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22話「闇が深い水龍祭! 暗殺者の襲撃!」

 オダヤッカ王国から脱出するように出国し、大陸の海辺に隣接している交易路を通る馬車に乗ってガタゴト揺られていた。


「次はタマリン王国か」

「マリン、名前の通り、水の王国なのですーっ!」

「タの部分は?」

「国を見れば分かるのですー」


 ちゃっかり付いてきたロリエルフはアルロー。

 ユミは外を眺めている。確かに岩山が突き出た大河が見える。この大陸唯一の大きな川である。中央の『塔山(タワー)』から流れている。


「すごい滝です……」

「あの『塔山(タワー)』上部を覆う雲から流れ出しているのですーっ!」


 ここからは遠いというのに、『塔山(タワー)』から大きな滝が飛沫を散らしているのが見える。

 あの辺りには霧が立ち込めて、虹までかかっていた。

 近くまで行けば、こっちの世界で知るナイアガラの滝並みの幅になるんじゃないか? もっとも縦が長いから迫力はそれ以上かも。


「もう着きます……」

「水玉の結界が張られたタマリン王国なのですーっ! タマリンのタマはそれが由来なのですー!」

「本当だ。だからタマリンかぁ」


 馬車が近づくにつれて、ジャボン玉のように薄い水の膜が囲む城壁から包んでいる。

 入国する際に門を通ると、水の膜をすり抜けていく。不思議な感覚だ。すると、さっきまで滝の音がしてたのが消えた。


「滝の音が消えた……?」

「そうなのです。耳がいい種族にとってはありがたいのです。静かになってホッとしたのです」

「え? 二人とも耳がいいんですか?」


 オレとアルローは耳がいいから、ドシャ降りのような音が常に耳に響いてくる。

 ユミにとっては聞こえるか聞こえないかくらい。

 国でもそういうのを聴くのは気が滅入るから、確かにありがたい。

 馬車から降りて、護衛の依頼をクリアしたと依頼主からハンコをもらって、ギルドへ向かって報酬をいただいた。


「ナッセさ……、ん。これを持っているのです!」


 様を言いかけたアルローがスライムのような耳栓を買ってきて、渡してくれた。

 見本として装着しているところを見せてもらった。耳の穴へ触れるとスルリと入り込む。トントンと叩くとニュルリと出てくる。


「これは、あの滝の音だけをかなり軽減してくれるのです。大きな音以外の他の音は素通りなのですー」

「そっか。ありがとな」


 アルローをなでなでした。幸せそうに顔が緩む。

 なんかユミが膨れて嫉妬してるの可愛い。

 散策してみると、活気があって明るそうな国だと印象づけられる。やはりエルフが会釈してくる。


「あちこち水路があるな」

「透き通っている……」

「世界一きれいって評判なのです」


 さらにガラスの彫刻もところどころ並んでて、見栄えもかなり良い。

 中央広場には大きな池があって噴水が色んな演出を見せてくれる。

 異世界でも、このような国が見られて気持ちがいい。やはり世界は広いと思わせられる。


「さて宿探すか……」


 空の『光珠』が日没しようとしているので、早めにチェックインしたい。


「やけに冒険者多いな」

「一年に一度、闘技場で水龍祭が開かれるのです」

「水龍祭……前のパーティでセラディスとザレが参加したって自慢してました」

「ああ『獄炎』なー。優勝した?」

「ううん。はぐらかした感じでイイトコまでいけたとしか」

「……きっとボロ負けしたんだろうなぁ」


 とはいえ、道理で活気溢れていると思った。

 いつもなら人々は少ないかもだが、今日に限ってやけに賑わっていて祭りでもしているかのようだった。


「参加するのですかー?」

「ナッセなら優勝しそうです」

「面倒くさいし、見るだけにしとくよ」


 宿へチェックインを済ませ、キレイな部屋で落ち着いた。

 すでにアルローはベッドへ飛び込んで熟睡してしまう。ユミはこちらのそばに座り込んでて温もりを堪能している。


「闘技場かぁ……」

「すごく大きいみたいです。国の南西にドーム状の神殿が建ってあります」

「じゃあ明日見てみるか」

「うん」


 晩飯を済ませ、しばし遊んだりしてから夜が更けると消灯して寝た。

 なんか気配がするけど、放っておいたままグッスリ寝入って体を静ませていく。気配が殺意を帯びると、瞬間的に活発化させて、起き上がる。

 煌く刃を人差し指と親指で掴む。暗殺者は見開く。


「なんの恨みがあるんだよ?」

「チッ」


 不意に毒霧を吐いてきたが、効かないのでそのまま片方の手で暗殺者の首を掴む。


「がっ!?」


 警戒するように『察知(サーチ)』を広げると、他にも暗殺者がいるのを感知した。

 片手間で暗殺者を押さえつけるとともに状況を察する。

 次々と誰かの気配が消えていくのが分かる。泊まっている冒険者を暗殺しているみてぇだ。


「そうか……。水龍祭を開催する際に集まってきた冒険者を狩っているのか……」

「くっ!」

「さて詳しい話を聴こうか?」


 尋問されまいと、何か咀嚼したが何も起きない。


「首を掴んだ時にあらかじめ解毒しておいたんだ。口に中に仕込んである毒も含めてな。良かったな助かってさ」


 目論見を看破されて憎々しげに睨んでくる。

 魔法のローブを具現化して手足を縛り、口を塞ぐ。


「待ってろ。仲間を集めてくる」


 宿屋にいる暗殺者を次々と捕獲して、部屋へ戻った。

 十二人を一人ずつ捕まえるのは面倒だったけど、放っておくわけにはいかない。


「こんな夜更けにクソ面倒な事させんなよ……」


 最初に捕まえたやつの塞いでいた口を解く。


「貴様はなにものだ!?」

「質問するのはこっち。答えろ。ギルドへ突き出す」

「ハッ! ギルドはグルだ! もみ消してしまえるぜ!」

「あ、そう」


 しょうがないので妖精王化して鈴を鳴らして、強制的に敵愾心を解除した。

 集めた暗殺者たちの汚れた鋭い目つきが、少年のような純粋な目に変わったぞ。キラキラ~!


「なぜこんな事をする?」

「はい、すみません。本当はタマリン王様が『水龍祭』を開いて、凄腕の冒険者を集めて殺す事で各国の戦力を削ぐのが目的です」

「ギルドがグルで、冒険者を把握していると?」

「はい。おっしゃる通りです。今回のようにギルドと連携した宿屋が我々に伝達して暗殺して死体を処分して、行方不明に偽装するんです」

「闘技場……、選手を殺したら大会にならないんじゃねぇのか?」

「我々の国の冒険者や兵が競い合うアピールをする為です。暗殺に生き残った冒険者も参加する事もありますが、妨害して勝ち進ませないようにしています」

「サンキュー。じゃあ内緒で生きて帰すから、あっちには黙ってて。それからこの国の全身鎧をここに用意してくれ」

「はい。分かりました。だたちに」


 こうして改心した純粋な心を持った暗殺者を味方につけた。やったね。

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