元の『クラーレ』の法則を正確に把握している者が居ない以上、今後もどうしようもないだろうとの事だった。
尤も、『守護者』が消えた影響が全く無かったわけでは無く、瘴気の毒性や遮光性と言った物はだいぶ弱体化していたし、瘴液の毒性もだいぶ弱まっていた。
それこそワンス程に魔力の扱いに習熟している者ならば、防護服なしで塔の外に出る事も出来るほどに。
で、それ以外にも色々と変化は有ったが……まあ、今は気にしなくてもいいだろう。
「しかし、瘴気に耐性を持つ植物があるとは驚きなのじゃ」
「ああ、その話は本当に驚かされたね」
そして、俺たちの行動とは関係のないところで進展もあった。
その一つが、瘴気に耐性を持つ植物の発見であり、各都市の周辺部を基点として、徐々にその生息域を広げているとの事だった。
なので、何十年何百年かかるかは分からないが、いずれは瘴気が現れる前と同じぐらい、あるいはそれ以上に大量の植物が地表を覆うだろうとの事だった。
なお、その植物の最初の出所についてライさんたちに尋ねたところ、何故かはぐらかされた。
どうしてだろうな?
「ん?ハル?どうしたんだい?」
そして俺の身の周りでも多少の変化が有った。
「いや、何でも無い」
が、これは私事だ。
語るなら、無事に終わってから語るべきだろう。
「さて、今日も仕事を頑張らないとな」
「だね」
「ああ、行ってらっしゃい」
いずれにしても俺が造られ、『クラーレ』に飛ばされた目的は果たされ、世界は救われたと言ってもいい。
だが、俺たちの物語が終わったわけでは無い。
だから、何処までも何時までも歩むとしよう。
俺が愛する人たちと共に。
これにて『瘴海征くハルハノイ』完結でございます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
余談ですが、残ったミアズマントたちのリーダーは例の猿です。
元々本体を右手の中に置いといたようですよ。
更に余談
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