震える霊能者
九里九郎の霊能者宣言で、部屋に静かな緊張が広がった。
皆の視線が、恐る恐る手を挙げた九里に集まる。
一枝一馬は笑みを浮かべ、九里に優しく声をかけた。
「じゃあね? こういう展開だったら、霊能者の九里さんに仕切ってもらう形がいいんだけど……九里さん、どう? 大丈夫? 仕切りとか出来そう?」
九里は手を下げ、不安そうに首を振り、肩を縮めた。
「いや、申し訳ありません……私、どう進めていいのか、さっぱり……」
一枝は手を振り、明るく笑った。
声が部屋に響く。
「あぁ、いや大丈夫大丈夫!気にしないで! そういうね? 出来ない事をちゃんと出来ない。わからない事をわからないって、しっかり言う事は人狼ゲームで一番大事な事! から、皆も今みたいな九里さんみたいな発言、バンバンしていってな!?」
一同が小さく頷く。
四宮四季は両手を膝に押しつけ、息を吐いた。
三木三郎は肩を落としたまま、ゆっくりと頷く。
七瀬七海は髪を耳にかける仕草で、静かに聞き入る。
二乃二葉が静かに微笑み、立ち上がった。
彼女の声は穏やかだが、そこには少しの圧力があった。
「もう完全に一枝さんのリズムになってるじゃないですか? ここは、ゲームに一番慣れてそうな一枝さんが仕切る形でいいんじゃないでしょうか?私、しっかり一枝さんが仕切れるか、目を光らせて起きますので、どうぞ仕切って下さい。」
その言葉に四宮四季が慌てて口を開く。
「えっ、あの……二乃さん、いいんですか……?」
二乃は四宮に優しく視線を向け、笑みを深めた。
「四宮さん、何がですか? 四宮さんは私の白ですからね。気になる事があるなら、何でも答えますよ。」
四宮は両手を握りしめ、恐る恐る続けた。
「あの、二乃さんにとって、一枝さんって偽の占い師じゃないですか? そんな偽の占い師に仕切らせて大丈夫なんですか……?」
部屋の空気が、わずかに張りつめた。
八雲八重は背筋を伸ばし、息を整える。
六車六平は腕を組み、二乃を見つめる。
二乃は静かに頷き、言葉を紡いだ。
「はい、大丈夫ですよ。確かに一枝さんは偽物の占い師です。ですが偽物の占い師であろうとも、ゲームの定石の枠を壊す事は出来ません。一枝さんに仕切らせると言ってもそれは『ゲームの定石を説明して貰う』だけです。それに私は『目を光らせている』と一枝さんに、圧をかけています。きっと彼もそんな私を警戒してるでしょう? 変な事を言えば、即指摘します。」
四宮は目を丸くし、ゆっくり頷いた。
「な、なるほど……」
一枝は肩をすくめ、笑みを浮かべる。
「まぁまぁ、二乃さんはそう言うとるが、俺こそが本物や。じゃあ、二乃さんからも言われたし、俺がこれからの流れ説明するで? 皆しっかり覚えてな?」
一同の視線が一枝に集まる。




