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43話「唐突な天上世界!?」

 気づいたら広大な透き通った海の上に立っていた。

 海底の白い砂が透けて見える。水面はキラキラ反射光で美しい。周囲を見渡せば虹色の珊瑚礁みたいな神殿が浮いている。


《あれ? ここは? 確か馬車の中にいたはず……??》


 見下ろした際の水面に映った姿で、妖精王状態で全裸でナッセの姿をしている事にもビックリした。

 アッセーとして転生されたはずなのに、と戸惑う。


《あのですね!》

《え?》


 振り返ると、純白のキトンを着ていて、金髪ロングのウェーブの美女が困った顔を見せていた。

 思わず背中から小さめの妖精王の羽を一つ新たに増やして、サッと股間を隠した。


《誰だおめぇ? つか、ここどこだ?》


 そういえば、口を開けてなくても念話できてるなぞ。ここ『星幽界域(アストラル・エリア)』か。

 すると目の前の美女はフルフル震えだした。


《私はドラエフサーガ世界を作り出した女神エーニスックです。ここは私のプライベート空間です》


 そう言いながらナッセの両頬を左右から抓り上げる。ぐぎぎ!


《いへへへへ! あいすんあ!?》

《なーに魔人を絶滅してくれちゃってるのよおおおおお!!》


 この女神が言うに、世界の生命体に試練を与える為に魔人という敵キャラを設置してたらしい。

 現存の生命体を乗っ取る寄生型の魔族。

 その特性ゆえ、絶対に絶滅されない敵キャラとして延々と生命体との闘争を促す事ができた。

 それを妖精王がぜーんぶ浄化して台無しにされたのだ、と。


《だって、ユミがなんか性欲強くて浄化したら、巻き添えであーなったし》

《そのままズッコンバッコンやればいいでしょーが! むしろ繁殖する事でヒトの未来を築けるから、大いにヤッちゃっていいくらいよおおお!!》

《ヤマミって妻がいるのに不倫できねぇって》

分霊(スクナビコナ)して個別になって転生したんだから、別にいいでしょー! どうせ死ぬまでアッセーとして生きていくしかないんだしっ!》


 女神とは思えぬフランクでズケズケ言ってくる。

 しかも繁殖に対して特段咎めもせず、むしろ推進しているくらいだった。


《女神が、好きなだけエッチしてもいいよっておかしくねぇ?》

《あんたねぇ! どんなイメージを女神に抱いてるか知らないけど、ヒトの社会と倫理観とは無関係だからね! 生命体として繁殖行為を行って、子孫を未来に残して歴史を紡いでいくのを推していきたいの!》


 女神エースニックは、こちらからすればズレているように見える。

 明らかに彼女は女体ではあるが、上位生命体なので通常生物のように生殖能力は持っていない。そのせいだろうか。


《そもそもね。アッセーとして暮らしている『星杯(カリスター)』は、数多くある中の一つなの!》

《か……星杯(カリスター)?》


 周囲を海で囲む一つだけの大陸。アッセーたち生命体はそこで暮らしている。

 実はこれ自体が超巨大な聖杯(せいはい)で、惑星級として『星杯(カリスター)』と呼ばれている。

 巨大な杯に海で満たして大陸が立っている形状だ。

 海の中心に位置する大陸は、杯の底まで深く届いており、逆に上空へは『塔山(タワー)』が伸びている。

 それを太陽に相当する『光珠(オーブ)』が周回して昼夜を担っている。


 そして、その『星杯(カリスター)』が数え切れないほど存在していて、その『光珠(オーブ)』が星々のようになっているって世界だ。


《そんな多いなら、魔人絶滅したくらいで大した事ないじゃん!》

《そうね。でもあなたのいる所の情勢が傾いていくわ。敵がいない状態でヒトが繁栄を促進させていったら『星杯(カリスター)』を食い潰したり、仲間割れしたりして一緒に絶滅するわよ。そういうケースを山ほど見てきたし》

《まだ魔族がいるんじゃないか?》


 その時、泳いでいた白いイルカが女神へ向かって飛びかかり、白いキトンを剥ぎ取っていった。

 あらわになった女性のラインと恥部。

 特に膨らんだ豊満な胸がプルンと揺れる。


《エロイルカ! 死ね!!》


 怒った女神は掌を突き出して、見えない気合い砲で水面が間欠泉のように噴き上げた。どぱーん!


《それはそうとして》

《オレが言うのもなんだが、全裸で堂々とすんなよ……》

《確かに魔族がいるけど、魔人もいる設定のせいでヒトと争う頻度少ないんだよね》

《完全に自業自得じゃねぇか……》


 女神は堂々と全裸をさらしたままため息をつく。

 水面で浮いている白イルカは白キトンをムシャムシャ味わってハァハァしている。変態がいるぞ。


《あの変態イルカなんなんだよ》

《あれでも性欲の聖霊。いないと世界の生命体が絶滅するからね。どこの世界にも三大欲求の聖霊がいて生命体の生態活動を促進させる役目担ってるの》


 そうは言いつつ、水面で浮いている白イルカを女神はゲシゲシ踏みつけている。

 あふん、と喘いでいるぞ。


《私、女神になったばかりで初めて世界を作ったんだからさ、バランス難しくて四苦八苦してて、異世界転生を導入して外部から魂を流通させてたんだよね》


 腰をクネクネ左右に揺らす。ついでに胸もプルンプルン。


《それでオレを分霊(スクナビコナ)して転生させたら、あの事態になったじゃんか……》

《うっさいわねー!》


 変態イルカが血眼で「おっぱい吸わせろおおおお!」と女神へ飛びかかる。

 女神はその顔面を掴んで高速ジャイアントスイングしてから放り投げ、向こうでドボーンと飛沫が上がる。

 そこへ女神は左右の手を交互に繰り出して気弾連射し、爆破の連鎖が広がった。

 ひどい扱いである。


《そうだ! あなた魔族とズッコンバッコンして強い魔族量産してよ! それなら釣り合い取れそうじゃない!?》

《あのさぁ……》

《大丈夫! こんな事もあろうかと、魔族もヒトと生殖できるような身体の作りにしているから!》

《そういう問題じゃないんだけどな?》

《あなたロリコンでしょ! 魔族の幼女は孕んでも出産できる体力じゅーぶんにあるから!》

《いや、あの》

《あの『星杯(カリスター)』の社会はハーレムオッケーだから、妻や愛人たくさんいても問題じゃないからね》


 女神とは思えない倫理観欠けた発言連発。

 これネットで呟いたら炎上待ったなしだぞ。


《オレの転生前の世界にマイシって強キャラいるから、そいつ男にして転生させれば》

《あー、なしなし! どっかの神がマイシを分霊(スクナビコナ)させて転生させたら、ヒトも魔族も絶滅させて頭を抱える事態になってたから》

《前例あるんかよ……》

《私が知ってるだけでも、世界が十四個ダメになってるからねー》

《そんなに》


 さすがにナッセもドン引きしたぞ。

あとがき


 アッセーとして生活圏にいたのは下界の物質界域(マテリアル・エリア)

 死者などが行き交いする境目が中間世界の三途界域(アケロン・エリア)

 神々などが住まう天上世界の星幽界域(アストラル・エリア)

 その三つで世界が構成されているって設定ですw

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