第51話 横浜バラ園〜のぶこはさくらよ
台所でせかいをかえる Revolution Starts in DAIDOKORO
第51話 横浜バラ園〜のぶこはさくらよ
横浜での「虹の輪」の研修が始まった。
最初の顔合わせは、またカラオケハウスだった。
伸子は、ジェリーがアルバイト店員とやけに仲がいいのが気になった。
「また、お願いしますね。」
「はは、いつもありがとう。」
そのやりとりを聞いて、思わず伸子は口を開いた。
「……私は、さくら?」
すると、その場にいた異国人が、即興で歌い出した。
その瞬間から、
ひよこと呼ばれていた伸子は、しばらくのあいだ
「さくらさん」と呼ばれることになった。
Sakura Sakura
さくら さくら さくら さくら
やよいの空は のぶこはさくらよ
見わたす限り みわたすかぎり
かすみか雲か かすみかくもか
朝日ににおう あさひににおう
さくら さくら のぶこはさくら
花ざかり はなざかり
さくら のぶこ
野山も里も
見わたす限り
かすみか雲か
においぞ出ずる
いざや いざや
見にゆかん
見わたす限り
かすみか雲か
においぞ出ずる
いざや いざや
見にゆかん
指先がリズムを刻むたび、
手にしたポテトが軽やかに揺れる。
マイクを握る手も、
自然に上下に動いた。
だれかのスプーンが、かすかにリズムを立てる。
まるで歌声に呼応するかのようだった。
その場にいた誰もが、
即興の演奏者の一員になった。
伸子は少し照れくさかった。
けれど、
悪い気はしなかった。
* * *
次話へつづく
* * *
◇◆◇ あとがき ◇◆◇
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
また次話で、お会いできましたらうれしいです。
◇◆◇
次回予告:「第52話 バラ子と横浜バラ園へ」
◇◆◇
―― 朧月 澪




