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瘴海征くハルハノイ  作者: 栗木下
第4章【威風堂々なる前後】

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第198話「警護任務-16」

「さて、一通り感動も分かち合ったところで、それぞれの後ろに控えている人たちの為に、自己紹介でもするか」

「ずっ……うん。そうだね」

「だね。それでいいと思う」

 さて、再会の喜びを味わったところで、こちらはシーザとロノヲニトの為に、『アーピトキア』側は保護者兼監視者と思しき二人の為に、お互いに自己紹介をする。

 と言っても、お互い迂闊に他の都市に話す訳にはいかない話もあるので、例えばロノヲニトなら、表向きの所属と経歴……ダイオークス中央塔大学で作られた最新鋭ガイノイドが、俺たちの小隊に出向してきていると言う話になるのだが。


「じゃあ次はアタシたちの番だね」

 で、ダイオークス組の自己紹介が終わったところで、続いて『アーピトキア』組の自己紹介である。


「アタシはカノン・南瓜(ナンカ)。『春夏冬(ノーオータム)』のボーカルだよ」

「私はハルナ・桜井(サクライ)。『春夏冬(ノーオータム)』でベースやってます」

「フユミ・繁縷(ハコベ)。『春夏冬(ノーオータム)』のギター。よろしく……」

 さて、当然と言えば当然だが、三人とも元の世界に居た頃とは目の色も、髪の色も変わっている。

 南瓜さんは青い髪に橙色の目。

 桜井さんは桃色の髪に茶色の目。

 繁縷さんは銀色の髪に水色の目と言った感じにだ。


「あ、言っておくけど、今の目の色についてはカラーコンタクトで変えてあるもので、本当は羽井たちと一緒だから」

 と言っても、目の色については異世界人であることを隠すために、変えてあるようだが。

 てかやっぱり異世界人の目は赤紫色で固定なのか。

 実を言えば異世界の存在であるロノヲニトも赤紫色の目をしているし、一体どういう理屈なんだろうな?

 まあ、特に気にする事ではないんだろうけど。


「先程も名乗ったが、アーピトキア要人警護部隊に所属しているヴェスパ・ホネトスだ。カノンたちの警護を任されている」

「『春夏冬(ノーオータム)』マネージャーのキロコパ・ワプスです。皆様どうぞよろしくお願いします」

 で、『春夏冬』の三人に続いて、お付きの二人も名乗る。

 うん、キロコパさん。

 やっぱり貴女ただのマネージャーじゃないでしょ。

 明らかに身のこなしが素人のそれじゃなくて、何かしらの武術を嗜んだ人間のそれだし。

 まあ、三人の反応からして、マネージャー業をこなしているのも事実なんだろうけど。


「さて、それではそろそろ情報交換と行こうか」

「そうだな。我々もそちらも、相手が今まで何をしていたのかについては知りたいだろうし、話せる事は今の内に話してしまうとしよう」

「はい」

 ヴェスパさんとシーザがそう言い、俺たちはお互いに今まで何をやっていたのかについての話をする。

 しかし俺については何処まで話して良いんだろうな?

 割と今話すには拙い事ばかりに関わっている気がするんだが……と、何処まで話すのかについて悩んでいたら……、


「うわっ、求められたからといって、七人も抱いてるとか……」

「ちょっとどころじゃなくそれは引くなぁ……」

「不潔……」

「やっぱりそう言う反応を示すよねー」

「まあ、抱かれた側が言う事ではないだろうが、そう言う反応だろうな」

 トトリに俺の女性遍歴をバラされていた上に、『春夏冬』の三人から生ごみでも見るような目で見られた。

 くっ、このままでは拙いな。

 トトリが言った事は確かに事実だが、このまま放置していたら、ロノヲニトの時の二の舞だ。


「ちょっと……」

 故に俺は反論をしようとして口を開き……


「ついでに言えば、六対一で勝利を収めるレベルの体力と、それに見合うだけの性欲を持っているから、穢れなきアイドル業を続けたいのであれば、ハルハノイの半径2m以内には近づかない方が良いだろう」

「ロノヲニトオオォォ!?」

「「「うわぁ……」」」

 反論する間もなく更なる爆弾をロノヲニトに投下された。


「ちょっ!?おまっ!?この前倫理観とかのデータインストールしたよなぁ!?」

「確かにしたが、この場においてはこれが正しい発言だと我は判断したが?」

「だからと言って……」

 俺はロノヲニトに詰め寄るが、ロノヲニトは素知らぬ顔で返してくる。

 その間にも、背後では『春夏冬』の三人がトトリに事実関係を確認し、その結果として『春夏冬』の三人が俺を見る目は黒い妖精を見る物と同じレベルの物に変化しているし、シーザは良いぞもっとやれと小声でロノヲニトを応援、残り二人は割と本気で警護体制の見直しを考えているようだった。

 くっ、拙い。このままじゃ至極拙い。

 放置しておいた結果、俺の立場がどうなるのかは分からないが、とにかく拙い事だけは確かだ。


「それに我の口にふ……」

「そぉい!」

 とりあえず、事実を誤認させるような発言を仕掛けたロノヲニトに対しては一本背負いをかまして黙らせておく。

 そしてトトリたちに弁明をしようとして……


「ハル。依頼主からの命令だ。部屋の前の扉で警備をしていろ。ああ、代わりなら心配しなくていいぞ。ワンスたちを呼ぶからな」

「……」

 シーザによる部屋からの追い出しを喰らった。

 くそう……弁明の機会すら無しとか……酷過ぎる。

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