隔離という名の処罰
数十分の沈黙が、部屋を重く覆っていた。
コンクリートの壁は冷たく、九人の息遣いがわずかに響くだけ。
やがて、モニターの画面がぱちりと灯った。
青白い光が、再び九つの影を長く引き伸ばす。
狼の仮面が映り、声が震え気味に漏れ出した。
「あっ、お待たせしました。申し訳ありません。上との相談が纏まったので報告させて頂きます。」
一枝一馬は腕を組み、モニターを睨みつけた。
苛立ちが収まらないまま、口元に皮肉な笑みが浮かぶ。
「どんな結果になったんや? 言うてみ、カス。」
狼の声が、ますます小さくなった。
「えと……ゲームの中で死亡した人間は、それぞれの個室に隔離させて頂きます。その後のゲームには関与する事は出来ません。それで、最終勝利陣営が村人側なら、狼は死亡。狼側なら村人側は死亡となります。」
一枝は鼻を鳴らし、ゆっくり頷いた。
「ほうほう。」
五条五月は首を傾げ、隣の七瀬七海と視線を交わす。
七瀬は髪を耳にかける仕草で、静かに息を吐いた。
狼は慌てて言葉を続ける。
声に、必死さが滲む。
「これなら、一枝様の仰るような人狼ゲームのゲーム制を保ちつつ、我々の求めるデスゲームも出来ると思われますが……いかがでしょうか?」
一枝は肩をすくめ、ゆっくりと口を開いた。
「せやな、せやな? そのシステムやったら、歩のボイコットみたいなアホな事は起こらんわな? 自分の陣営が勝ったら歩も生き残れるんやったら、歩は死んでくれるやろ。マシになったわ。」
六車六平は腕を組み直し、一枝を見続ける。
三木三郎は肩を落としたまま、画面を見つめ続ける。
狼の仮面の下から、安堵の息が漏れたように聞こえた。
「はい、ありがとうございます。それでは、始めましょう! 究極の騙し合いのゲーム……!」
その言葉が終わる前に、二乃二葉が静かに手を挙げた。
彼女の声は穏やかだが、どこか冷たい響きを帯びていた。
「あの〜、ちょっと待って下さい……私からもいいですか?」
狼の声が、ぴたりと止まる。
仮面の目元が、わずかに揺れたように見えた。
「えっ、あっ……? 二乃様、なんでしょうか……?」
部屋の空気が、再び張りつめた。
四宮四季は両手を膝に押しつけ、息を詰める。
九里九郎は握り拳を緩め、ゆっくりと画面に視線を戻した。
八雲八重は背筋を伸ばし、静かに息を整える。
二乃はゆっくりと立ち上がり、モニターに向かって微笑んだ。
その笑みは、穏やかではあったが、確かな圧力を帯びていた。




