第126話「調査任務-2」
その後、幾つかの質問とその回答が行われたものの、細かい部分については実際に参加するメンバーが決まってから詰めると言う事で、特に大きな問題が起こる事も無く、説明会は終わった。
「では、ダスパさんよろしくお願いします」
「ああ。こっちこそよろしくな」
で、肝心のメンバーだが、参加が確定している俺たち第32小隊が残りの参加小隊を選ぶべきだと言われたため、俺たちはダスパさん率いる第3小隊を選んだ。
第3小隊を選んだ理由としては……
・俺たちと面識があり、連携を取ることも出来る
・今回の任務では最低でも熊級ミアズマントから問題なく逃げられるだけの戦闘能力が必要
・と同時に、調査任務である以上は、それ相応の調査能力も必要
と言ったところである。
まあ、本音を言えばだ。
今回の調査任務には俺たち含めて最大三小隊まで参加可能であるため、ダスパさんたち第3小隊だけでなく、前述の理由にも十分当てはまるオルガさんたち第1小隊にも一緒に来て欲しかったのだが……。
「流石に第1小隊と第3小隊両方が一緒に居なくなるのは拙いっす」
「十日にも満たない期間とは言え、な。竜級が近くにいる現状でそれは避けたい」
「まあ、そう言うわけだから、第1、第2、第3小隊からメンバーを選ぶなら、一小隊までにしておいてくれ」
と言う理由で断られてしまった。
まあ、仕方がないと言えば仕方がないか。
不測の事態と言うか、あの旧市街でずっと眠り続けている竜級がいきなり動き出すような事態が発生した際には、少しでも多くの戦力が必要になるわけだし。
なお、他の小隊の人たちを呼ばなかった理由は……うん。色々と条件に合わなかったんだよ。
連携の面を除いたとしてもだ。
「では、計画の内容を細かく詰めるとしよう」
「そうだな」
「よろしくお願いします」
「うむ。分かったのじゃ」
と言うわけで、素直に第32小隊と第3小隊だけで調査を行うとして、俺たちは計画を立てることにした。
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「まずは目的地に到達するまでのルートだが……」
「私たちの調査では……」
「いや待て、そのルートじゃと……」
「確かこのルートについては……」
で、計画を立てはじめたのはいいんだが……
「ハル君。私たちの出番は無さそうだね」
「まあ、ある意味予想通りと言えば予想通りだな……」
俺とトトリの出番はまるでなかった。
まあ、俺たち第32小隊にはナイチェル、ワンス、シーザさんの三人と言うこの手の計画を立てるのに慣れていそうな面子に加えて、計画を立てるのに必要な情報も揃っているし、ダスパさんたち第3小隊の方にもブルムさんが居る。
そして、トゥリエ教授と役人さんも、恐らくこの手の事は得意分野なのだろう。
となれば……うん。出番が無いのも当然と言うか、当たり前の状況だな。
「こっちのルートはどうだ?」
「確かこの地点の近くにはハリネズミ型が居たはずなのじゃ」
「それは何時の情報だい?こっちで調べた限りでは……」
いずれにしても、ある程度話がまとまって、声を掛けられるまでは静かに待っておいた方が良さそうだな。
むやみやたらに意見を出しても、場を混乱させるか、一蹴されるだけに決まっている。
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「……ん?」
「あ、ハル君」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
俺が顔を上げた所で、トトリが声を掛けて来てくれたので、覚醒したが。
「……。計画についてはだいたいこんな所か」
「そうだな。これならば、問題ないはずだ」
「ふう。結構時間がかかったね」
で、どうやら計画の方も立て終わったらしい。
うーむ。寝落ちする前と比べて、ワンスたちの顔色がだいぶ疲れた物になっている事や、かなりの量の資料が机の上に積み上がっていたりする辺りからして、結構難航したみたいだな。
「いやはや、今日は私としても勉強になったし、世話にもなったな」
「いえ。こちらこそ、中々に有意義な時間でした」
いずれにしても、きっちり計画が定まったのは確かか。
「さてと。それではメンバーが揃い次第、今回の任務の詳細な日程について説明していくとするか」
「そうね。第3小隊の残りのメンバーについてもさっき呼んだから、もうすぐこの部屋に来るはずよ」
シーザさんが一度時計を見て時間を確認し、ガーベジさんも何かの端末のような物を見てそう呟く。
「失礼します」
「来たぞー」
「おう、随分と時間がかかったな」
「ダーリン♪」
やがて、多少の時間が経った頃。
部屋の中にニースさん、コルチさん、それに……ああ、あの金髪の人が、ブルムさんの旦那さんだって言う、シャイン・フォクシィさんか。初めて見た。
後、ブルムさんとシャインさんの二人が揃った途端に、一気にこの部屋の空気が変わった気がする。
何と言うか……イチャイチャ方面な感じで。
「おう。来たかお前ら」
「では、計画の説明を始めるか」
そして、全員が揃ったところで、今回の任務の計画が役人さんの口から語られた。
06/26誤字訂正
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