二人の占い師
10分の夜フェーズが、静かに過ぎ去った。
個室の扉が、次々と開く音が響く。
九人はそれぞれの番号の部屋から出て、円状の席へと戻ってきた。
モニターの光は消え、神峰の声だけが、淡々と部屋に響いた。
「それではゲームスタートです。」
扉が完全に開き、最初の昼フェーズが始まった。
空気が、わずかに震える。
九人は席に着きながら、互いの顔を見合わせた。
好奇心と緊張が、混じり合った表情。
一枝一馬が席に向かいながら、元気よく叫んだ。
「はい、じゃあ村の皆、頑張っていきましょう! 占い、だぁ〜れだ!? 俺っ!」
彼は元気良く手を上げ、皆の視線を集めた。
「占い結果は三木三郎さんが白です! はい、三木さんおめでとう!」
席に座りながら、一枝が宣言する。
三木三郎は慌てて頭を下げた。
「お、おう……ありがとう、ございます……」
三木の声は小さく、肩がわずかに震えていた。
二乃二葉が静かに手を挙げた。
彼女の声は穏やかだが、確かな重みがあった。
「いいえ、一枝さんは占いじゃありませんよ。私が占いです。」
一同が二乃に視線を移す。
彼女は笑みを浮かべながら、ゆっくりと言葉を続けた。
「本当の占い結果は、四宮四季さんが白です。占い結果が面白く、偶数と奇数で分かれていますね。」
四宮四季は目を丸くし、両手を膝に押しつけた。
「えっ、これ占いがいきなり二人って、どうしたらいいの……?」
一枝は手を振り、四宮に言う。
「まぁまぁ、四宮ちゃん。まだ、焦らんとこうや。最初はゆっくり盤面確認からや。狩人はまだバレへんように黙っておきや? これ、狩が出てしまったら真っ先に噛まれて、後は狼の噛みたい放題になってしまうからな? 占いの俺も噛まれてしまうわ。」
四宮は小さく頷き、息を吐いた。
七瀬七海は髪を耳にかける仕草で、静かに聞き入る。
一枝はさらに声を張った。
「じゃあ、霊能者はいますか? これ、霊能者いたら僕らと同じように宣言して下さ〜い。」
三木三郎が恐る恐る口を開いた。
「……霊能者は出て大丈夫なんですか?」
一枝は笑顔で答えた。
「一応ね? 霊能者はここで宣言せずに、潜伏するって方法もあるのよ。ただそれは、中級者・上級者のテクニックになるかな? 見た感じは皆、初心者っぽいし、僕は霊能者がいた場合はここで宣言してわかりやすさを重視した方がいいと思うのよ。」
三木はゆっくり頷いた。
「……なるほど。」
二乃が静かに補足した。
「それに、宣言する事で狩人に対しても『霊能者の私を守って下さい』とのアピールにもなります。やっぱり、狩人だって霊が誰かわからないと、守るにも守れないでしょう?」
四宮は目を輝かせた。
「そうなんですね。」
一枝は辺りを見回し、明るく声を張った。
「はい! じゃあ、霊能者さん! いたら、怯えずに宣言しちゃいましょう! 霊能者さんいますか〜?」
九里九郎が恐る恐る手を挙げた。
「それなら……私が霊能者です……」
一同の視線が九里に集まる。
彼の指先が、わずかに震えていた。
二乃が穏やかに問いかけた。
「はい、他に霊能者の方はいますか? いたら挙手して下さい。締め切りますよ〜?」
皆が首を振る。
部屋に、静かな緊張が満ちた。
一枝は笑みを浮かべ、二乃は静かに頷く。
六車六平は腕を組み、無言で辺りを見る。
八雲八重は背筋を伸ばし、息を整える。
モニターは沈黙し、コンクリートの壁は冷たく佇む。
九つの影が、円状の席に並び、最初の議論が始まろうとしていた。
光が、青白く彼らの顔を照らし、影を長く引き伸ばす。




