俺を信じろ
一枝一馬がゆっくりと立ち上がった。
部屋の空気が、わずかに熱を帯びる。
彼は深く息を吸い、皆を見渡した。
声は低く、しかし確かな力強さがあった。
「担当直入に言う。俺は二乃さんと違ってハッキリ言葉にする。皆、『俺を信じろ』。」
一同が少し驚いたように息を呑む。
四宮四季は両手を膝に押しつけ、目を丸くした。
七瀬七海は髪を耳にかける仕草を止め、静かに視線を上げる。
一枝は苦笑いを浮かべ、言葉を続けた。
「勿論、皆の考えてる事もわかる。俺みたいな荒い性格の人間に『信じろ』なんて言われりゃ、騙されてるかもしれないって思うのは当然だ。それでも『俺を信じろ』。」
彼は拳を軽く握り、胸に当てた。
声に、熱がこもる。
「誰かが、先頭切って進んでいかなきゃいけねぇんだ。ウザいよ。鼻につくよ。仕切り屋なんて、目の上のたんこぶだよ。でもそういうウザいヤツがいないと、物事は前に進まねぇ。だから俺は、ここまでウザがられるのを覚悟で仕切ってきた。俺がやらなかったら、結局誰かにそのツケが回るんだよ。」
三木三郎は肩を落としたまま、ゆっくり頷いた。
九里九郎は握り拳を緩め、息を吐く。
五条五月は首を傾げ、隣の七瀬と視線を交わした。
一枝は深く頭を下げた。
声は低く、しかし力強く響く。
「俺を信じて、俺の後ろについてきてくれ。俺は占い師だ。責任持って皆を引っ張っていってやる。もう一度言う。『俺を信じろ』。」
部屋に、静かな沈黙が落ちた。
やがて、二乃二葉が静かに拍手を始めた。
彼女の笑みは穏やかで、どこか楽しげだった。
「……敢えて、逆の主張してきましたね?」
二乃の拍手に、皆がゆっくりと手を合わせ始めた。
八雲八重は背筋を伸ばし、静かに手を叩く。
六車六平は口元に薄い笑みを浮かべたまま、軽く手を鳴らす。
四宮四季は両手を合わせ、小さく拍手する。
三木三郎は控えめに、九里九郎は握り拳を緩めて手を叩く。
拍手が収まると、一枝は席に座り直した。
彼は肩をすくめ、明るく笑った。
「じゃあ、どっちの主張が真と思うか、偽と思うか? 順番に意見出してみようか? 別に真や、偽じゃなくてもいいぜ。『こっちの意見の方が好みだった』程度で大丈夫だ。間違っててもいいんだし、気楽に言っていこうぜ?」
一枝は辺りを見回し、皆に視線を投げかけた。
部屋の空気が、再び動き始める。
五条五月たちは互いに顔を見合わせ、息を整える。
七瀬七海は髪を耳にかける仕草で、静かに考える。
コンクリートの壁は冷たく佇み、九つの影が円状に並ぶ。
青白い光が彼らの顔を照らし、次の言葉が静かに部屋を満たそうとしていた。
一枝と、二乃の主張。
どういう風に感じたかコメント頂けると非常にありがたいです。
ちなみに、10コメに届かない場合はこの物語は打ち切りとなります(笑)
読者参加型の小説に参加者いないのは元も子もありません(笑)




