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そしてまたもや、ご縁がありませんでした。

作者: 香月由良
掲載日:2026/08/04

医療事務を止めてクリーニングに出しに行く。

毎週金曜日は制服が半額デーだ。

出費は押えておきたいので、金曜日に出しに行くと、とても愛想の良い女性が対応してくれた。

こころの中では「あ、退職したんだ」くらいは想像したかもしれないし、「はいはい、仕事仕事」くらいだったかもしれない。

とはいえ、丁寧に畳みつつ素早く対応してくれた。


そして今度お弁当屋さんの面接へ行く。

開口一口目は、

「多分今まで経験した中で一番ハードだと思います。」であった。

「わかりました!筋トレで鍛えてます!やりたいです!」もちろん本心だ。

その場で内定を勝ち取り、翌日が初出勤となった。


翌日8:45。

職場について元気に挨拶をする。

仕込みで大量の玉ねぎを切り、お弁当の下準備を100個ほどまかされ、人参を切ったりポテトを定量ずつ小分けする。

十分すぎるほど初日としては腰が痛んだ。

しかしオーナーから大声で「おー!手際いいね!初日からこれはなかなかないよ!」と言われ、喜んで続きを行った。腰の悲鳴は無理した。


続けざまに焼き場を任される。

一度きり初見で見ただけなのに、あれやこれやと注文が入って、そこからはずっと中華鍋と一心不乱だ。

もう余力は残ってないと泣き言をこころの中で唱え、時間までの間やり通した。


帰り際、佐和子ちゃーんと呼ばれる。

どうやら土日が少ないから焼き場担当で連勤してほしいとのことだ。

頼られたら請け負ってしまう性格で、渋々承諾した。もちろん顔には出さずに。


帰宅してシャワー浴び湿布を貼って休んだ。

…しかし、翌日の朝になると腰が激痛だ。動けない。

せめて1時間遅く出勤してもらえないか打診すると「あらー!昨日がんばったもんね!ゆっくり休んどきー!」と言われ「出来れば明日からきてほしいのだけど…」とプレッシャーがかかる。

湿布をこまめに張り替えて痛み止めものんだ、ストレッチもした、日課の筋トレすらお休みした。


しかし、腰痛は治らなかった。次の日もまた次の日も。甘かった。


明朝5:32。LINEをした。

「明朝から失礼します、お話したいことがあるので、お手隙の際ご連絡おまちしております。」


ものの5分ほどで着信がきた。ドキッとしたが不思議と落ち着いている。


「覚悟の上で働き出したのですが、腰痛がずっと治らず、続けていくのは厳しいです。」


オーナーはあくまで優しい。

「…そう、残念だけど、色んな仕事があるから、あなたにあったところが見つかるといいね。」


久しぶりに人の優しさに触れた気がした。

礼を言いグループLINEを退会した。


そして今日は新しい職場候補の説明会をいれた。

人生を生き抜くためには、行動だ。

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