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台所でせかいをかえる Revolution Starts in DAIDOKORO  作者: 朧月 澪(おぼろづき みお)
妙蓮寺

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第64話 詩 「透明感のあるギターリスト」 響歌

台所でせかいをかえる Revolution Starts in DAIDOKORO

第64話 詩 「透明感のあるギターリスト」 響歌


 


飛行機を置き去りにして、

すでに白い道路に滑り出していた。


空の遠くに、別の飛行機が

ちいさくなって飛んでいた。


 


冷えた大地を無言で走り抜け、

ようやく灯りの気配に触れた。


人の姿はどこにも見えないけれど、

標識を見上げると、文字がやけに可笑しかった。


……「長沼」とは、よくいったもの。


 


本当は長沼を越えて、

栗山の丘に行きたいのに、

思考はまだ、千歳空港に置き去りのまま。


 


滑走路の先には、

ヘッドライトに照らされて、

雪の白がきらきらと反射している。


闇の中でも、

来るときに見た大地がまぶたに広がる。


 


行きも帰りも、音楽はコウ。


哲郎が好きな歌手で、

女優でもあり、マルチな才能を持つ――

そして詩人でもある。


 


画面の向こうのマサハルが好き。

でも今回の旅には、似合わない。


たとえ彼の曲が流れていたとしても、

きっと別の曲に変えていたと思う。


 


そんなことを考えていた千歳に向かった月曜日、

スマホから、選びもしないのに流れ出したのも、コウ。


「この道には、コウが似合うね」


すると、運転する哲郎が言う。


「マサハルとは違う。コウは、透明感があるから。」


 


旭川にも拠点を持つ彼女。

菌ちゃん農法に感動したという、

私の畑情熱の先輩でもある。


運転手の言葉どおり、

たしかにこの道にコウはぴったり。


 


帰り道は、哲郎のスマホをつないだ。

もちろん流れるのは、ほとんどがコウ。


その中になぜか、

二曲ほど、哲郎も聞いたことのない曲が混ざっていた。


 


それを書き留めたことで、

新しいドラマが始まったのか――

それは、まだわからない。


 


冬道を走りながら、ふと気づく。

「あれ?これ、さっきのバージョンと違うね。」


カーナビの画面を切り替えると、

コウがマサハルのギターが奏でるバージョンだった。


 


曲と景色と歌手と詩とギタリストが、

すべて重なり合う――世紀の一瞬。


 


なんと透明感のある、ギタリストだろう。




静かに感動していた。


 


気がつけば、栗山の丘を抜け、

「ブルーローズ フィールド」と書かれた建物の横を過ぎていた。


広く広がる空で、

闇空の星の鼓動が、

透明な音を奏でていた。



◇◆◇ あとがき ◇◆◇


ページをとじたあとに、少しでも心に残りますように。


物語はまだ続きます――

妙蓮寺(全8話は、次話で最終話です。)



次話 第65話 霧ヶ峰からの手紙 〜透明なギターの音とともに〜

そして、物語は、まだまだ続きます。

次回予告:「第66話 電話じゃわからないよ」(仮)

よろしくおねがいします。

作者 朧月 澪 

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