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瘴海征くハルハノイ  作者: 栗木下
第4章【威風堂々なる前後】

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第187話「警護任務-6」

「来たか」

「どうしたんですか?シーザさん」

「こちらのミス……と言うか、この予定を組んだ奴が決めるわけにはいかなかった話が一つ有ってな」

 シーザさんはそう言うと、三本の付いている番号が連番になっている鍵を俺たちの前に出す。

 状況からして、俺たちが泊まる部屋の鍵だろうな。

 で、そんな物が出てくる事からして、話の内容についても想像がついた。


「なるほど。部屋割りですか」

「その通りだ。二人部屋が一つと、三人部屋が二つあるらしい。まあ、二人部屋は荷物置き場としても兼用できるようだが」

「「「!?」」」

 後ろでトトリたちが明らかに一瞬動揺し、直後に気配を可能な限り殺すと言う、まるで獲物を見つけた狩人のような気配を見せたが、それはさておいて。

 二人部屋が一つに、三人部屋が二つか……どうやっても、男女ペア(俺と誰か)の部屋が出来てしまう……と。

 うん、これは困るな。

 後、八人分の部屋が用意されている事からして、ガイノイドであるロノヲニトも客として扱われているらしい。

 こっちは素直に喜んでいいだろう。


「それで、二人部屋については既に私とロノヲニトで使う事が決定している」

「へ?どうして……」

「コイツが信用ならないからだが?」

「ふっふっふ、我も貴様とは一度とことん話し合うべきだと思っていたから好都合だ」

 シーザさんとロノヲニトの二人が激しく睨み合いだす。

 場所を考えてか、どちらも直接的な行為に出る気はないのが幸いではあるが、二人の周囲の空気は間違いなく張り詰め、冷えて行っている。

 そう、あくまでも二人の周囲でだけだ。

 流石はダイオークス外の要人を迎え入れるホテルの従業員と言ったところか、喧嘩が始まったりした時には間髪入れずに止められるようこちらの様子は窺っているが、注意深く観察しなければ、そんな警戒をしているとは思えない程に、黙々と自分の仕事をこなしていっている。


「えと、シーザさん?それで……」

「うん?ああ、話の途中だったな。それで三人部屋の方についてだが、ハルが泊まる部屋だけは決定済みだそうだ」

「あ、どうもです」

 シーザさんが俺に一本の鍵を渡す。

 ふむ。番号からして、シーザさんの部屋と、俺の部屋の間に残りの一部屋が在るみたいだな。

 しかし、俺が泊まる部屋は既に決まっているって……嫌な……と言っていいのかは分からないが、とにかく何かが仕掛けられている予感だけは有るな。


「で、残りの五人については、あっちにちょっとした休憩スペースが有るから、自分たちで話し合って、自由に決めてくれとの事だ。まあ、詳しい事はナイチェルから聞け。一緒に聞いていたからな」

 で、敢えてこちらの気配については意図的に自分の意識から排除していたんだが……部屋が決まっていない五人の周囲からは、まるで戦場に居るかのような闘気が漂って来ていた。

 この分だと、シーザさんの言葉も届いているかどうか怪しいものが有るな。


「では、誰が何時どの部屋に泊まるか、誠実に話しあいましょうか」

「そうだね。とりあえずローテーションなのは確定でいいよね」

「まあ、ハルの相手を連続でするのは無理だしね」

「でも、狙う日はみんな一緒なんだろうねー」

「ボソッ……(負けませんから)」

 あ、一応聞こえていたらしい。

 ちゃんとナイチェルを先頭にして、五人揃って休憩スペースの方に向かっている。

 五人揃って、まるで激戦地に向かうような後ろ姿だけど。


「それにして……こっちもか」

 それにしても、良かったんですか?シーザさん。

 俺はそうシーザさんに問いかけようとした。

 なにせ、今回の部屋割り決めは話し合いの結果次第では、シーザさんにとってこの上なく大切なミスリさんと俺が同じ部屋になる可能性もあるのだ。

 それをシスコンであるシーザさんが見逃すとは思っていなかったのだが……今のシーザさんの姿を見て、どうして見逃したのかが分かった。


「ふっふっふ、今から夜が楽しみだなぁ……ロノヲニト……」

「ふっふっふ、それは我の台詞だ。ニルゲ(人間)

 単純に今のシーザさんはロノヲニト以外には注意を割けないからだ。

 いやまあ、ロノヲニトが一切信頼できないシーザさんにしてみれば、当然の行動なのかもしれないが。

 ただなぁ……ロノヲニトの表情。

 アレはシーザさんからの喧嘩を買い、自分が挑発をした結果を楽しんでいるだけだ。

 どう考えても、シーザさんに対する害意は感じられない。

 いやまあ、シーザさんを挑発する行為が危害を加える行動だと判断すれば、害意になるのかもしれないが。


「え、えーと、とりあえずだ。すみません!ちょっといいですか?」

「お客様、どうされましたか?」

 俺は近くに居た従業員さんに呼び止めると、威圧感の在るこの場から空気から逃げ出すように、従業員さんの元に向かう。

 そして、俺たちが手荷物をシーザさんの部屋に運び込むための荷車を借りようとしたらところ……うん。流石は高級ホテルの従業員さんでした。

 うまい具合にシーザさんたちからも、トトリたちからも了承を貰って荷物を回収し、俺と一緒にシーザさんの部屋の前にまで運んでくれた。

 で、荷物の運搬が終わったところで……後は他の面々が部屋に来るのを待つだけとなった。

 さて、俺は何時まで待っていればいいんだろうな?

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