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27話「タマリン王国最強の双璧聖騎士!」

 選手控え室で、ワイルーも戦々恐々とアッセーことカンダタを眺めている。

 のほほんと椅子に座っている。

 ことごとく勝ち進み、勇者まで倒してきたからマグレだと決め付けるには違和感が過ぎる。


「むしろ……わざと地味な勝ち方しているような……?」


 すると、ガラの悪い大柄な男が二人、座っているカンダタへ絡んできた。


「おうおうおう! マグレで勝ち抜いたからっていい気になるなよ?」

「へっへっへ! ここで潰してもいいんじゃねぇですかい?」

「あれ? 敗退した人? ここにいていいの?」


 のんきなカンダタが結果的に煽る結果となり、大柄な男が二人激怒した。


「てめぇっ!!」

「いわせておけばっ!」


 二人同時に重々しいパンチで挟むようにカブトへ食らわした。

 しかし平然と座ったままのカンダタは「ゆっくり休ませろよな」と文句を垂れている。

 大柄な二人組は必死に殴り蹴りするも、ビクともしないカンダタに、ワイルーは震え上がっていく。


「あいつ……なんなんだ??」


 一見すれば、鎧着ているから堪えてないようにも見えるだろう。

 とはいえ体重差のある相手の攻撃で、少なくとも仰け反ったりとかあるはず。それがないという事は絶対的に力の差が開いてて、単純に効いていない。


「アーマークラッシュ!!」


 一人の大男が渾身のパンチをカンダタのカブトにぶつけた。ガン!

 逆に拳の骨が砕かれた。


「ぎゃああああああああああ~~!!」


 涙目で拳を抑えて転がる大男。カンダタの方は「ん? 大丈夫?」と他人事。

 ワイルーは口を手で押さえ、震え上がっていく。



 一方、王様は苛立っていた。

 よそものであり、しかもヤンバイ王国の刺客だと思っているふざけた騎士が勝ち進んでいるのが面白くないからだ。


「おい! トーナメントをシャッフルしろ! 我が精鋭騎士をぶつけるんだっ!」

「はっ! ついに双璧聖騎士を差し向けるのですね!」

「ああ……、あまりヤンバイ王国のやつらに調子を乗らせるわけにはいかんっ!」

「重々承知しております!」


 その後、上方で表示されていたトーナメント表が切り替えられ、勝ち残った選手がシャッフルされる。

 アッセーことカンダタも見上げて驚く。

 周囲の事情を知らぬ観客はサプライズみたいなものとしか見ていなかったので、盛り上がっている。



「決まりました!! 準決勝戦はカンダタと、我が国が誇る双璧聖騎士が一人、魔双剣の聖騎士ラヴューさまが対戦ですっ!」

「「「わあああああああああああああああっ!!」」」」


 湧き上がる歓声。

 闘技場でカンダタの前に、青髪イケメンがやってきていた。キリッとしていてキレイな騎士の鎧を身に包む凄腕の騎士だ。

 髪型が整っていて肌がキレイだ。

 腰の二つの剣を引き抜くと青い剣と赤い剣が煌めいた。


「ま……魔双剣っていうか……聖剣?」

「さよう。この魔双剣の聖騎士と恐れられた実力を思い知る事になるだろう。もっとも、先ほどの動きでは一瞬でカタがついてしまうだろうがな」

「いいぞ。全力で来い」


 カンダタは普通の剣で構える。

 言い草で見下されたと思い込んだラヴューはピクッと眉をはねる。凄まじい怒気を孕むオーラが漲っていく。


「……殺しても反則にならない。恨まんでくれよ」

「ああ。けど、オレはおまえを殺さない。気絶させて負けさせっぞ」

「あ? ああああああああああああッ!!」


 なんかブチギレたのか赤と青が混じりあったオーラを高々と吹き上げていく。

 怒りに満ちたラヴューがキッと睨み据え、地を蹴る。左右の聖剣が軌跡を描いて、カンダタの剣が斬り飛ばされる。刀身がクルクル回って、床に刺さる。


「ひょええええ!」


 通り過ぎたラヴューが静かに振り向く。

 カンダタは「へぇ、オーラ纏わせてたのに切り裂けるのか。結構強ぇえな」と、感心する。

 今度は手の甲の刻印(エンチャント)を煌めかして光のナイフを具現化させる。


「ほう? 魔法の武器か? 形状からして、苦し紛れで隠し武器を出さざるを得なかったようだな」

「いいから来いよ」


 カンダタがあまりにも余裕ぶって光のナイフをクルクル遊んでいたのが、ラヴューの癇に障った。


「そんな舐めた態度、許さんっ!! 八つ裂きにしてやるっ!!」


 激情任せにも拘らず、隙を見せぬ幾重に振るわれた双剣の軌跡がカンダタへ襲いかかる。

 しかし突っ立ったまま光のナイフで捌ききっていく。苛烈に増していくラヴューの剣戟が周囲に振動や煙幕を巻き起こしたりするが、カンダタは平然と捌いている。


「うーん。アルンデス王国のリヘーン王子とどっちが強いかな? まぁだいたい同じくらい?」

「こんのおおおおッ!!!」


 必死に剣戟を振るうラヴューはますます激怒していく。

 どんどんパワーを増していくが、相も変わらず平然と捌かれてカンダタという妙な男を動かせずにいる。

 突っ立ったままで一歩も動いていない。

 もしかして自分は弱いのでは、と疑念に駆られそうになる。


「ならば喰らえいッ!! 双剣竜頭尾流奥義! 天龍地龍昇落斬ッ!!」


 二つの聖剣が輝きだし、すくい上げるような青い剣と斬り下ろされる赤い剣が超高速でカンダタを挟み込む。

 まるで天の龍と地の龍が同時に食らわんとする凄まじい剣閃だ。

 その刹那、カンダタは鋭い目を見せ、振るった光のナイフから軌跡が煌めいた。

 激突の瞬間、轟音とともに閃光が溢れた。


 あまりの眩しさに目を閉じていた観客は目を開けていく。王様も恐る恐る開けていく。


「ああっ!?」


 二つの刀身がクルクルと宙を舞って床に突き刺さる。鍔から刀身が消えた二つの聖剣に、ラヴューは大きく口を開けて驚き戸惑っていた。

 まさか双剣が破られる事など信じられない。

 悪い夢でも見ているのかと、動揺が大きくなっていった。


「う……うそだ……! 俺は……俺はっ、夢でも見ているんだなっ!? おまえのような素性の知れぬやつに、歯が立たず双剣を折られるなどとっ……!?」

「じゃあ、本当に夢でも見てろよ」


 カンダタは三メートル真上へ舞って「軽めにフォール」と、ラヴューの頭上を光のナイフで打ち、床に叩き伏せた。ガガン!

 叩きつけられたラヴューはワンバウンドして「があっ!」とたまらず吐血して気絶した。


「か、カンダタの勝ち……!? 決勝戦へ勝ち進んだのは……カンダタ選手ですー!」


 カンダタはグッと拳を突き上げた。空気を震わすほどの歓声が湧き上がった。

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